ただの延べ棒じゃない!金のインゴットの活躍
映画の世界で、誰もが一度は目にした経験がある金の延べ棒。ピカピカと輝く延べ棒は、まさにお金持ちの象徴です。「一度くらいは実物を手にしてみたい…」と夢見る方も多いのではないでしょうか。
金の延べ棒は、作り物の世界だけに存在するアイテムではありません。実はこの世の中にも、たくさんの金の延べ棒が存在し、実際に流通していることをご存知ですか?
お金持ちにとって、昔から金は安全資産の一つであり、優れた投資対象の一つでもあったのです。特に今、世界的な金融緩和やEU離脱問題で経済が不安定化していることから、金に注目する資産家・投資家が増えてきています。
投資の世界で、金の延べ棒は「金のインゴット」と呼ばれ、非常に多く取引されています。世界的に金投資ブームが起きている今、「大金持ちではないごく一般的な家庭」においても、純金製の金のインゴットを保有する方が増えており、決して特別なアイテムではなくなってきているのです。
こうした状況だからこそ、金のインゴットについても正しい知識を身に付けておきましょう。
規格や審査基準、資産運用方法や作り方まで、インゴットに関する基礎知識を、幅広くお伝えします。
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「インゴット」とは?
金の延べ棒は、「金のインゴット」とも呼ばれています。インゴットとは、英語の「ingot」という単語をカタカナ読みしたもの。日本語での意味は「鋳塊(ちゅうかい)」です。
鋳塊とは、炉で精錬した金属を鍛造し、一定の形に凝固させたもの。つまりインゴットには、「銀のインゴット」もあれば「プラチナのインゴット」もあり、金のインゴット同様に、市場に流通しています。
ちなみに金のインゴットは、ただ単純に「インゴット」と省略されて呼ばれるケースも多いもの。「金のインゴット」を「インゴット」と表現し、その他のインゴットには金属名を付けて呼ぶことで、間違えないようになっています。それだけ、「インゴットと言えば金」というイメージが浸透しているのでしょう。
金の延べ棒のもう一つの呼び方は、「ゴールドバー」です。バーは英語で、棒状の塊を示す単語です。ゴールドバーもインゴットも、要するに純金を固めて作られた塊のこと。重さや純度がはっきりしているため、取引しやすいという特徴があります。
「地金」とは?
金のインゴットについてより詳しく知るために、もう一つ覚えておきたいのが「地金(じがね、もしくはじきん)」というキーワードです。
こちらは、金属の原材料を示すための言葉で、金の地金であれば「金地金」、プラチナの地金であれば「プラチナ地金」と呼ばれています。
投資や買取の分野では、地金とインゴットはほぼ同じ意味で使われる言葉なので、ぜひ頭に入れておいてください。
ただし実際には、インゴットと地金の間には明確な違いがあります。地金の場合、複数の金属成分が混じった「合金」であっても含まれますし、日本工業規格(JIS)において、その成分規格が細かく定められています。また以下のような区分によって、一次・二次に分けられています。
一次地金 → 鉱石から精錬されたもの
二次地金 → スクラップからリサイクルしたもの
インゴットの場合、一定の形に凝固されている必要がありますが、地金の場合、そうしたルールも存在しません。どんな形であっても、地金は地金として判断されます。たとえ小さな粒上であっても、日本工業規格(JIS)の規格に沿ってさえいれば、地金です。
投資や買取の分野においては、ほぼ同義で扱われる「地金」と「インゴット」ですが、正確には「地金」の方が、「インゴット」よりもさらに幅広い状態を指し示す言葉だと言えるでしょう。
金のインゴットで観光事業
映画やアニメの世界で、金のインゴットが多く登場する理由は、「華やかさ」と「インパクト」でしょう。いかにもお宝!といった雰囲気ですし、実際に目の前にあれば、テンションが上がる!という方も多いのではないでしょうか。
そんな金のインゴットのイメージを活用し、観光事業を活性化させようとしている自治体もあります。「インゴットについてもっと知りたい」「実際に見てみたい」という方は、ぜひこうした催しにも注目してみてください。
佐渡金山の金塊チャレンジ
佐渡金山と言えば、日本の金採掘を支えてきた、有名な金山の一つです。残念ながらすでに閉山していますが、江戸時代の財源を支えてきたという歴史あるスポットです。現在は資料館として、多くの観光客を迎え入れています。
そんな佐渡金山の名物イベントが、「金塊チャレンジ」です。資料館に置かれた透明の箱の中に展示されているのは、約12.5キログラムの金のインゴット(ラージ・バー)です。箱には小さな穴が空いていますから、なんとかして取り出せればチャレンジ成功。残念ながらインゴットはもらえませんが、代わりに記念品がもらえます。
美しく輝くインゴットの前で、「ああでもない」「こうでもない」と試行錯誤してみてはいかがでしょうか。
淡路島の1億円金塊レンタル
兵庫県淡路島にある「静の里公園」の資料館では、平成元年から平成22年までの間、本物の金のインゴットが展示されていました。
このインゴットは三菱マテリアルという会社からレンタルされたもので、約20年間のレンタル費用はなんと1億円。
淡路島では、当時話題になった「ふるさと創生事業」で得た1億円を、このレンタル費用に充てたのです。
モニュメントの製作や補助金事業に充てる自治体が多い中、淡路島のインゴットレンタルは大きな話題に。ゴールド好きな観光客を多数集め、観光事業の活性化に役立ちました。
残念ながら資料館には、すでに本物のインゴットはありませんが、代わりにレプリカが展示されています。
金のインゴットで資産運用
金のインゴットと言えば、資産運用で注目される機会が多いもの。「いったいなぜ?」と不思議に思う方もいるのではないでしょうか。
投資対象として金が注目を集めるのは、世界経済への不安感が高まっているタイミングです。資産としての金の魅力は、その価値が安定していること。現金や株券、債権とは違って、不安定な経済の中で、その価値が暴落するリスクは少ないでしょう。
昨今の投資ブームによって、一般の方でも金に投資するケースが増えていますし、経済への不安感から、資産をより安全に管理するため、金投資の割合を増やす投資家も多くなってきています。
また資産を守るために金を購入するのは、「個人」だけではありません、各国の中央銀行も、資産を守るために金を保有しています。
こうした場面で活躍するのが、金のインゴットです。インゴットに加工された金は、ジュエリーのように着飾ることもできませんし、コインのように持ち歩くのも容易ではありません。しかし、投資対象として取引したり、資産として保管したりするためには、適した形状をしています。
またジュエリーやコインと比較すると、加工のための費用が少なく済む点も特徴の一つです。金を鋳型(いがた)に流し、刻印を打つだけでインゴットが出来上がりますから、同じ投資対象として流通している地金型金貨と比較しても、余計なコストがかからないというメリットがあります。
金のインゴットには厳しい規格がある
投資対象としてやりとりされる金のインゴットだからこそ、厳しい規格に則って管理されています。インゴットの原材料は純金であり、K24と表記されます。
ジュエリーの世界では、純金に混ぜ物をしたK22やK18が主流ですが、インゴットの場合は状況が異なります。純度はK24のみ、つまり混ぜ物が何もない純金の状態でのみ取引されています。
インゴットに使われるのは「純金のみ」とお伝えしましたが、現実には、純度100%の金を作るのは困難です。できる限り純度を高めた状態で作られるのが理想ですが、中には、純度の低い粗悪品が出回ってしまう可能性も。こうしたリスクを避け、金の価値を落とさないために設けられているのが、各種規格です。
インゴットに関する規格は、代表的な取引市場によって設けられており、また溶解業者や品質保証評者など、細かな認定リストも定められています。こうした規格、条件を満たしていなければ、市場を通じて取引できない仕組みです。
「なんぼや」は最新の金・貴金属の買取相場を公開しています。
相場のグラフを確認することも出来ますので金・貴金属の買取価格が上がっているのか簡単に確認することも出来ます。詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
LBMA(ロンドン貴金属市場協会)
そこで、ロンドン貴金属市場協会(LBMA; London Bullion Market Association ※1) では、ロンドン金市場受渡適合品(グッドデリバリー・バー)と呼ばれる規格を定めています。
グッドデリバリー・バーとして取引される金のインゴットは、99.5%以上という非常に高い純度を持つ必要があります。
また、日本の東京商品取引所では、99.99%以上の純度のものが取引されています。
中国、台湾などでも99.99%以上の純度のものが取引されていますし、中東においても99.5%以上の純度のものが取引されるのが一般的です。
グッドデリバリー・バーは、ほかにも厳しい規定が設けられています。
その形状や重量にも規格があり、重量と純度が分かるように刻印が打たれている必要があります。
また、認定された精錬会社で製造され、試金業者によって正確に試金されている必要があります。
さらには認定された専門保管業者と輸送業者によって、取り扱われる必要があります。
グッドデリバリー・バーとして認定されたインゴットなら、事実上の世界標準として、高い信頼性のもとに世界中で取引できるのです。
※1
世界3大市場とも呼ばれるロンドン市場は、現物地金取引の中心です。この専門市場の金や銀の品質を監督しているのが、LBMAです。ロンドン市場で流通する金の規格を制定するだけでなく、公認溶解業者などの認定も行っています。
東京商品取引所
商品先物取引市場を開設するために作られた、東京商品取引所。英語表記は「Tokyo Commodity Exchange, Inc.」で、こちらを省略したトコム(TOCOM)という名称でも親しまれています。
もともとは「株式会社東京工業品取引所」と呼ばれていましたが、2013年に今の商号へと変更しています。さらに2016年には、現物市場も開設しました。
東京商品取引所の特徴は、日本で唯一の公設貴金属市場であるという点です。厳正な取引基準のもとで、世界各国のブランドインゴットが先物取引の受渡供用品として扱われています。
インゴットの作りかた
純金から作られるインゴット。純金と言えば、「鉱山から採掘されるもの」というイメージを抱く方も多いのではないでしょうか。
日本においても、以前は多数の鉱山で金の採掘が進められていましたが、現在ではそのほとんどが閉山しています。
地表近くの金を掘りつくしたために、採算を取ることが難しくなってしまったからです。
こうした状況の中、注目されているのがスクラップから金を取り出し、インゴットを作る方法です。具体的な手順について紹介します。
回収
「都市鉱山」という言葉を耳にした経験はありますか? 都市生活に欠かせないスマートフォンやパソコンには、半導体が用いられていて、その中には金が豊富に含まれています。つまり、これらの「鉱山」を分解・分別すれば、金のリサイクルが可能となります。
半導体のスクラップ以外にも、使わなくなった貴金属ジュエリーや工場の廃液も、リサイクルへと回され、金が回収されています。
溶かしてから再び固体に戻す
スクラップから取り出された金製品は、さまざまな形をしています。いったんすべてを溶かして、再度固体に戻すための作業を行います。
とはいえ、金を溶かすのは非常に難しく、専用の液体を使わなければいけません。金を溶かせるのは、王水と呼ばれる非常に強力な酸のみです。
王水に金製品を入れて溶かしたら、還元剤を入れて固体粉末に戻します。
ろ過、乾燥
固体粉末を含んだ溶液をろ過すれば、金の結晶粉末のみを、溶液内から取り出せます。金以外の成分や還元剤は、溶液と共に流されますから、取り出された金の粉末の純度は、99%以上を誇ります。この粉末を乾燥させると、茶色い金粉末が出来上がります。
もう一度溶解して戻す
99%以上の純度では、まだインゴットには適していません。さらに純度を高めるために、「王水で溶かす→ろ過する」という作業を再度繰り返します。乾燥すると、金粉末の色は茶色へと変化。いわゆる「精製金」と呼ばれる状態で、純度は99.99%以上です。
粉末を粒にする
粉末状の金を溶かし、固体にしていきます。金を溶かすために必要な温度は、1064度。これ以上の熱を加え、粉末が溶けたところを急速に冷却。溶けて固まった金が、粉末から個体へと変化します。この段階で、金は黄金色の数ミリサイズの粒状になっています。
ちなみに、このような貴金属の粒は、金以外にも地金として一般的に流通しています。銀製品の場合、「笹吹き」とも呼ばれています。
粒をインゴットに成形する
黄金色の数ミリサイズの粒に、再度1000度以上の熱を加えます。すると、金属が溶けたときの、ドロドロとした状態になり、自由な形に成形できるようになります。鋳型に入れて固めれば、純度99.99%のインゴットが出来上がります。
ここまでが、スクラップから99.999%のファイブナインと呼ばれる、金のインゴットを作るための方法になります。手順さえ知っていれば、スクラップからでも、高純度の金を得られるでしょう。
検査、刻印
インゴットの形が出来上がったら、最後の仕上げに刻印を打ちます。最終検査結果をもとに、ロンドン金市場の公認マーク(メルターズマーク)や品質、ブランド名などを刻み込みましょう。
刻印を入れることで、その価値や純度が保証された、世界で通用する金のインゴットが出来上がります。
インゴットの刻印
金のインゴットには、その品質を保証する保証書はありません。そのかわり、品質を保証する刻印が打ってあります。
つまり、金のインゴットそれ自体が品質を保証しているわけです。
金のインゴットに打たれる刻印には、以下のものがあります。
商標
そのインゴットがどこのブランドで製造されたものなのか、一目でわかるようにするためのマークです。グッドデリバリー・バーとして認定を受けるためには、LBMAによる厳しい審査をクリアしなければいけません。
この審査をクリアし、晴れて公認の業者となった場合、その事実を示すための公認マークが刻まれています。グッドデリバリー・バーを見分けるためのヒントにしてみてください。
製錬・分析者マーク
製錬業者のことをメルター、品位検定業者のことをアッセイヤーと言います。金の品質を維持するために、どちらも重要な役割を担う業者だからこそ、専用のマークが刻まれるケースもあります。製錬業者のマークをメルターズマーク、品位検定業者のマークをアッセイヤーズマークと言います。
メルターとアッセイヤーが同一であれば、マークは一つのみとなります。また製造ブランドがメルター・アッセイヤー双方の役割も担っている場合、こちらのマークは省略されます。
品位表示
品位表示とは、金の純度を示すための数値のことです。純度が重要視されるインゴットだからこそ、わかりやすい形でインゴット表面に刻印されます。
99.99%以上の純度のインゴットには、「999.9」という刻印が打たれます。4つの「9」が並んでいることから、「フォーナイン」とも呼ばれる表記です。
素材表示
インゴットの素材を示すための表示です。金のインゴットであれば、「GOLD」と刻まれているでしょう。
ときどき「FINE GOLD」と刻まれているインゴットもありますが、これは「純金」を意味する言葉です。品位表示と併せて注目してみてください。
重量表示
インゴットの重さを示すための刻印です。「500g」と刻まれていれば、そのインゴットが500gであることを示しています。
製造番号
製造番号(シリアルナンバー)が刻印されます。これは地金番号とも呼ばれています。
金のインゴットは、一つひとつが固有の製造番号を持っています。同じ番号のものは存在しません。
インゴットのサイズ
映画やアニメの世界で目にするインゴットと言えば、比較的大きく、台形の形をしています。しかし実際のインゴットは、その重量によってさまざまな種類が存在しています。
・5グラム
・10グラム
・20グラム
・50グラム
・100グラム
・200グラム
・300グラム
・500グラム
・1000グラム
投資対象として作られるインゴットだからこそ、細かな種類分けで、自身の目的に合った取引ができるように工夫されているのでしょう。
「1000グラムと言われても、あまり想像できない…」という方も多いかもしれませんが、こちらで大体、スマートフォンと同程度の大きさです。
映画やアニメの世界で知られる延べ棒は、いわゆる「ラージ・バー」と呼ばれるもの。12.5キロもある特大サイズで、やはり台形をしています。イングランド銀行などで保管されているのは、このラージ・バーです。
金のインゴットは、意外とバリエーションが豊富で、その形状やバランスは、製造元のブランドによって異なります。
機会があれば、ぜひ各ブランドのインゴットを見比べてみてはいかがでしょうか。
国内ブランド
金のインゴットは、次に挙げる国内ブランドから購入することができます。
- 田中貴金属工業
- 徳力本店
- 石福金属興業
- 住友金属鉱山
- 三菱マテリアル
- JX日鉱日石金属
- 三井物産
- 住友商事
- 三貴商事
- アサヒプリテック
田中貴金属工業、徳力本店、石福金属興業は3大地金商とも呼ばれる代表的な地金商です。
住友金属鉱山、三菱マテリアル、JX日鉱日石金属は、有名な鉱山会社です。
三井物産、住友商事、三貴商事はおなじみの商社です。アサヒプリテックは金属のリサイクル業者です。
ほかにも、銀行でも購入できる場合ができます。
こうした、信用できるブランドのものを購入するようにしましょう。
国外ブランド
国外にも、信頼できるブランドがたくさんあります。
イギリス
- Johnson Matthey
- Engelhard
- Engelhard-CLAL
のような貴金属メーカーがあります。
スイス
- Argor S.A.
- Argor-Heraeus S.A.
- Valcambi S.A.
- Metalor
- PAMP
のような金属メーカーや、
- Swiss Bank
- Credit Suisse
などの金融・銀行業者があります。
ドイツ
金属メーカーの
- Degussa
があります。
オーストラリア
- Golden West Refining
- AGR Matthey
といった金属メーカーや、
- Perth Mint
という造幣局のものがあります。
カナダ
造幣局の
- Royal Canadian Mint
もあります。
その他
フランス、韓国、南アフリカにはそれぞれ
- Comptoir Lyon Alemand Louyot
- LG Metals
- Rand Refinery
というブランドあります。
ほかにも、ウズベキスタンの
- Navoi Mining and Metallurgical complex
というブランドもあります。
金のインゴットの購入・保管方法
金のインゴットはさまざまな手段で購入できます。
500グラム未満のインゴットを購入するときには、バーチャージと呼ばれる手数料がかかってしまう場合があります。
そのため、1000グラム以上のものが購入されることが多いのですが、2022年金は1グラムあたり8000円代で取引されていますので、大変高価なものになります。
金のインゴットは高価な買い物ですので、保管の仕方もよく考えてみる必要があります。
グラムやキロ当たりの値段は?
金の値段は、基本的に重さで決まる仕組みです。世界市場での取引価格は1トロイオンス当たりのUSドルで示され、日本円での値段は為替相場に基づき算出されます。
2022年11月頃の取引相場によると、金の延べ棒(もしくはインゴット)1㎏の値段は約880万円でした。この価格は、1トロイオンス=約31.1035gを基準として1g=約8,800円の取引価格から導き出されています。
以上の価格を踏まえると、10㎏なら約8,800万円、100gでも約80万円になります。自宅で眠る金の延べ棒などを売却すれば、決して安くない収入を得られると期待できるでしょう。
なお、金取引の市場動向やドル円の為替相場は、日々の変動を避けられません。一般的に金は値崩れしにくい資産といわれますが、2022年の相場を見る限り、1gにつき8,500円から8,900円くらいまでの変動幅が見られます。
そのため、実際に売却するときは、あらかじめ取引市場やドル円為替の動きをチェックしておくとよいでしょう。
直接購入の場合
金のインゴットは、貴金属店、地金商、商社、精錬会社、銀行などの店舗で購入することができます。金を扱っている貴金属販売店や宝石店は全国各地に見られます。自宅の近所に見当たらなくても、駅周辺や都市部の繁華街まで足を運べば複数の店舗を探し出せるでしょう。なお、インターネット通販でも購入が可能です。
たいていの店舗は、1gからグラム単位で販売しています。通常、日々の取引価格は世界共通であり、国内で販売されるときの値段も大きく変わりません。どこの店舗で購入するとしても、当日の取引相場を反映した価格で買えると考えられます。
店舗ごとに大きな価格差は生じない状況にあり、わざわざ遠出する必要はないと考えられます。そのため、交通費や移動の手間なども考慮すると、できるだけ近場で購入するのがおすすめです。
また、金のインゴットは偽物が出回ることもあります。
ですので、LBMAが公認する精錬業者や日本地金流通協会の会員業者などの、信頼のおける業者から購入しましょう。
購入した金は自宅の金庫に保管される場合も多いのですが、強盗が入ってしまうこともあります。
そこで、保管業者を利用するのがおすすめです。
ほかにも、銀行の貸金庫を利用することもできますし、購入先の業者が保管サービスを提供している場合もあります。
純金積立の場合
純金積立で購入された金のインゴットの場合は、自動的に業者に預ける仕組みになっています。
通常、「特定保管」と呼ばれる方法か、「消費寄託」と呼ばれる方法で保管されます。
いずれの保管方法にも、一長一短があります。
特定保管
保管業者に保管してもらうサービスで、その業者が倒産してしまった場合でも預けた金のインゴットは回収できます。
消費寄託
所有権を保管業者に移しますので、業者が倒産してしまった場合には、預けた金を回収することができない場合があります。
そのかわり、業者に金を運用してもらって得られた運用益を受け取ることができます。
安全に資産を保管するだけが目的なら特定保管がおすすめですが、多少のリスクがあることを承知で運用益を得たい場合には消費寄託がおすすめです。
金のインゴットには偽物もある!
最後に解説するのは、金のインゴットの偽物についてです。
価値の高いインゴットだからこそ、古くから偽物は付き物で、現代においても他人事ではありません。気付かないうちに偽物を手にしてしまっている可能性もあるので、十分に注意してください。
たとえば、金と似た比重のタングステンという金属を使えば、非常に精巧な偽物が出来上がります。
表面に金メッキを施せば、見た目で見極めるのはほぼ不可能です。タングステン以外にも、銅やニッケル、亜鉛など、世の中にはさまざまな素材の偽物が出回っています。
パチンコの景品など、信頼できる取引ルート以外で入手した品で、以下のような点に思い当たる節があれば、偽物の可能性があります。
・本物の金よりも軽い気がする
・刻印の仕上がりが雑である
・刻印の内容が違っている
本物かどうかを確かめるためには、X線による検査が有効です。
また硝酸をかけて反応があるかどうか調べる方法もあります。金であれば、硝酸をかけても何の変化も見られませんが、その他の金属であれば変色してしまいます。
金のインゴットのまとめ
金のインゴットは、私たちの生活にとって身近な品物です。投資をしている方はもちろん、それ以外の方の生活にも間接的に関わっています。観光事業の活性化においても、無視できない存在だと言えるでしょう。
はるか昔からその価値を認められてきた金だからこそ、金のインゴットには厳正な規格が定められています。インゴットの取引を検討するなら、確かな刻印が刻まれている、信頼できるブランドの品を購入しましょう。高価なものだからこそ、万が一にも偽物を購入しないよう、注意してください。
金のインゴットに関する基礎知識を身に付けた上で、より深く親しんでみてください。インゴットを販売する、各種ブランドに注目してみるのもおすすめです。