プラチナの硬度とは?金属としての特徴や用途について紹介
プラチナは、金より硬く鉄より柔らかい貴金属です。プラチナには工業的に使用する純プラチナと、日常使用の合金プラチナがあります。この記事では、それぞれの特徴や硬度についてまとめ、プラチナジュエリーの硬さに焦点をあてて解説していきます。プラチナ購入・売却の際の参考にしてみてください。
プラチナの硬度とは?
ここではプラチナの硬度に関して解説します。
- プラチナ硬度を表すビッカース硬度
- プラチナ硬度を上げる「合金」
それぞれ順番に見ていきましょう。
プラチナ硬度を表すビッカース硬度
金属の硬度は「ビッカース硬度(Hv)」で表されます。ビッカース硬度とは、ダイヤモンド製の物体で押し込んだときの荷重と窪みの表面積比から硬さを測定する指標です。
金属 | ビッカース硬度(Hv) |
鉄 | 110 |
純プラチナ | 50 |
金 | 22 |
表からも純プラチナは金より硬く、鉄より柔らかい金属であることがわかります。
プラチナの硬度を上げる「合金」
合金とは、純粋な金属に1種類以上の他元素を混ぜた金属素材のこと。日常使用のプラチナは合金して硬度を高めるのが一般的です。以下はプラチナ合金の代表例です。
- プラチナ+パラジウム合金
- プラチナ+パラジウム+ルテニウム合金
- プラチナ+パラジウム+銅合金
それぞれのビッカース硬度は、以下の表のようになります。
合金方法 | ビッカース硬度(Hv) | 備考 |
プラチナ+パラジウム | 130 | プラチナとパラジウムを合金した場合のビッカース硬度は130Hvで、純プラチナ55Hvより硬くなります |
プラチナ+パラジウム+ルテニウム | 110~220 | パラジウムやルテニウムを配合したPt950は、ビッカース硬度が約110〜220Hv |
プラチナ+パラジウム+銅 | 110~250 | パラジウム7%・銅3%のPt900(プラチナが90%)の場合、ビッカース硬度は110〜230Hvパラジウム10%・銅5%のPt850(プラチナが85%)では、ビッカース硬度は120〜250Hv |
合金により硬度を上げることで、日常的に使用しても壊れにくいプラチナジュエリーが生まれます。
ISO国際標準化機構で定められたプラチナ純度
一般的に流通するプラチナとはISO国際標準化機構で認められた純度のプラチナを指します。ISO国際標準化機構で認められているプラチナは、プラチナの割合が100%・95%・90%・85%のものです。それぞれPt1000・Pt950・Pt900・Pt850と表されることがあります。プラチナの割合が85%を下回る場合、プラチナとは認められていません。
硬度以外にも!プラチナの特徴・特性
プラチナは硬度以外にも「希少性・耐食性」に優れた貴金属です。貴金属とは、金属のうち化合物をつくりにくい希少性のある金属のことを指します。
プラチナは希少性や耐食性に優れているため、工業用としてだけでなくジュエリーの素材としての価値が高いです。プラチナの価値が高まる要因である「希少性・耐食性」について説明します。
プラチナの希少性
プラチナは、地球上に埋まっている量が少ない希少な金属です。地球上に存在するプラチナの総重量は推定1万6,000tで、金の3分の1程度しかありません。南アフリカやロシア・アメリカ・カナダ・ジンバブエなど、ごく一部の地域でしか産出されておらず、中でも南アメリカの産出量が多いと言われています。
その希少性ゆえにプラチナの価値は、2020年頃から右肩上がりとなっています。
プラチナの耐食性
プラチナは優れた耐食性を持っています。耐食性とは腐食しにくい性質のことで、プラチナは鉄に比べ錆びにくいのが特徴です。
外部環境や科学的な影響に対する抵抗力が強いため、日常的に身に着ける結婚指輪などによく使用されます。また耐食性が高いことは、価値が下がりにくいことを意味します。現物資産としての価値を維持し続けられる点もプラチナの魅力と言えるでしょう。
ジュエリーだけじゃない!プラチナの代表的な用途
プラチナは、硬度や優れた特性から、ジュエリー以外にも以下のような分野で活用されています。
- 自動車産業
- 医療分野
- 電子工学
- 化学工業
それぞれの分野でどのように活用されているかご紹介します。
自動車産業
プラチナの年間需要のうち、約4割は自動車産業によるものです。自動車産業はプラチナの最大用途と言え、主にディーゼル車の排気ガス浄化装置として用いられています。
プラチナは排気ガス浄化装置である触媒コンバーターに使用され、排気ガス中の一酸化炭素や窒素酸化物を効率的に分解し、環境への影響を軽減できるのが特徴です。触媒上で酸化と還元を行うことにより、浄化率は新品で90%もあると言われています。
医療分野
プラチナは、医療機器にも使用されています。
特に心臓カテーテルや神経刺激装置などの医療デバイスに使用されることが一般的です。生体適合性やアレルギー反応を起こしにくい性質を実現するために、プラチナの優れた耐食性が不可欠だと考えられています。
命に直結する医療分野では、様々な環境下でも変化しない特性が求められます。プラチナの優れた耐食性は医療分野のデバイスの信頼性と耐久性を向上させ、患者の治療に貢献しています。
電子工学
プラチナは希少性や耐食性に加え、高い導電性により電子工学分野でも使用されています。
特に宇宙船や宇宙ステーションの電気回路、半導体やセンサー、電極材料に使用されることが多いです。
また、プラチナは燃料電池の発電にも重要な役割を果たしています。プラチナの触媒作用により、水素イオンと酸素イオンに分解される作用を利用し、水素燃料への活用も検討されています。
化学工業
プラチナは、化学工業では触媒や電極・るつぼなどに使用されています。石油精製や有機合成などの産業プロセスにも重要な役割を果たし、触媒としてのプラチナは反応速度を向上させ、生産効率を高めています。
しかし化学工業分野でのプラチナ需要は、2023年に前年比2%減退しました。硝酸生産におけるプラチナの需要は横ばいで、シリコーン需要は世界的に停滞しています。そのため化学工業でのプラチナ需要は、一定の水準を保つことになると予想されています。
プラチナ製品のお手入れ方法
プラチナジュエリーはお手入れが簡単ですが、アフターメンテナンスが必要になることがあります。3つのパターンにおけるお手入れ方法を紹介します。
- 汚れを落とす
- 変色した場合
- 黒ずみがある場合
それぞれ順番に見ていきましょう。
汚れを落とす
プラチナジュエリーの基本的なお手入れは、以下の手順で行います。
- ぬるま湯に中性洗剤を入れ薄める
- プラチナジュエリーを1に浸けておく
- 汚れが浮いてきたらブラシで磨く
- 水で流してから良く乾かす
日常で使用した際に付着した汚れは、上記の方法で比較的簡単に落とすことができます。
変色した場合
プラチナは耐食性に優れているため、錆びる心配はほとんどありません。しかし銅や鉄との合金である場合、変色してお手入れが必要になることがあります。変色してしまった場合は、購入店へ持っていきアフターメンテナンスの仕上げ直しを行いましょう。
黒ずみがある場合
プラチナの黒ずみは、合金加工に含まれる別の金属が化学反応して起こることがあります。
合金に含まれる金属の酸化や塩化が原因であることが多いため、購入店でのアフターメンテナンスをおすすめします。
プラチナの買取は実績が豊富な「なんぼや」にお任せ
プラチナは希少価値があり耐食性に優れた貴金属です。いつまでも変わることがない美しさを兼ね備え、結婚指輪などにも使用されています。しかし場合によっては大切なプラチナジュエリーを買取してもらいたいこともあるでしょう。
プラチナの価値は下がりにくいとはいえ、市場価格に対して不適切な価格をつける買取業者も存在します。「なんぼや」にご相談いただければ、豊富な実績と適切な査定を元に、適切な価格にて買取いたします。査定のみのご相談も大歓迎ですので、一度ご相談にお越しいただければ幸いです。