銀価格の今後の見通し・将来性は?銀製品を高く売るポイント
銀の価格動向については、投資家だけでなく、シルバーアクセサリーや銀器などのアイテムを売却したい方にとっても気になる情報です。
本記事では、銀の特徴に加え、銀価格の過去の動向や今後の見通し、銀製品をより高値で売却するポイントも解説します。
銀の特徴は?
まずは、銀の特徴や価値、銀の主な用途を見ていきましょう。
銀の特徴
銀は原子番号47の元素で、貴金属の一種です。室温における電気伝導率と熱伝導率、そして可視光線の反射率は、いずれも金属の中で最大値となっています。
光の反射率が可視領域にわたって約98%と高いことから美しい光沢があり、昔の日本では「しろがね」または「しろかね」(白銀:白い金属)と呼ばれました。
変形させやすい性質を持ち、1グラムの銀は、なんと約2200メートルの棒状に伸ばすことが可能です。
また、金属の中では比較的化学変化しやすい特徴もあります。空気中に硫黄化合物、例えば自動車の排ガスや温泉地の硫化水素などが含まれていると、表面に硫化物Ag2Sが生成し、黒ずんでしまうのです。
昔、支配階級や富裕階級の食器材料には銀が用いられていました。それには、硫黄化合物やヒ素化合物などの毒を混入された場合、化学変化による変色によって異変を察知できるから、という説があります。
なお、銀イオンはバクテリアなどに対して強い殺菌力を持つため、現在では抗菌剤として使用されています。
銀の「価値」
紀元前1000年から紀元後1500年の2500年間近く、銀は金よりも価値がありました。当時、銀は金の2.5倍ほどの価値があり、銀器は高価なアイテムとされていました。
かつて「錬金術」と呼ばれるものがありましたが、当時は銀を作り出す「錬銀術」も盛んに行われていたといわれるほどです。この「銀の方が価値が高い」という認識は、当時世界共通でした。
なお、お金を扱う場所を私たちが「銀行」と呼ぶのにも、銀が関係あるようです。一説ですが、中国では19~20世紀ぐらいまで、経済価値は銀をベースとして判断していました。その後、銀鉱山が立て続けに発見されたことで銀の価値は下がりましたが、貨幣としては「銀貨」が中心だったために、お金を扱う場所を「銀行」と呼ぶようになったとされています。
銀の使い道
銀は、主に工業用・投資用・宝飾品用・銀器用の4つに分けられます。
工業用 | 工業用のなかでも、電気・電子機器に使われる半導体は銀需要の大部分を占めています。 ほかにも、フィルムカメラのフィルム、接合用、太陽電池などにも使われます。 |
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投資用 | 金ほど投資用貴金属としての人気はないものの、太陽電池など、今後銀需要が高まるという予測から、投資用として銀を購入する人がいます。 |
宝飾品用 | 貴金属のなかでは安価でありながら美しいことから、シルバーアクセサリーとして人気です。 |
銀器用 | 比較的安価でさびにくい性質を生かし、銀食器として広く活用されています。 |
身の回りの製品を見てみると、防臭剤や酸化銀電池、エンジン、ステンドグラス、3Dプリンター、タッチスクリーン用手袋、銀イオンを活用した浄水装置、酢酸銀を含む禁煙グッズ、銀イオンを含む洗濯用洗剤、プラスチック製品、ソーラーパネル、歯の詰め物(銀歯)、菓子を装飾するアラザンにも、銀は利用されています。
銀価格の過去の動向
ここでは、銀の過去の推移を見てみましょう。
1970〜80年代
1970年代、銀は1オンス当たり4〜5ドルで推移していました。
1979年から1980年にかけ、石油会社を経営する富豪の一族であるハント兄弟が、先物市場で大量の銀を買い占め。9ドルほどだった銀価格は50ドル近くまで暴騰し、ハント兄弟は巨額の利益を上げたのです。
しかし、ヨーロッパからの銀の流入や先物取引の規制などにより、ハント兄弟は買いポジションを維持できなくなり、銀の大暴落を引き起こします。
1990年代〜
銀価格は落ち着きを取り戻し、1オンス5ドル付近で取引されるようになりました。その後、1オンス当たり20ドル付近まで上昇しますが、リーマン・ショックにより急落。徐々に値下げ分を取り戻し、上昇基調に転じます。
2010年から2011年にかけては、太陽光発電の普及による需要見込みや、金に比べて割安であったことなどから、投機マネーが流入します。
市場規模が金より小さいため、巨額のマネー流入によって銀価格は急騰。一時は、1オンス50ドル付近まで上昇しました。このときの急騰を「シルバーショック」といいます。
2000年代〜
銀相場は急落しますが、1990年代よりもはるかに高い水準で推移していきます。2020年には、新型コロナウイルスの影響で銀相場が大きく下落。1オンス当たり12ドルを切るシーンもありました。
しかし、その後銀価格は急回復し、2020年7月以降は1オンス当たり20ドルほどで変動します。
2022年3月以降になると、アメリカの中央銀行であるFRBの利上げなどによる影響で銀相場が下落したものの、大きくは下がらず、2023年11月には1オンス当たり22ドル前後で推移しています。
銀価格の変動の要因
銀の価値は、金の価格、需要による変動、生産国の情勢などによって左右されます。また、要因の一つに、米金利の動向も挙げられます。
2020年、新型コロナウイルス対策で急低下していた米国金利は、2022年に入ると一気に引き上げられました。その結果、金利が下がる期待が薄れ、銀相場も下落。アメリカ政府が設定する金利は、2023年11月までに0.25%から5.25〜5.50%まで引きあがりました。
2024年2月現在、利上げペースは緩やかになってはいるものの、FRBはまだ利上げに積極的な姿勢を変えていません。そのため、今後も金利が上がる可能性があります。
また、銀価格の今後について考えるならば、アメリカだけでなく世界経済の動向にも目を向けるべきです。世界景気が後退して半導体製品や太陽光発電設備の需要が減少すれば、銀の需要が減り、銀価格が低下する恐れがあります。もちろん、世界経済が好転すれば需要が増加し、銀価格も上昇する可能性があるでしょう。
銀価格の今後の見通し
それでは、今後の銀価格はどのような見通しとなるでしょうか。
景気後退による下落の恐れ
金利の上昇により、銀価格が下落する可能性が考えられます。
金利が上昇すると、金利を生まない金や銀の人気が下がります。2023年、FRBは、インフレが抑えられるまで金利を上げ続けるとしているため、しばらくは高金利が続くでしょう。
すると、アメリカ国債などの魅力が高まり、金や銀を売って債券を買う動きが出るかもしれません。これにより、銀の価格が下がる恐れがあるのです。
短期的な目線で見るならば、銀価格が上昇する可能性は薄いとの見方が強いとされています。
金価格の上昇に連動した上昇の可能性
金と銀は貴金属という同じカテゴリーに当たるため、上昇・下落のタイミングにある程度の関わりがあります。金価格が上昇すれば、それと連動して銀価格も上昇する可能性があるのです。
シルバーショック前後の金相場と銀相場を比較すると、一時的な高騰(シルバーショック)を除いて、金と銀の価格に連動性がみられます。
「金価格が下がれば、銀も下落する恐れがある」ことに留意してください。
銀の採掘量の減少と需要増大による上昇の可能性
銀の鉱山生産量は2016年以降、減少傾向にあります。今後も生産量が増えていく見込みはほとんどなく、供給が不足していく可能性が高いようです。
一方で、銀の工業需要はますます伸びているため、銀価格は今後大きく上昇することが考えられます。
鉱山生産国上位3カ国は、メキシコ、ペルー、中国です。これらの国の政治や経済の安定性に注意しておくことは、今後の銀価格の動向を予測するポイントの一つとなります。
銀製品を高価買取してもらうためのポイント
銀は柔らかく傷つきやすいほか、硫化によって黒ずみやすい特徴があります。大切にしまい込んでいても変色する恐れがあるため、出番が減ってきたら、売却も視野に入れてみましょう。
日頃からメンテナンスを
使った後は、必ず柔らかい布で優しく拭うようにしてください。
一日装着した後のジュエリーには汗や皮脂が付着しているため、そのままにしておくと固着したり、酸化したりします。
汚れがひどい場合は中性洗剤を少量とり、毛先が柔らかい歯ブラシなどを使って軽く磨きましょう。中性洗剤を少量入れたぬるま湯に一日漬け置きするのもおすすめです。
また、銀の黒ずみを取りたい場合は専用洗浄液を使うのがおすすめですが、家庭にあるものでも代用は可能です。耐熱容器にアルミホイルを敷き、重曹を大さじ1と熱湯を注いで、そこにシルバーアクセサリーを入れてみてください。
他にも、酢に浸したり、研磨剤入りの歯磨き粉を使って指で磨いたりといった対応もできますが、銀は柔らかいため、強い力で擦らないように注意しましょう。
付属品に付加価値がつくことも
シルバーアクセサリーに限らず、ブランド品や高額商品の場合は、専用ケースや証明書などに付加価値がつくことがあります。購入時に捨ててしまわず、大切に保管しておきましょう。
付属品がコンプリートしている状態なら、製品のみの査定に比べ、予想よりも高値になることがあります。
買取店の実績をチェック
査定を依頼する店舗は、価値を正しく査定できる実績のある店がおすすめです。基本的にはその日の「相場×重量」で査定額が決まりますが、ブランドもの、デザイン性に優れているものは、価格が上乗せされることもあります。
最も重要な点は、シルバーアイテムの実績が豊富な買取店を見極めることです。
銀そのものが安価で模造されやすいため、シルバーアイテムのコピー品はとても多く出回っています。知識の豊富な鑑定士がいない買取店だと、コピー品を恐れて買取拒否されたり、本来ならブランド価値があるシルバーアクセサリーを安価で買いたたかれたりする危険性があります。
また、シルバーアクセサリーに宝石が付いている場合、ノウハウがなければ宝石分の価値が評価されないことも考えられるでしょう。
売却を依頼する店舗選びは重要であることを覚えておいてください。
まとめ
銀製品の買取依頼を検討している場合は、現在の相場、お手持ちのアイテムの状態、そして「どこに依頼するか」をしっかり確認することが大切です。
銀製品の買い取りは、実績が豊富な「なんぼや」へ相談してみてください。シルバーアイテムのブランドに精通したスタッフが、純度や付加価値を考慮し、丁寧に査定を実施しています。