金属アレルギーから身を守るための基礎知識
私たちの周りには、アクセサリーやバッグの取っ手、ベルトのバックル、下着など…さまざまな金属が存在しています。こうした金属に反応し、引き起こされるのが金属アレルギーです。金属が素肌に触れると、皮膚のかぶれやかゆみ、痛み、発疹といった、アレルギー症状が現れてしまいます。
金属アレルギーの原因物質は「金属」ですから、万が一発症した場合、時計やメガネのフレーム、リングやピアスなど、ありとあらゆる製品に注意しなくてはならなくなります。「ゴールド製のアクセサリーなら大丈夫」と思っている方もいるかもしれませんが、「金だから確実に安心」ということはなく、やはり注意する必要があるでしょう。
金属アレルギーから身を守るためには、症状の特徴や発症メカニズム、医学上の定義などについて、正しい知識を身に付けておくことが大切です。金属アレルギーにならないための対策や、万が一症状が出てしまった場合の対処法についても解説するので、ぜひ参考にしてみてください。
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金属アレルギーは身近なアレルギー
金属アレルギーは、近年話題になることが増えてきたアレルギーです。私たち日本人にとっても、身近なアレルギー症状の一つと言って良いでしょう。
金属アレルギーと言えば、「金属製のアクセサリーを身に付けていると、肌がかぶれたり、赤みや痛み、発疹が出たりする」というイメージを抱く方も多いのではないでしょうか? しかし実際には、化粧品や内服薬、食品や歯の詰め物によっても、金属アレルギーは引き起こされます。
私たちの生活にとって、金属はもはや欠かせないもの。だからこそ、金属アレルギーはより身近で、注意するべき存在であると言えるでしょう。
一般的に、金属アレルギーを発症しやすいのは、「40代以上の女性」と言われています。しかし実際には、世代や性別を問わず、多くの人が金属アレルギー症状に悩まされていることがわかっています。
金属アレルギーは、決して「特別な症状」ではありません。予備軍を含めると、日本人の10人に1人以上が、金属アレルギーに悩まされているとも言われています。
「私はこれまで、特に異常を感じていないから…」と油断するのも禁物で、ある日突然、金属アレルギーを発症してしまうケースもあります。
謎も多いアレルギーの世界ですが、そもそも金属アレルギーとは、医学的にどういったものだと定義されているのでしょうか? 詳しくチェックしてみましょう。
金属アレルギーは「アレルギー性接触皮膚炎」
医学的には、金属アレルギーは「アレルギー性接触皮膚炎」と定義されています。なぜなら、金属アレルギーの症状が出る場所は、基本的に「金属が直接触れた部分の素肌」だからです。
(状況によっては粘膜に症状が出るケースもあり、この場合は「粘膜炎」と診断されます。)
つまり、「素肌に金属が触れたことによって発生した、アレルギー性の皮膚の炎症」こそが、金属アレルギーの正体です。
ちなみに、接触性皮膚炎が起きる原因は、金属アレルギーだけではありません。酸やアルカリなど、刺激の強い薬品が原因で引き起こされるのは、刺激性接触皮膚炎と言います。
金属が触れて皮膚に炎症が起きるのは、「刺激」が原因ではなく、「アレルギー」が原因です。
では次は、アレルギーについて、より詳しくチェックしていきましょう。
金属自体はアレルギーの原因ではない
アレルギーには、さまざまなタイプが存在しています。花粉に反応するアレルギーもあれば、食物に反応するアレルギーもあります。各種アレルギーに共通しているのは、「免疫と関係して各種症状が引き起こされる」という点です。
体に何らかの「異物」が入り込んだとき、それを排除しようとするのが免疫機能ですが、この反応が過剰に出てしまっている状態を、アレルギーと言います。
アレルギー症状を発症した際に、原因となった異物のことを「アレルゲン」と言います。先ほど例に挙げた花粉症の場合、アレルゲンは花粉です。卵アレルギーの人にとってのアレルゲンは卵と、非常にわかりやすい仕組みになっています。
一方で、金属アレルギーの場合のアレルゲンは、「金属そのもの」ではありません。
金属が素肌に触れることで引き起こされる金属アレルギーですが、アレルゲンとなるのは、「金属の原子が溶けだし体内のタンパク質と結合したもの」です。
これが体内で異物とみなされ、免疫細胞が過剰反応。皮膚のかゆみや痛み、発疹といった、各種アレルギー症状を引き起こしてしまいます。
アレルギーの5つの分類
ここでは、アレルギーについてより詳しい知識を身に付けていきましょう。アレルギーは、その症状の発生メカニズムによって、5つの型に分けられています。
クームス分類と言われる分類について、I型からV型まで詳しくチェックしてみましょう。
I型アレルギー
I型アレルギーの別名は、「即時型アレルギー」です。
その特徴は、アレルゲンが体内に侵入した際に、すぐにアレルギー症状が引き起こされること。I型アレルギーで症状が現れるまでのメカニズムは、以下のとおりです。
具体的には、アトピー性皮膚炎、気管支ぜん息、アレルギー性鼻炎、ペニシリンショックといったアレルギーが、こちらに分類されています。
II型アレルギー
II型アレルギーの別名は、「細胞傷害型アレルギー」です。
重症筋無力症、特発性血小板減少性紫斑病、新生児溶血性疾患などがII型アレルギーに分類されています。
II型アレルギーの場合、IgGやIgMといった抗体が、アレルゲンを持つ自身の細胞に結合して引き起こされます。この結合した細胞に、NK細胞など白血球の一種が反応して攻撃。結果として、自身の細胞が破壊されてしまうアレルギーを指します。
V型アレルギー
V型アレルギーの別名は、「刺激型アレルギー」です。II型アレルギーと似たメカニズムで引き起こされます。
II型の場合は細胞を破壊してしまいますが、V型の場合は細胞の機能を異常に活性化させてしまいます。この「異常に活性化した状態」を「亢進(こうしん)」と言い、過剰な新陳代謝を引き起こしてしまいます。
V型アレルギーの典型的な疾患としては、バセドウ病などが挙げられます。
III型アレルギー
III型アレルギーの別名は、「免疫複合体型アレルギー」です。膠原(こうげん)病、急性糸球体腎炎などがこちらに分類されています。
III型アレルギーの原因は、アレルゲンが体内に侵入した際に作られる免疫複合体です。アレルゲンに反応した抗体が、結合して作られるのが免疫複合体で、この複合体によって細胞が傷つけられて、アレルギー症状が引き起こされるメカニズムとなっています。
IV型アレルギー
IV型アレルギーの別名は、「遅延型アレルギー」もしくは「細胞免疫型アレルギー」です。IV型アレルギーの発症メカニズムは以下のとおりです。
「遅延型」と呼ばれるのは、症状が出るまでにある程度の時間がかかるためです。アレルゲンが侵入したあと、Tリンパ球が活性化するまでに時間がかかることから、症状が出るまでにタイムラグが発生します。
ツベルクリン反応や接触性皮膚炎などが、IV型アレルギーに分類されています。
金属アレルギーはIV型アレルギー
私たちにとって、身近なアレルギーと言えばI型アレルギーではないでしょうか?花粉症や食物アレルギーなど、アレルゲンが体内に侵入して、すぐにアレルギー症状が出るケースが一般的です。
一方で、接触性皮膚炎である金属アレルギーは、IV型アレルギーに分類されます。身近なI型アレルギーとはさまざまな点で異なっているので、注意が必要です。
IV型アレルギーと言えば、「遅延型」が特徴です。このため、原因となる金属に触れたあと、数日経ってから症状が出てくるケースも珍しくありません。
またアレルギーを引き起こす直接的な原因やメカニズムも、I型とIV型では大きく異なっています。I型の場合は、IgEという抗体とヒスタミンによって引き起こされるアレルギー症状ですが、IV型の場合はマクロファージとサイトカインです。
同じアレルギーでも、原因やメカニズムが違えば、適した診断方法、治療法、対策は異なるもの。「アレルギーに良い」と言われる食事法や健康法も多数ありますが、それがそのまま金属アレルギーにも当てはまるとは限りません。
「金属アレルギー=IV型アレルギー」という事実を頭に入れた上で、IV型アレルギーに適した対策を行う必要があるでしょう。
金属アレルギーの症状
金属アレルギーに正しく対処するためには、まず金属アレルギーの各種症状について知っておく必要があります。
金属に触れた素肌に、以下のような症状が出てきたときには、金属アレルギーを疑い、適切に対処しましょう。
かゆみ
金属アレルギーの代表的な症状の一つが、皮膚のかゆみです。
腕時計や指輪など、素肌に直接金属を身に付けていて、その部分の肌にかゆみを覚えたら注意してください。
同じような症状の「あせも」と混同しやすいですが、金属アレルギーである可能性も考慮しましょう。
痛み、発熱
痛みや発熱は、金属製のピアスを身に付けている場合に、よく見られる症状です。着用中に、「耳が熱くなる」「ピアスを身に付けているあたりに痛みを覚える」といったケースが多いようです。
ピアスの金属成分が耳の穴で溶け、アレルギー症状を引き起こしていることがあります。
発赤
金属に触れていた部分の素肌が、赤くなる症状です。時計やブレスレットなどを、取り外した際に気付きがちです。
アクセサリーの形のとおりに、皮膚が赤みを帯びている場合、金属アレルギーの可能性があります。
発疹
皮膚が赤くなる代わりに、発疹が出る方もいます。こちらの場合も、金属を身に付けている肌の周辺に集中して、発疹ができてしまいます。
発疹からウミが出る場合もあるので、十分に注意しましょう。
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汗や雑菌は金属アレルギーのもと
接触性皮膚炎の一種である金属アレルギー。とはいえ、ここまで見てきたとおり、単純に金属が肌に触れることで引き起こされるわけではありません。金属アレルギーを引き起こす要因の一つが、人間の身体から排出される「汗」です。
人間の汗は弱酸性の性質をしていて、塩分も含まれています。普段、ごく自然に排出している汗ですが、実は金属を溶かしてしまう性質を持っているのです。汗が長時間付着しているときは、特に注意が必要です。
「金属が溶ける」というのは、金属に含まれる原子が「イオン化する」ということ。このイオン化した原子が体内に侵入し、体内のタンパク質と結びつくことで、アレルゲンとなります。
特に以下の条件下では、金属アレルギーを起こしやすいと言われています。
・身に付けている時計やアクセサリーに、雑菌が繁殖している
・身に付けている部分の皮膚に、小さな傷がある
雑菌が繁殖していたり、小さな傷があったりする場合、人間の体内では白血球が活発に働いています。金属由来のアレルゲンが侵入すれば、さらに活発化し、過剰反応のリスクも高まってしまうでしょう。
一度金属アレルギーを発症すると、何度も症状を繰り返してしまいます。
金属アレルギーと聞くと、「金属にさえ気を付けていれば良い」と思いがちですが、実際にはそういうわけではありません。金属製品とその清潔さ、汗や自身の皮膚の状態についても、配慮する必要があるのです。
金属の溶けやすさの目安その1:イオン化傾向
金属アレルギーは、金属が溶けること、つまりイオン化によって引き起こされます。
金属の中には、イオン化しやすいものもあれば、イオン化しにくいものもあります。つまり、普段からイオン化しにくい金属を身に付けていれば、ある程度、金属アレルギーの発症リスクを抑えられるということになります。
どの金属がイオン化しやすいのかは、金属ごとの「イオン化傾向」によって判定可能です。
それぞれの金属を水溶液などに浸した場合に、どの程度イオン化しやすいかを、相対尺度で表したのがこちらの情報です。
私たちの身の回りにある代表的な金属について、イオン化傾向順に並べると、以下のようになります。
亜鉛 > 鉄 > ニッケル > 錫(すず) > 銅 > 銀 > プラチナ > 純金
今回挙げた8つの金属の中で、もっともイオン化傾向が高いのは亜鉛。低いのは純金でした。亜鉛やニッケルといった金属は汗に溶けやすく、純金は溶けにくいことがわかります。
金属の溶けやすさの目安その2:酸化還元電位
金属の溶けやすさを知るために、イオン化傾向と共に参考にしたいのが、酸化還元電位と呼ばれる数値です。
イオンとは、わかりやすく説明すると、元素から電子が奪われた状態のこと。電子が奪われやすい物質ほど、溶けやすいと言えます。物質に電圧をかけて調べれば、電子の奪われやすさを測定可能です。
「溶けにくい」と言われている純金の酸化還元電位は、1.5ボルトから1.8 ボルトほど。非常に高い電圧をかけなければ電子を奪えず、溶けにくいことがわかっています。ちなみにこの酸化還元電位は、金属のサビつきやすさも示しています。酸化還元電位が高い金は、非常にサビにくい金属としても知られています。
私たちの身近にある金属の酸化還元電位をまとめた情報は、以下のとおりです。
・プラチナ 約1.2ボルト
・パラジウム 約0.9ボルト
・銀 約0.8ボルト
・銅 約0.3ボルト~0.5ボルト
・コバルト 約-0.3ボルト
・ニッケル 約-0.3ボルト
コバルトとニッケルについては、酸化還元電位の値がマイナスとなっています。電子を奪われやすく、溶けやすい性質であることを示しています。
卑金属は溶けやすいので要注意
金属の中には、サビにくいものもあれば、簡単にサビて腐食してしまうものもあります。後者のことを、卑金属と言います。
「サビる」というのは、「酸素と結合する」ということ。つまり「サビやすい金属」というのは、「酸素分子と気軽に電子をやりとりする金属」を指します。イオン化傾向が高く、金属アレルギーにも注意が必要と言えるでしょう。
卑金属の具体例としては、銅や亜鉛、ニッケルやコバルト、鉄、クロムなどが挙げられます。加工しやすく安価に入手できるので、非常に多くの製品に使われています。アクセサリーはもちろん、キーホルダーや各種小物、工業製品にも多く見られます。
中でも注意したいのがクロムで、こちらは皮革製品を軟らかくするために使われる素材です。皮製のバッグや靴などでは、皮をなめす段階で使われたクロムの成分が、製品に残留してしまうケースがあります。
原料に金属が使われていなくても、アレルギー症状に注意する必要があるでしょう。
見た目が金に似ている真ちゅうは、銅と亜鉛を混ぜ合わせて作られています。どちらも卑金属で、金属アレルギーを起こしやすい物質なので注意してください。「見た目が金っぽいから大丈夫だろう」と、油断するのは禁物です。
できればニッケルフリーを使用しましょう
金製品の雰囲気は好きだけど、費用の高さが気になる…という方に、人気を集めているのが金メッキ製品です。
この金メッキの下地としてよく使用されるのが、卑金属であるニッケル。金属アレルギーの原因になりやすい物質です。
金メッキ製品の場合、メッキがしっかりしている間は、心配は要りません。
しかし経年劣化や傷によりメッキが剥がれてしまうと、下地であるニッケルが見えてしまいます。これが素肌に付着すると、ニッケルを原因とした金属アレルギーを発症するリスクがあります。
すでにEUでは、ニッケルの危険性が広く知られていて、使用規制がかけられています。日本ではまだそこまでの対策は取られていませんが、リスク認知度は徐々に高まっていて、「ニッケルフリー」「ノンニッケル」といった製品も注目を集めています。
「金メッキ製品は欲しいけれど、ニッケルが原因の金属アレルギーは心配」という場合には、ニッケルが使われていないものを選択しましょう。
貴金属は溶けにくいが注意が必要
卑金属とは違い、溶けにくくサビつきにくい金属のことを、貴金属と言います。
貴金属の代表と言えば純金ですが、このほかにも、パラジウム、ロジウム、インジウム、銀、プラチナなどが当てはまります。溶けにくさから考えれば、「金属アレルギーになりにくい物質」と言えるでしょう。
とはいえ、貴金属だからといって、金属アレルギーを引き起こさないとは限りません。比較的溶けにくいと言っても、完全に溶けないわけではありませんし、金属それぞれに独自の特徴もあります。
現にパラジウムは、「貴金属の中でも金属アレルギーを起こしやすい物質」として知られています。
アクセサリーとしても人気の銀やプラチナは、加工段階で、ニッケルをはじめとする卑金属を混ぜ合わせている可能性も。銀やプラチナは金属アレルギーの原因になりにくくても、混ぜ物によってアレルギーが引き起こされてしまうリスクがあるので注意しましょう。
自身が身に付ける製品にどのような金属が含まれているのかは、金属成分表示によって確認できます。「銀製品だから」「プラチナリングだから」と安心するのではなく、その詳細まで、事前にしっかりと確認することが大切です。
純金は溶けにくいのでアレルギーを起こしにくい
貴金属の中でも、特に溶けにくい性質を持っているのが純金です。パラジウムやプラチナなど、その他の貴金属と比較しても、その差は歴然。純金を溶かすためには、王水と呼ばれる特殊な薬品が必要です。
汗で金属が溶けるのは、汗に含まれる酸が原因ですが、純金を溶かすためには濃硝酸と濃塩酸を混ぜ合わせて作る特殊な酸が必要です。汗程度の酸ではほとんど溶かせないため、金属アレルギーを引き起こしにくい物質として知られています。
素材が「金」であっても要注意
金属アレルギーが気になる方にとって、イオン化しにくい金は、非常に魅力的な素材だと言えるでしょう。しかし「金だから大丈夫」と安心するのは危険です。
特にアクセサリーやジュエリーに使われている金には、あらかじめ混ぜ物がしてあるケースも多いからです。
品位の低い金には要注意
イオン化しにくくサビつきにくい純金ですが、実は「非常に柔らかく傷つきやすい」という特徴があります。日常生活の中で、簡単に変形したり傷ついたりするアクセサリーは、使い物になりません。
このため、ジュエリーに硬度や耐久性を持たせるため、金に混ぜ物をしてバランスを調整するケースが一般的です。
この混ぜ物のことを「割金(わりがね)」と言いますが、銀や銅を使用するのが一般的です。K24やK18といった金の品位は、金にどの程度の割金が含まれているのかを示すためのもので、数字が小さくなればなるほど、金以外の金属が含まれていることを示しています。
この割金が原因で金属アレルギーを発症するケースもあるので、注意しましょう。
カラーゴールドや金メッキも要注意
カラーゴールドも純金ではなく、銅や銀のほか、パラジウムやニッケルが使用されています。
グリーンゴールドは、割金として主に銀が使用されています。レッドゴールド、ピンクゴールドには、割金として銅やパラジウムが多く使用されています。
ホワイトゴールドには、ニッケルやパラジウムのいずれかが使用されていることがあります。
もちろん金メッキの下地や本体の素材にも注意しましょう。ニッケルや真ちゅうが使用されていることがよくあります。
(K14の金メッキは、「K14GP」などと表記されています。)
近年人気のカラーゴールドも、純金にその他の金属を混ぜ合わせて作られています。グリーンゴールドに使われている割金は、主に銀。レッドゴールドやピンクゴールドの場合は、銅やパラジウムが使われるケースが一般的です。
ホワイトゴールドでは、卑金属であるニッケルや、金属アレルギーの原因になりやすいパラジウムが使われている製品もあるので、注意しましょう。
金メッキ製品を選ぶ場合は、下地や本体の素材もチェックしてみてください。ニッケルや真ちゅうが使用されている場合、金属アレルギーのリスクが上昇してしまいます。
メッキ製品を見分けるためのポイントは、品位にあります。「K14GP」のように、「GP」表記があれば、それがメッキ製品である印です。
その他、金属アレルギーを起こしにくい金属
貴金属以外にも、金属アレルギーの原因になりにくい金属は存在しています。リスク低減のためにも、ぜひ頭に入れておいてください。
ただしこちらも、「絶対にアレルギー症状を起こさない」というわけではありません。体質によっては症状が出てしまう可能性もあるので、十分に注意しましょう。
ステンレス(SUS316L)
ステンレスは、正式名称ステンレススチール(Stainless steel)という金属です。英語のstainlessとは「錆びない・汚れない」といった意味を持つ言葉で、steelは「銅」のこと。つまり、錆びにくく汚れにくい銅といった名称です。その特性を生かし、キッチン用品やハサミ、家電などにも広く用いられています。私たちにとってなじみ深い金属と言えるでしょう。
なお、ステンレスは金属アレルギーを起こしにくい金属と捉えられがちですが、必ずしもそうではないのが実情です。そもそも、ステンレスは鉄やニッケル、クロムなどの卑金属を使った合金です。すでにご紹介したとおり、これらの金属はアレルギーの原因にもなり得る物質。いずれも銀イオンが溶け出しやすいため、肌荒れ等を引き起こす可能性が少なくありません。一方、ステンレスの中にはアレルギーを引き起こしにくい素材も存在します。それが「サージカルステンレス」です。
サージカルとは英語で医療用を表す言葉です。その名のとおり、医療用メスなど幅広い医療用器具に用いられています。そのほか、ピアスの穴を開けるための器具(ピアサー)などに使われるケースも少なくありません。
なお、サージカルステンレス自体は、ステンレスの分類に存在しない金属です。あくまでもJIS規格における以下の名称を持つものを、サージカルステンレスとして一括りにしています。
- SUS316
- SUS316L
- SUS4202J2
- SUS431
- SUS440
- SUS630
上記のなかでも、とくに錆びにくく金属イオンも溶けにくいのがSUS316Lです。これは、SUS316にモリブデンを加え、炭素を減らすことで耐食性を向上させています。つまり、金属アレルギーを起こしにくいとされているのは、このSUS316Lで作られた製品のことになります。
ただし、SUS316Lであってもそこに卑金属である鉄やニッケル等が含まれていることに変わりはありません。他の金属に比べると安全性は高くなりますが、過信は禁物と考えましょう。
チタン、アルミニウム
酸化還元電位が低く、簡単に電子のやりとりをしてしまう、チタンとアルミニウム。しかしこの2つは、酸化還元電位が低いからこそ、金属アレルギーの原因になりにくい物質でもあります。
どういうことかというと、酸化還元電位が低いチタンやアルミニウムは、空気中に含まれる酸素に対してすぐに反応してしまいます。
するとその表面に、不動態という酸素の膜を形成。この不動態が金属そのものを保護することにより、汗に含まれる酸や塩分に溶かされにくくなるのです。
金属が酸や塩分に影響されなければ、金属のイオン化も避けられます。このため、金属アレルギーも起きにくくなります。
金属アレルギーには個人差がある
金属アレルギーの症状は、個人によって差があります。反応する金属の種類はもちろん、アレルギー症状の程度にも、非常に大きな違いがあるのです。「どの金属が危険」と一概にお伝えするのは難しく、どんな金属であっても、体質によってはリスクがあります。
「卑金属が危険」「貴金属なら安心」というのも、あくまで一般論の一つ。すべての人に当てはまるわけではありません。
だからこそ重要なのは、自分自身の体質を知るということです。
どの金属にどの程度反応するのか、金属に触れたあと、どの程度の時間で症状が現れるのか等、冷静に分析しておきましょう。
ピアスは金属アレルギーを引き起こしやすい
耳元のオシャレアイテムとして、根強い人気を誇るピアス。
しかしこのピアスが原因で、金属アレルギーを発症してしまうケースが多く報告されています。そのリスクは、通常の2倍程度とも言われていますから、特に注意が必要です。
なぜピアスが危険なのかというと、耳に空けたホールを通して身に付けるため。皮下組織と金属が直接接触し、金属を溶かすリスクが高まってしまいます。またピアスホールを開けた直後は分泌液も多いですが、この分泌液も、金属を溶かす原因になってしまいます。
病院で金属アレルギーを特定する方法
「もしかして金属アレルギー?」と感じた場合でも、すぐに原因を特定するのは難しいでしょう。自分で勝手に判断するのではなく、皮膚科やアレルギーなどへ行き、専門医のもとで検査するのがおすすめです。
以下のようなアレルギー検査を受ければ、アレルギーの原因物質を特定できるでしょう。
パッチテスト
パッチテストとは、可能性がある物質を皮膚に直接貼り付けて、皮膚に症状が現れるかどうかを確認する方法です。金属を含む試薬をばんそうこうに塗布し、2日ほど背中に貼り付けて様子を見ます。
対象となる金属は、アルミニウム、カリウム、コバルト、錫、パラジウム、マンガン、インジウム、イリジウム、クロム、ニッケル、金、銀、銅、プラチナ、亜鉛、鉄、水銀です。
試薬を貼り付けた部分に、紅斑(こうはん)や浮腫(むくみ)、丘疹や水疱、壊死(えし)といった反応が見られたら、国際的な基準に基づいて判断します。アレルギーの原因物質はもちろん、症状の重さについても診断できます。
血液検査
こちらは、血液を採取して金属に対するアレルギー反応を検査する方法です。リンパ球刺激試験やリンパ球幼若化試験と呼ばれる検査法があります。採取した血液に含まれる白血球を培養し、そこに可能性のある金属イオンを与えて様子を見ます。反応の有無や程度から、金属アレルギーかどうかを判断できます。
パッチテストに比べて負担が少なく、通院回数も少なく済みますが、検査費用が高くなりがちです。
診断の際の注意点
金属アレルギーの原因は、想像以上に多岐にわたります。
ジュエリーやアクセサリーを身に付けていない場合でも、歯科治療で使われている金属材料が、アレルギーの原因になってしまうケースも。この場合、金属アレルギーの可能性を考慮した上で、歯科医師に相談する必要があるでしょう。
自分だけで判断せず、専門家に相談することが大切です。
また、金属アレルギーの検査も万能ではありません。先ほど紹介したパッチテストと血液検査にも、それぞれに「判定しやすい金属」「判定しにくい金属」が存在しています。検査を受けても、結果によっては、アレルギーを見落としてしまう可能性もあるでしょう。
金属アレルギーの治療法
万が一金属アレルギーと診断されてしまったら、どう治療すれば良いのでしょうか。基本的には投薬治療が行われますので、皮膚科やアレルギーに行って、薬を処方してもらいましょう。
症状が軽い場合には外用薬(塗り薬)が、重い場合には内服薬(飲み薬)が処方されます。
外用薬
外用薬として多く使われているのが、ステロイド剤や免疫抑制剤です。
症状が出ている部分に塗り、症状を改善させていきます。
内服薬
抗アレルギー薬やステロイドで、身体の内側からアレルギー反応を収めるための薬です。
症状が比較的重い場合に使われます。医師の指示を守って服用しましょう。
金属アレルギーの各症状にも高い効果が期待できる医薬品ですが、残念ながら副作用もあります。「症状が出ても薬で抑えれば良い」と考えるのではなく、症状が出ていないうちから、予防意識を高めることが重要です。
一度アレルギー症状が出てしまうと、それ以降も繰り返し発症するリスクが高くなります。
症状が出てしまった場合はすぐに病院に行くと共に、普段の生活における、金属との向き合い方についても注意しましょう。
現在金の価値が高騰しています。
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金属アレルギーにならない対策
金属が身近である以上、金属アレルギーも身近な存在であると言えます。ジュエリーやアクセサリー、時計などに使われている金属を意識する方は多いですが、それ以外にも注意するべきポイントは多くあります。
例えば、ドアノブの多くは金属製ですし、日常的に扱う効果にも、銅やニッケルなど、アレルギーに注意が必要な素材が多く使われています。
金属を完全に避けるのが難しい中、金属アレルギーにならないための対策は、どう進めていけば良いのでしょうか。おすすめの対策を6つ紹介します。
素材を確認する
金属アレルギーのリスクは、素材によって異なります。身の回りにある金属製品について、どんな素材が使われているのかきちんと確認しておきましょう。素材にニッケルが使われているか、割金には何が含まれているのかは、特に重要な情報と言えます。
またお金に余裕があれば、貴金属の純度にもこだわってみてください。純度が高ければ高いほど、アレルギー発症リスクは低下できます。
「特定の金属の雰囲気が好き」という場合は、似た金属でアレルギーを引き起こしにくい代替金属を探してみましょう。
例えば、貴金属の中でもアレルギーを起こしやすいと言われるパラジウムは、ルテニウムやイリジウムによって代替できます。パラジウムはプラチナの割金として使われるケースが多いので、ぜひ注目してみてください。
金属以外の素材を選ぶ
金属の中で代替品を探すのが難しいときは、金属以外の素材にも注目してみましょう。近年、金属アレルギー予防のための素材として、樹脂・チタン・セラミックなどが注目されています。
金属アレルギーに特に注意したいピアスでは、サージカルステンレスを使用したものが人気です。
金属を使った製品でも、自分でコーティング剤を塗って、保護するのも良いでしょう。
金メッキより金張りを選ぶ
金メッキも金張りも、どちらも「下地の上に金の層を作る」製品です。ただ金張りの方が、表面の金の層が厚くなっています。
金の層が薄いメッキの場合、表面が剥がれやすく、内部のニッケルや真ちゅうが露出しやすいという特徴があります。金属アレルギーを避けるためには、より分厚い金でおおわれている金張り製品を選択するのがおすすめです。
金メッキ製品と金張り製品は、品位表示によって見分けられます。メッキを示すアルファベットは「GP(Gold Plated)」ですが、金張りの場合は「GF(Gold Filled)」と表示されます。ゴールドフィルドと呼ばれることもあるので、こちらも注目してみてください。
身につけ方を工夫する
金属アレルギーにならないためには、金属を直接皮膚に接触させたり、摂取したりしないことです。付き合い方にほんの少し工夫するだけでも、金属アレルギーのリスクを低減できるでしょう。具体的なポイントは以下のとおりです。
・金属製アクセサリーの長時間使用は避ける
・汗をかく場面で、金属製アクセサリーを使用しない
・肌に傷がある場合は着用を避ける
アレルギー発症のポイントを知って、上手に付き合っていきましょう。
清潔に保管する
金属アレルギー予防のためには、アクセサリー類を清潔に保つことも重要なポイントです。雑菌が繁殖しないよう、こまめなメンテナンスを心掛けましょう。使用したあとは、布できれいに磨くことをおすすめします。
また、アクセサリーを身に付ける素肌についても、ケアを忘れてはいけません。清潔に保ち、きれいな状態で身に付けてください。
歯の詰め物の場合も同様で、歯磨きをきちんとして清潔に保つことが、金属アレルギーの予防にもつながるでしょう。
金属アレルギーには全身型がある
金属アレルギーは、「金属に触れている部分を中心に症状が起きる(部分型金属アレルギー)」というケースが一般的です。しかし中には、アレルギー症状が全身に広がってしまうようなケースもあります。これを「全身型金属アレルギー」と言います。
全身型金属アレルギーで多いのは、歯科治療に使われている金属や内服薬・食料品に含まれている金属が原因となるケースです。これらの場合、口の粘膜や腸から吸収されたアレルゲンが、血液循環によって全身に運ばれてしまいます。
これによって、全身の至るところでアレルギー反応が引き起こされてしまうというメカニズムです。
全身型金属アレルギーの症状
全身型金属アレルギーの症状として特徴的なのは、症状が現れやすい箇所にあります。
手のひらや足の裏、背中といった部分は、発汗しやすくアレルギー症状が出やすい場所。とはいえ、全身型の場合、これらの場所が直接金属に触れているとは限らないため、金属アレルギーの可能性を排除してしまいがちです。
手のひらや足の裏に発疹や赤み、かゆみや水泡が出たとしても、水虫などと間違いがちです。金属アレルギーを疑うケースはごく稀でしょう。
手足のかゆみは、全身型金属アレルギーの可能性もあるということを、頭に入れた上で対処するのがおすすめです。
発疹や蕁麻疹、舌の異常(※1)といった症状が出ている場合、全身型金属アレルギーである可能性も高くなります。
金属アレルギーの種類が「全身型」の場合、接触性という特徴が当てはまらないケースも多く見られます。先入観にとらわれず、アレルギーの可能性を疑ってみてください。
※1
基本的な湿疹症状としては、亜急性湿疹(しっしん)、多形慢性痒疹(ようしん)、汗疱状湿疹(かんぽうじょうしっしん)などが挙げられます。このほかにも、汎発性湿疹、自家感作性湿疹、貨幣状湿疹といった症状が出るケースもあります。
手のひらに現れる症状としては、水ぶくれ掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)が知られています。
歯科治療に使われた金属が原因の場合、口の中に扁平苔癬(へんぺいたいせん)という異常が発生するケースがあります。
これら以外にも、紅皮症(皮膚が赤くなる)、偽アトピー性皮膚炎といった症状が出る可能性もあります。
金属アレルギーになりづらい食事
金属は、さまざまな食品にも含まれています。健康維持のために必要不可欠な栄養素の一種ですが、食物に含まれる栄養素によって、金属アレルギーを発症してしまうようなケースもあります。
一般的な食材に含まれていて、金属アレルギーの原因になりやすい金属は以下のとおりです。
・ニッケル
・コバルト
・クロム
・亜鉛
・マンガン など
これらを含む代表的な食材は以下のとおりです。
金属を含む代表的な食品
- 豆類(ピーナッツ、枝豆、大豆、小豆など)
- 穀類(玄米、ソバ、オートミール、米ぬか、小麦胚芽など)
- 海藻類(わかめ、コンブなど)
- 野菜(ほうれん草、タマネギ、ワラビなど)
- 乳製品(牛乳、チーズなど)
- 魚介類(牡蠣、シャコ貝、カニ、タコなど)
- 嗜好品(チョコレート、ココア、紅茶、ワイン、珈琲、タバコ、香辛料など)
- キノコ類(なめこ、ヒラタケ、マッシュルームなど)
健康的な食生活を送るために、これらの食材を完全に避けるのは難しいでしょう。また金属を完全に排除するのも、栄養面で望ましくありません。
ビタミンB12にはコバルトが含まれていますし、3価クロムはミネラルの一種です。特定の食材を避けて金属アレルギーを避けるのではなく、バランスよくさまざまな食品を摂取して、栄養が偏らないように注意することが重要です。
まとめ
私たちの生活にとって、非常に身近な金属類。金属アレルギーというリスクを知った上で、普段から適切に取り扱うことができていれば、より健康的に金属と触れ合えるでしょう。アクセサリーもジュエリーも食べ物も…より自由に楽しめるはずです。
「金属アレルギー」と聞くと、「特別な体質を持つごく一部の人が悩まされるもの」というイメージを抱く方も多いのではないでしょうか?しかし実際には、誰がいつ、どこで金属アレルギーを発症してもおかしくはありません。「以前は大丈夫だったから」と油断するのも禁物です。
人間誰でも汗はかきますし、金属のイオン化は避けられないもの。素肌の状態や雑菌の繁殖具合によっては、アレルギーを発症しやすくなってしまいます。
金属アレルギーはアレルギー性接触皮膚炎であり、IV型アレルギーに分類されます。部分型金属アレルギーと全身型金属アレルギーの2種類がありますが、普段私たちが慣れ親しんでいるI型アレルギーとは、多くの点で異なっています。金属アレルギーには金属アレルギーならではの対応が必要になると、しっかり理解しておきましょう。
万が一「もしかして金属アレルギーかも…」と思った場合は、できるだけ早く医師に相談してみてください。金属アレルギーは、他の病気との区別が難しい点も多いもの。自己判断は危険です。医師の診断のもとで、正しい投薬治療を開始することが大切です。
「金属アレルギーは怖い」と感じるのは、間違いではありません。ただ、自分自身の意識によって、予防できる可能性も充分にあります。金属製品を清潔に保ったり、汗をかく場面では身に付けないようにしたりすることは、誰でも手軽に実践できる予防法だと言えるでしょう。似た雰囲気の素材で、金属アレルギーリスクが低いものへと交換するのもおすすめです。
金属アレルギーを予防するための第一歩は、正しい知識を身に付けることです。お気に入りの金属製アクセサリーやジュエリーをいつまでも楽しみたい!と思ったら、ぜひ金属アレルギーについて、正しい対処法を実践していきましょう。
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