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金の産出国はどこ?金の需要と供給のお話

金の産出国はどこ?金の需要と供給のお話

私たちの生活を華やかに彩ってくれるアクセサリーや、スマートフォン、電気自動車など、非常に身近なものに活用されているのが「金」です。近年では、その美しさや機能だけではなく、安全資産としての側面も高く注目されています。
こうした状況だからこそ、「いったいどこから金はやってくるのだろうか?」と、疑問を抱く人もいるでしょう。

金は世界のさまざまな国で採掘されており、日本もその産出国の一つです。金を産出する国の中には、「こんなところでも金を掘っているんだ!」と驚くところもあります。

金の産出量は、今後の金の価格や流通量と深く関わってきます。希少価値の高い金属だからこそ、その今後の動向に注意しておきたいところです。では、金の産出国や、その需要・供給について、わかりやすく解説します。

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金の産出国ランキング!トップ10

さっそくですが、2015年の金の産出国ランキングを見てみましょう!

第1位 中国 490トン
第2位 オーストラリア 274トン
第3位 ロシア 242トン
第4位 アメリカ 200トン
第5位 カナダ 150トン
第6位 ペルー 150トン
第7位 南アフリカ 140トン
第8位 メキシコ 120トン
第9位 ウズベキスタン 103トン
第10位 ガーナ 85トン

以上、ベスト10の産出国をご紹介しました。
意外な国もランクインしていたのではないでしょうか?

ベスト10以外の国も合わせて地域別に考えますと、アジア、アフリカ、南米、北米、オセアニア、欧州の順になっています。
アジアが最も金の産出量が多いのです。

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金の産出国 金の産出量の年間推移

金の産出量は、ずっと一定ではありません。人間は非常に古い時代から、積極的に金の採掘を進めてきました。歴史の流れの中で、国別産出量ランキングは大きく変化してきています。

こうした変化の一端を垣間見ることができるのが、金の産出量の年間推移データです。2005年から2014年までのたった10年でも、それぞれの国の産出量は以下のように変化してきています。

2005 2006 2007 2008 2009 2010
中国 230トン 247トン 281トン 292トン 324トン 351トン
オーストラリア 262トン 247トン 247トン 215トン 224トン 261トン
ロシア 175トン 173トン 169トン 189トン 205トン 203トン
アメリカ 262トン 252トン 238トン 234トン 221トン 230トン
カナダ 120トン 104トン 102トン 95トン 96トン 104トン
ペルー 218トン 214トン 184トン 196トン 201トン 185トン
南アフリカ 315トン 296トン 270トン 234トン 220トン 203トン
メキシコ 31トン 39トン 44トン 51トン 62トン 79トン
ウズベキスタン 76トン 74トン 73トン 72トン 71トン 71トン
ガーナ 63トン 70トン 77トン 80トン 90トン 92トン

2011 2012 2013 2014
中国 371トン 413トン 438トン 462トン
オーストラリア 259トン 252トン 268トン 273トン
ロシア 216トン 230トン 249トン 262トン
アメリカ 233トン 232トン 230トン 205トン
カナダ 108トン 108トン 133トン 154トン
ペルー 190トン 184トン 188トン 173トン
南アフリカ 202トン 177トン 177トン 164トン
メキシコ 89トン 103トン 120トン 118トン
ウズベキスタン 71トン 73トン 77トン 80トン
ガーナ 91トン 96トン 107トン 108トン

2005年時点で中国以上に金を産出していた国として、南アフリカやオーストラリア、アメリカなどが挙げられます。

金の産出国 それぞれの国の事情が産出量を決める

金の産出量は、年々変化しています。産出量を大きく伸ばしている国もあれば、減らしている国もあり、「金の人気は高いのに、いったいなぜ産出量を減らしているのか?」と疑問を抱く人もいるでしょう。

各国の金産出量は、それぞれの国の事情によって決められています。代表的な金産出国について、それぞれの金採掘の現状や国の事情を詳しく紹介していきます。

南アフリカ

2005年時点では年間300トン以上の金の産出量を誇っていた南アフリカを、「金よりも、むしろダイヤモンドのイメージが強い」と感じる方が多いのではないでしょうか。この地域は資源が非常に豊富であり、ダイヤモンドはもちろん、実は金も大量に採掘できる地域でした。

南アフリカが本格的に金採掘をスタートしたのは、1890年頃のことだと言われています。新たな金鉱脈が発見され、ゴールド・ラッシュがスタート。その勢いのまま、1897年には金産出国ランキングのトップに輝いています。非常に急ピッチで採掘が進められたことが、お分かりいただけるのではないでしょうか。

1970年代は世界全体の金産出量の約7割が、南アフリカで採掘された金だったと言われています。その採掘量は年間1,000トンにも及んでいたそうで、「南アフリカ=金の国」というイメージが広まりました。ちなみに、南アフリカで発行されているクルーガーランド金貨は、日本でも人気のある金貨の一種です。

これほどまでに多くの産出量を誇っていたにもかかわらず、なぜ中国にトップの座を奪われることになってしまったのでしょうか。その理由は、アフリカの人種差別を促していたアパルトヘイト政策の撤廃です。

アパルトヘイトとは、白人と非白人の関係を差別的に規定する政策のこと。この政策のもと非白人は社会の中でさまざまな差別を受け、過酷な労働を強いられていました。金鉱山での採掘は、そうした労働の一つだったのです。

アパルトヘイト政策の撤廃により、各地で非白人労働者によるデモが勃発し、「強制労働によって効率良く金を採掘する」という仕組みが機能しなくなり、南アフリカの年間金産出量は徐々に減少していきます。

中国に金産出量トップの座を明け渡したのは、2007年のことでした。2015年のデータを見ると、そのランキングは世界7位にまで落ち込んでいます。

とはいえ、南アフリカに眠っている金は、今も6,000トンにも及ぶと言われています。ピーク時と比較すれば減少していますが、それでも世界的に産出量が少ないわけではありません。
南アフリカは「豊かな資源を誇る国」であるという事実は、まだまだ今後も揺るがないでしょう。

アメリカ

アメリカと言えば、学生時代にそのゴールド・ラッシュの歴史を学んだ方が多いのではないでしょうか。ゴールド・ラッシュのきっかけになったのは、ジェームズ・ウィルソン・マーシャルという人物が、カリフォルニア州・アメリカン川で砂金を見つけたことです。1848年の出来事でした。

「なぜ砂金がこれほどまでに注目されたのか?」と思いましたが、実は砂金とは、金鉱脈から金が川の流れで削り取られて下流へと運ばれたものであり、つまり「砂金が見つかった川の上流を探せば、金鉱脈が発見できる」と考えられたからです。

「マーシャルのように砂金を手にしたい」と思った人や、「より大きな金鉱脈を見つけたい」と思った人がカリフォルニアに大量移住し、その数はたった1年で10万人にも及んだと言われているのです。

ちなみに、この大量の移住者のことを、その移住した年号から「フォーティナイナーズ」(49年の人々という意味)と呼びます。
非常に多くの人々が金に魅了された出来事として、現代にも語り継がれています。

中国

現代の金採掘を語る上で、欠かせないのが中国です。中国が本格的に金の採掘をスタートしたのは、1980年代のこと。この頃に改革開放運動が起こり、金の採掘が盛んになります。先ほどもお伝えしたとおり、中国は2007年には今産出国として世界トップの座に輝いています。

中国と言えば、広い国土に多くの人口を抱える国として知られていますが、金の採掘が行われているのは、主に内モンゴル自治、区湖南省、山東省、福建省です。この4つの地域で産出される金が、中国での金産出量全体の約50%を占めています。

中でも注目されているのが、中国とキルギスの国境付近にある新疆(しんきょう)ウイグル自治区の薩瓦亜尓頓金鉱です。1993年の金鉱脈発見以来、その調査が進められてきており、100トン級の大規模金鉱であると報じられています。2014年には「金の埋蔵量127トン」というデータも発表されました。

世界には「天山山脈中央アジア黄金ベルト」と呼ばれる金が採掘されやすい地域があり、薩瓦亜尓頓金鉱はそこに含まれています。中国がこれまで、順調に産出量を伸ばしてきた一因と言えるでしょう。

日本

過去に「黄金の国ジパング」と呼ばれた日本ですが、現代においては、あまり「金産出国」というイメージはありません。先ほどの世界ランキングにも、日本の名前は見当たりません。これが日本の金採掘の現状だと言えます。

しかし、日本には過去、積極的に金採掘が行われている時代がありました。1601年に開山した佐渡金山では、開山以降400年にわたって多くの金が産出されました。世界有数の「金の国」として知られていたのです。

今、金産出のイメージが廃れているのは、日本のほとんどの金山で金を掘りつくしてしまったから。先ほど挙げた佐渡金山も、すでに閉山されています。

現在、日本で産出されている金のほとんどは、鹿児島県の菱刈鉱山で採掘されたものです。こちらの鉱山は一般的な鉱山よりも金含有量が高く、鉱山1トンあたり金40グラムと、非常に効率良く金を産出できていると言われています。

とはいえ、採掘現場が少ない以上、世界と肩を並べて戦えるほどの産出量は期待できません。現代の日本に「黄金の国」の面影を探すのであれば、「金鉱山」ではなく「都市鉱山」に目を向けてみると良いでしょう。

日本に大量に流通している電子機器や通信機器の中には、材料として「金」が使われています。使い終わってゴミとなった電子機器類から、内部に使われている金を取り出してリサイクルできれば、自国内で大量の金を産出できるでしょう。

2008年に物質・材料研究機構が行った調査によると、こうしたゴミに含まれる金の総量は、6,800トンにも及ぶと言われています。すでにそのリサイクルに向けた流れが進んでおり、日本は電子廃材をもとにした「黄金の国」となっています。

金の産出国 世界で増え続ける金の供給量

「金価格高騰中」というニュースを聞くと、「金の供給が減っているのでは?」というイメージを抱きがちです。しかし実際には、金の供給量は減っていません。世界的な数字を見れば、むしろ年々増加しています。

鉱山生産量 中古金スクラップ
2005 2561トン 903トン
2006 2496トン 1133トン
2007 2499トン 1006トン
2008 2429トン 1352トン
2009 2612トン 1728トン
2010 2742トン 1713トン
2011 2846トン 1675トン
2012 2875トン 1677トン
2013 3061トン 1287トン
2014 3133トン 1125トン

(データ出典:GFMS、Thomson Reuters)

「鉱山生産量」とは、鉱山から採掘される自然金を示しています。一方で「中古金スクラップ」は、製品として利用されたあとの金を回収し、リサイクルした金を指します。
2005年から2014年にかけてのデータをチェックしてみると、鉱山生産量は大幅に増加。
中古金スクラップは、いったん上昇したあとで下降に転じていますが、金の総生産量は上昇していることがわかります。

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金の産出国 徐々に増えている金の消費需要

生産量が増えているにもかかわらず、高騰している金相場。これを経済的な側面から考えたときに、疑問を抱える方が多いことでしょう。その答えは実にシンプルで、「生産量が増えている以上に、金の需要が高まっているから」です。つまり「産出しても産出しても足りていない」という状況が、金の相場に影響を与えているというわけですね。

金の生産量が年々上昇している理由も、「需要の高まりに対応するため」です。特に経済成長の途中段階にある発展途上国は、その発展のために多くの金を必要としています。さまざまな用途に使える金は、「製品を作る→売る→経済的に発展する」という流れに乗るために必要不可欠な金属だと言えるでしょう。

どのような場面でどの程度の金が供給されているのかは、以下のデータからチェックできます。

宝飾品 工業用加工量 エレクトロニクス
2005 2722トン 449トン 294トン
2006 2302トン 480トン 325トン
2007 2426トン 487トン 331トン
2008 2308トン 471トン 318トン
2009 1819トン 422トン 283トン
2010 2033トン 476トン 333トン
2011 2034トン 468トン 330トン
2012 2008トン 426トン 295トン
2013 2439トン 419トン 289トン
2014 2213トン 400トン 279トン

(データ出典:GFMS、Thomson Reuters)

どの年においても、やはり目を引くのは「宝飾品用途」ですが、「工業用加工量・エレクトロニクス用途」も少しずつ増加してきています。

2009年に宝飾品としての金の需要が減少しているのは、リーマン・ショックによる影響と捉えて良いでしょう。経済停滞により、産業用に使われる金の量が減っている様子が見てとれます。

その後、世界経済が少しずつ回復に向かうにつれて、実物経済における金の需要も、徐々に回復してきています。

金の産出国 劇的に増えている金の投資需要

リーマン・ショック以降、実物経済において金の需要は減少しました。しかし「金の価格が下落している」という感覚を抱く方は少ないのではないでしょうか。その理由は、資産運用のための金の需要が、非常に高まってきているからです。

投資にはあまり詳しくなくても、「有事の金」というフレーズを聞いたことがある方は多いのではないでしょうか?リーマン・ショックは世界経済において、まさに「有事」。この突然の事態に、安全資産である金を求める人が急激に増加したのです。

では、なぜ金が安全資産になるのかというと、経済状況が不安定になったときでも、金は株式や債券のような壊滅的なダメージを受けないからです。最悪の場合、株式や債券は「ただの紙切れ」になってしまいますが、金はそうではありません。手元に金がある限り、その価値は失われませんので、自身の資産は守られます。

リーマン・ショックのような金融危機が発生した際には、こうした安全資産への流れが顕著になります。その様子をわかりやすく示しているのが、以下のデータです。

小口投資 金地金 コイン
2005 416トン 261トン 155トン
2006 428トン 236トン 192トン
2007 436トン 236トン 200トン
2008 916トン 659トン 257トン
2009 830トン 548トン 283トン
2010 1221トン 934トン 287トン
2011 1556トン 1230トン 326トン
2012 1343トン 1039トン 304トン
2013 1775トン 1394トン 380トン
2014 1079トン 829トン 251トン

(データ出典:GFMS、Thomson Reuters)

リーマン・ショックが起きた2008年を境に、小口投資と金地金の需要量が大幅に増加しています。コインはそれほどではありませんが、それでもやはり、年々じわじわと増えている様子が見て取れるでしょう。

景気が良いときには実物経済における需要が高まり、景気が悪いときには投資需要が高まるというのが、金という金属が持つ特徴の一つです。

どちらにしても金の需要は高まるわけですから、今後もさらに金産出量が高まっていくのではと予想されています。

金の産出国 日本の金の需要・供給バランス

さて次は、日本における金の需要と供給について見ていきましょう。世界的な流れは先ほどチェックしたとおりですが、日本国内においての流れは少々異なっています。

まず、日本国内の供給量の変化は以下のとおりです。

供給合計量
2009 128トン
2010 122トン
2011 131トン
2012 138トン
2013 127トン
2014 101トン
2015 188トン

(データ出典:経済産業省「貴金属流通統計調査」)

金の供給量が、2015年に急激に増加していることがわかります。一方で、需要の変化は以下のとおりです。消費者需要(エレクトロニクス、機械部品など)と準消費退蔵(宝飾品、美術工芸用など)でチェックしてみましょう。

消費者需要 準消費退蔵
2009 88トン 21トン
2010 97トン 23トン
2011 77トン 32トン
2012 70トン 22トン
2013 48トン 18トン
2014 45トン 13トン
2015 45トン 9トン

(データ出典:経済産業省「貴金属流通統計調査」)

このデータからは、日本で金の需要が停滞している様子が伝わってきます。世界で金の需要が高まっているのは、発展途上国の影響によるもの。日本は発展途上というわけではありませんし、景気低迷の影響もあり、実物経済における需要はそれほど高くはありません。

一方で、注目したいのが資産として購入された金の量の推移についてです。

現物購入 現物売却
2009 47トン 75トン
2010 44トン 81トン
2011 50トン 103トン
2012 38トン 46トン
2013 57トン 55トン
2014 36トン 42トン
2015 41トン 29トン

(データ出典:経済産業省「貴金属流通統計調査」)

現物購入量がほぼ横ばいである一方で、現物売却量はわかりやすく減少しています。過去の経済危機を乗り越えた経験や世界の投資トレンドから、「金を売るのではなく、保有し続ける」という流れが強まっていると言えそうです。

今後の日本経済に「大きな影響を与えるのでは?」と予測されているのが「インフレ」ですが、金の保有はインフレ対策にも有効です。インフレになれば貨幣の価値は下がりますが、相対的に物の価値が上昇します。いったん現金を金に換えておいて、インフレ後に金を現金に戻せば、資産の目減りを防げるでしょう。このような考えのもとで「金を保有し続けよう」と考えている方が多いようです。

金の産出国 減り続ける金の埋蔵量

金の産出や、需要と共有について考える際に、避けて通れないのが埋蔵量に関する情報です。自然界で金が生まれ、私たち人間の手に届くようになるまでには、気の遠くなるような長い時間が必要となります。つまり、金は自然界に存在する量に限りがあり、採掘し尽くせば枯渇してしまう資源(枯渇性資源)なのです。

需要の増加に伴って、採掘量も増えている金。現代では、毎年3,000トンほどの金が採掘されています。「人類が過去に採掘した金の量は18万トンほどであり、地中に残されているのは6~7万トンだ」というデータがあります。金の枯渇までの時間は、予想以上に早いのかもしれません。

「6~7万トンと言われてもピンと来ない」という方は、オリンピックで使われる競技用プールを物差しに考えてみましょう。過去に採掘された金はそのプール4杯分。一方で、地中に残されているのは、わずか1杯分です。このままのペースで採掘が進めば、20~30年後には金の採掘は難しくなってしまうでしょう。

もちろん、地球の奥深くにまで手を伸ばせば、まだまだ多くの金が眠っているはず。しかし、その奥深くの金を採掘するためには、相応の技術やコストが必要です。現状では、「採算が合わない」と判断されるケースが多いようです。今後、金の枯渇に向けて新しい技術が生み出される可能性はありますが、枯渇によって金の価値が急上昇する可能性も十分にあるのです。

金の産出国 日本で発見された金鉱床

過去には、世界有数の金産出国であった日本。日本各地の金山は多くの労働者で賑わっていました。まさにその様子は、「日本のゴールド・ラッシュ」と言っても良いものだったでしょう。

現在、日本で多くの金を産出している唯一の鉱山は、鹿児島県にある菱刈鉱山です。ここ以外では「リサイクルによって金を生み出すしか方法がない…」と思われていました。

しかし近年、こうした状況に嬉しい変化が見られています。伊豆諸島の青ケ島沖(東京都)で海底熱水鉱床が発見され、ここの鉱石に高い濃度で金が含まれていることがわかったのです。鉱石1トンあたり、最高で275グラムの金が含まれているそうで、これは世界的な基準と比較してみると非常に高い数値となります。

海底から金を採掘するためには、さまざまな技術が必要ですが、このニュースは注目すべきと言って良いでしょう。

実は、金鉱床は地震によって生み出されると言われています。日本は時代の流れの中で、地震によって多くの被害を受けてきましたが、もしかしたらその多くの地震によって生まれた大量の金が、地下に眠っているのかもしれません。

金の産出国まとめ

金の産出国ランキングや時代の流れに伴うその変化、金の需要と供給に関する情報などはいかがでしたか?

世界では、さまざまな国が積極的に金を産出しています。近年のトップは断トツで中国。特に新疆ウイグル自治区の薩瓦亜尓頓金鉱が注目を集めています。中国は著しい経済成長を遂げ、また華やかな製品を好む国民性も影響して、国内の需要を満たすため積極的な採掘が行われているようです。

中国以外に産出量が多いのは、アメリカ、ロシア、オーストラリアなど。中国が台頭する前は南アフリカが首位に立っていましたが、アパルトヘイトの廃止によって産出量は徐々に減少し、2015年のデータでは7位となっています。

日本の現状としては、鉱山から産出される自然金の量は決して多くはありません。一方で注目されているのが、都市鉱山から生み出されるリサイクル金です。多くの工業製品から金を取り出してリサイクルすることで、金の産出量を増やしています。自然界に存在する金の量には限りがあると言われる中、これは注目の技術と言えるでしょう。

はるか昔から「希少価値の高い美しい金属」として注目されてきた金ですが、現代では、安全資産としても注目を集めています。経済危機やインフレ危機が起きたときも、現物資産であることで価値が下がりにくく自身の財産を守りやすいという特徴が、金にはあります。

金に投資対象としての注目が集まれば集まるほど、さらにその価格は高騰していくでしょう。

ただ、金を巡る未来予想は、決して明るいものばかりではありません。とはいえ、「世界各地で採掘できる」し、「これまで見つかっていない金鉱脈もたくさんある」というのも事実です。実際に、日本においても新しい鉱床が発見されています。

金を取り巻くさまざまなニュースに耳を傾けて、今後の金との付き合い方について、改めて検討してみてはいかがでしょうか。

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水野崇

水野様

キャリア20年超の株式トレーダー。講演・講師、取材協力、テレビ出演など多方面で活躍する独立系FP。LEC専任講師(法人事業本部)。学校法人専門学校東京ビジネス・アカデミー非常勤講師。テレビ朝日『グッド!モーニング』、BSテレ東『マネーのまなび』などに出演。日本FP協会「2021年FP広報センター」スタッフ。

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