プラチナはどこで採れる?世界の産出国を紹介
プラチナの産出国はどこで、産出量・世界シェアはどこの国が高いのでしょうか。この記事では圧倒的シェア1位の南アフリカにくわえ、2位のロシアなど5つの生産国の特徴を詳しく解説します。日本でプラチナ産出状況やプラチナは希少性が高い理由についても知れますので、ぜひ最後までご覧ください。
プラチナの主な産出国
ここでは、プラチナ産出国のうち上位5ヵ国の特徴をご紹介します。
2022年プラチナ生産量
順位 | 国名 | 生産量(kg) | 世界シェア |
1 | 南アフリカ | 124,401 | 71.5% |
2 | ロシア | 20,000 | 11.5% |
3 | ジンバブエ | 17,104 | 9.8% |
4 | カナダ | 5,400 | 3.1% |
5 | アメリカ | 3,000 | 1.7% |
– | その他 | 4,095 | 2.4% |
– | 全世界計 | 174,000 | – |
引用:Global Note
それぞれのプラチナ産出国の特徴を順に見ていきましょう。
南アフリカ
南アフリカは世界で最もプラチナが産出される国であり、2022年の生産量は約124.4トン、世界シェアは71.5%と圧倒的です。プラチナ鉱脈は約12万平方kmにおよぶブッシュフェルト複合岩体にあり、プラチナは岩盤内の数十センチ幅の地層から採掘されています。
複合岩体とは、複数の鉱石類がまとまって分布する岩石のことです。
南アフリカ・ブッシュフェルト複合岩体は、12万平方kmにもおよび、これは日本国土の約30%に相当します。
ロシア
ロシアの生産量は20トン、世界シェアは2位でシェア11.5%のプラチナ生産国です。主要なプラチナ鉱山はシベリア地域にあり、プラチナはラジウムの副産物として採掘されています。ロシアのパラジウムの世界シェアは50%近くにおよび、プラチナとともに世界市場において重要な役割を果たしています。ウクライナ侵攻などのロシア危機では、パラジウムの価格が高騰し、それに連動してプラチナ価格も値上がりした経緯があります。
ジンバブエ
世界3位のジンバブエは生産量17.1トン、世界シェア9.8%の生産国です。プラチナ類は、国を南北に縦断する530kmにおよぶグレート・ダイク岩体から採掘され、ジンバブエの経済を支える産業となっています。
カナダ
カナダは世界4位で5.4トンの生産量があり、世界シェアは3.1%の生産国です。オンタリオ州南東部にあるサドバリーでの採掘量が多く、同地区はプラチナの他にも銅・ニッケルなどの鉱山や製錬所があり「鉱山の町」として栄えています。サドバリーはアメリカのニッケル供給基地として選ばれた経緯があり、プラチナはニッケルの副産物として産出されています。
アメリカ
世界5位のアメリカは3トンの生産量がありますが、世界シェアで見ると1.7%しかありません。主な採掘地はアラスカ州やモンタナ州などで、プラチナはパラジウムとともに産出されています。
日本でもプラチナは採れる?
日本国内におけるプラチナ採取はごく微量で、ほとんど行われていません。第2次世界大戦以前に、北海道と新潟で発見され事業として展開しましたが、採掘量が少なく発展はしませんでした。現在は北海道の一部の河川で「砂白金(さはっきん)※」として発見される程度となっています。
プラチナは日本での自国生産がほぼないため、100%近く南アフリカやロシアからの輸入に依存している状態です。そのため日本のプラチナ市場は輸入品が並ぶジュエリーショップにくわえ、回収・再利用品が並ぶリサイクルショップが重要な役割を果たしています。プラチナは限られた国でしか採掘できないので、貴金属リサイクルが「都市鉱山」として注目を集めています。
※砂白金とは:プラチナを含むかんらん岩が風化して雨水によって河川に流れ込んだもの
宇宙でプラチナ採取?
現在、宇宙からプラチナをはじめとしたレアメタルを採取しようとする「スペースマイニング計画」が提唱されています。
地球上では広範囲に分布し埋蔵量が少ないプラチナも、宇宙空間の小惑星では高密度で埋蔵している可能性があります。2010年に日本の探査機「はやぶさ」が、小惑星「イトカワ」から表面岩石の採掘に成功したことで、本格的な計画が浮上しました。
しかし現状は、コスト面や技術面の課題が多く、産業レベルに到達するまでにはかなりの時間を要すると見込まれています。
プラチナの希少価値が高い理由
プラチナが希少価値の高い貴金属である理由は、以下の通りです。
- 産出国および埋蔵量が少ない
- 原鉱石からの生産に手間がかかる
- 工業用としても需要がある
プラチナを産出できる国は世界に10ヵ国ほどしかなく、特に南アフリカとロシアの2ヵ国だけで世界シェアの80%以上になります。生産国の政治情勢が不安定になると、プラチナ価格が高騰する傾向があり、希少価値に連動して市場価値も高くなると考えられます。
また主要産出国においても、埋蔵量は約16,000トンしかなく、金の60,000トンと比較すると約4分の1しかありません。すでに発掘されている生産量を見ても、有史以来プラチナは7,000トンほどしか発掘されておらず、これは金の30分の1ほどです。
発掘量や埋蔵量を見ても、プラチナの希少性が分かりますが、プラチナを産出する「手間」も希少性に拍車をかけます。プラチナは1トンの原鉱石から約3gしか採れないため、大量の鉱石を処理する必要があり、さらに地金にするまで金の8倍にあたる8週間もの時間をかけないといけません。
電池・自動車・医療などの工業用素材としてプラチナが優れている点も、希少価値を高める要因です。水素や酸素の触媒として電力を作り出すプラチナは、電池やEV自動車に広く活用され、水しか排出しない特性からSDGsにも貢献が期待されます。生産量や埋蔵量など供給が極端に少ないことに比べ、あらゆる方面からの需要が高い「需給アンバランス」がプラチナの希少価値を高める要因です。
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