金相場と戦争の関係｜金の価値が上昇する理由とは？
米中貿易摩擦や中国による台湾侵攻、アフガニスタンの紛争など、世界は戦争の火種を常に抱えています。戦争が発生すると、金相場はどのように変動するのでしょうか。今回は、過去の事例から金相場と戦争の関連性を説明し、値動きの理由についても解説します。
戦争が起こると金相場はどうなる？
そもそも、戦争が起こると金相場にはどのような影響があるのでしょうか。こちらでは、過去に勃発した3つの戦争について、当時の金価格の推移とともにご紹介します。
イラン・イラク戦争
イラン・イラク戦争は、1980年から1988年にかけて両国間で行われた戦争です。イラクがイラン革命後の混乱を利用し、争われていた領土を奪おうとしてイランに攻め入ったことで引き起こされました。国際社会も巻き込む大きな戦争となりましたが、1988年に両国が国連安保理の停戦決議を受け入れ、争われていた領土が元の状態に戻される形で終結しました。
当時の金相場を振り返ってみると、イラクがイランに攻め入ると噂され始めた1980年3月ごろから価格が上昇しており、実際に戦争が起こった9月にピークを迎えています。その後、金相場は急落し、戦争の終結まで横ばいを続けました。
湾岸戦争
湾岸戦争は、イラン・イラク戦争の影響により経済的な困難に直面していたイラクが、隣国のクウェートに侵攻したことで発生した戦争です。一時的にクウェートを占拠したイラクに対し、国連安保理が撤退勧告を行ったものの、イラクは応じなかったため、アメリカを中心とした多国籍軍が編成されました。最終的に多国籍軍の攻撃を受けたイラクは国連決議を受け入れ、クウェートから撤退する形で戦争は終結しました。
当時の金相場を確認すると、イラクのクウェート侵攻前に金の価格は大きく上昇しています。その後、金相場は急落し、イラクと多国籍軍の衝突前に一度価格は上昇したものの、衝突と同時にさらに価格を下げています。
イラク戦争
イラク戦争は、アメリカによる「イラクが大量破壊兵器を保有・開発している」という主張に基づき開始された戦争です。アメリカやイギリス主導の有志連合がイラクに攻め入り、イラクのサダム=フセイン政権を打倒しました。2001年9月11日に起きた同時多発テロ以降、アメリカが掲げていた新たなイラン政府の成立は叶ったものの、大量破壊兵器に関する証拠は見つかりませんでした。軍隊の撤退後もイラク国内ではテロが絶えず、不安定な状況が続いています。
当時の金相場を見てみると、ほか2つの戦争と同様に、戦争の勃発前に価格が上昇しています。ただし、戦争が起きた後は一時的に価格が下落しているものの、その後は上昇傾向にあるのが特徴です。これは、金のETF（上場投資信託）の売買が本格化したことが原因と考えられています。
戦争で金相場が一時的に上昇する理由
先に挙げた3つの戦争による金相場の変動をチェックすると、どれも戦争が始まる直前に価格が上昇していることがわかります。その理由には何が考えられるでしょうか。
現金に対する信用不安の浸透
戦争の予兆が見られるようになると、現金に対する信用不安が生まれます。「預金封鎖が行われるらしい」「ATMが使えなくなる」などの噂が広まるためです。これにより、「有事の金買い」を検討する人が市場に増え、金相場が高騰します。しかし、戦争が勃発すると、現金を確保するために多くの人が金を売却するため、一気に価格が下落します。
インフレの懸念
戦争が起こると、資金調達のための通貨発行やサプライチェーンの混乱などにより、急激なインフレが生じます。そのため、市場ではリスクヘッジとして金の人気が高まり、価格が高騰する傾向にあります。
金製品は早めに売却するのもおすすめ
戦争の影響による金製品の価格の急落が不安な場合は、早めの売却を検討するのもおすすめです。先例を踏まえると、金相場は戦争の予兆で上昇し、勃発で下落することになります。予兆が見られた段階で早めに金製品を売却することで、相場の変動による損失を防止できるでしょう。
ただし、戦争による金相場の値動きは、そのほかにもさまざまな要因に影響を受けます。そのため、金製品を売却する際は慎重に検討することが大切です。
まとめ
金製品の売却をお考えの場合は、買取専門店の「なんぼや」をご利用ください。お客様の大切なアイテムを一つひとつ丁寧に査定し、最新の相場に基づく最適価格をご提示いたします。
