ダイヤモンドの鑑定書の見方と紛失等した場合の再発行について
ダイヤモンドの鑑定書を見た時に、そのダイヤモンドの価値を簡単に見分けられたら良いのに、と思うことはありませんか?
また、鑑定書が見当たらず、品質が分からなくなってしまったので、再発行したいと思ったことはありませんか?
今回は、そうした疑問に答えるべく、初心者でも分かる鑑定書の見方や再発行について、ランクに関することなど、さまざまな知識をご紹介します。
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ダイヤモンドの鑑定書とは
鑑定書とは、簡単にいえば、ダイヤモンドの品質をさまざまな角度から評価して記載したものです。
現在、国際的なシェアを誇っているのはGIA(米国宝石学会)が開発した「4C」によるグレーディングシステムで、「Carat(カラット/重量)」、「Color(カラー/色)」、「Clarity(クラリティ/透明度)」、「Cut(カット/形)」という4つの「C」からなる評価と、フローレッセンス(Fluorescence/蛍光性)やプロポーション(Proportion/カットの角度や比率)、フィニッシュ(Finish/仕上げ)、寸法、カット形状、鑑定書ナンバーなどを記載し、鑑定書を発行しています。
なお、鑑別書と鑑定書は違います。
鑑別書は、科学的検査により、何の石かを調べるものです。そのため、ダイヤモンドであるという証明にはなりますが、品質の証明まではできないのです。
ダイヤモンドの鑑定書の信用度
ダイヤモンドの評価が記された鑑定書は、所有者にとっても買取店にとっても重要なアイテムと捉えられがちです。しかし、実態にはダイヤモンドの鑑定書のすべてが、必ずしも信用できるものではないことを覚えておきましょう。
ダイヤモンドは、“鑑定書がついていれば安心”ではないのです。
「鑑定書=信頼」ではない
鑑定書はダイヤモンドの品質や価値を証明するために発行されます。しかし、ここで注意をしなくてはならないのが、“誰が発行するのか?”ということです。
たとえば、宝石査定を専門に10年以上行ってきた人による査定と、最近古物商を取得したばかりの人による査定では、どちらに信頼があるでしょうか?答えはもちろん前者です。後者の人もある程度は宝石に詳しいのかもしれませんが、やはり信頼のおける査定とは言えないでしょう。
しかし、現時点でのダイヤモンドの鑑定書は、実はこの両者どちらでも鑑定書を発行できてしまう仕組みになっているのです。
誰でも発行できる鑑定書
ダイヤモンドの鑑定書の発行に関しては、公的な資格がいるわけではないため、極端な話、誰でも発行することが可能です。
先ほどの例で言えば、宝石査定の専門家はもちろん、古物商を取り立ての人でも発行できます。さらに言えば、宝石に関する知識をまったく持っていない人が紙にダイヤモンドの情報を印刷すれば、それも正式な鑑定書になってしまうのです。この状況では、鑑定書が鑑定書の意味をなしません。
そこで日本のAGL (宝石鑑別団体協議会)は宝石査定の統一化に取り組み、「GIA」のグレーディングステムに準拠した査定方法を推奨しています。つまり、宝石の査定方法をマニュアル化し、すべての人が同程度のクオリティで査定ができる環境づくりを進めたのです。
この考えに賛同した査定機関が約20社、現在会員として名を連ねています。
信頼できる査定機関とは
一概にはいえないのですが、国内では、少なくとも「AGL/宝石鑑別団体協議会」の会員の機関では、世界でも共通の査定方法が採用されていますので安心ではないかと思います。
しかし、査定機関によっては若干甘い評価になる場合もあること等から、国際的に見てももっとも鑑定書の発行部数の多い「CGL/中央宝石研究所」に信頼が寄せられています。
「CGL/中央宝石研究所」が設立されたのは1970年のこと。ハート&キューピッドの査定をサブレポートとして世界で初めて採用したり、ダイヤモンドスパークレートを開発したりと、宝石査定の先駆者として活躍しています。日本のダイヤモンド市場においては同社の鑑定書が指標になるほどです。
また、「AGL」を設立した「AGT/AGTジェムラボラトリー」も、国内ではもっとも信用できる機関といわれることも多く、「DGL/ダイアモンド グレーディング ラボラトリー」にも百貨店などを中心に多くの査定が依頼されています。もともと、日本の宝石学教育を牽引してきたという実績が、その主だった理由です。
なお、海外の査定機関のなかでは、「4C」本家の「GIA」と、ベルギーにある「HRD/ダイヤモンド高等評議会」の査定基準に定評があります。
これはすべてAランクの査定機関として知られており、各期間が適切な査定と、それに基づく鑑定書の発行を行うからこそ、ダイヤモンドの価値が守られているといっても過言ではありません。
「なんぼや」のダイヤモンド買取について
査定機関のランク
日本の宝石業界のなかでは、信頼のおける査定機関をA鑑・B鑑・C査定の3ランクに分けることがあります。もっとも信頼性が高いといわれているのが「A鑑」です。
こちらでは、それぞれのランクについて簡単にご紹介します。
A鑑
A鑑として認められているのは「GIA/米国宝石学会」「CGL/中央宝石研究所」「AGT/AGTジェムラボラトリー」の3社です。前項でも述べた信頼性の高い査定期間がこちらに含まれています。
B鑑
A鑑以外の「AGL/宝石鑑別団体協議会」加盟機関がB鑑にあたります。「DGL/ダイアモンド グレーディング ラボラトリー」もB鑑です。加盟している機関については「AGL」のホームページに掲載されているため、興味のある方はアクセスしてみましょう。
C鑑
A鑑とB鑑にも含まれないのがC鑑の査定機関です。「AGL/宝石鑑別団体協議会」に加盟していないため、査定の基準がそれぞれで異なる可能性があります。
また、A鑑のほうが査定にかかる費用が高い傾向にあるため、安価なダイヤモンドはC鑑にて査定を受けていることがあるようです。
どの査定機関が良いか
信頼性の高さを求めるなら、やはりA鑑がおすすめです。ただし、C鑑の査定品質が悪いというわけではありません。あくまでこれまでの実績や業界内での権威などが元になってランクづけが行われています。
特にこだわりがない場合はB鑑やC鑑、信用度の高い鑑定書が欲しいときはA鑑にて査定されたダイヤモンドを選んで良いでしょう。
鑑定書の見方
鑑定書は、査定機関により若干のデザイン等の差はありますが、記載されている内容はほとんど同じです。
以下を参考の上、鑑定書を見てみましょう。
※グレードの順番は、評価の高い順に並べています。
レポートナンバー
固有の番号です。
カット形状
「ラウンドブリリアントカット/Round Brilliant cut」など、形状が記入されます。
寸法
ダイヤモンドの寸法が「mm」単位で記入されます。
重量
「4C」のひとつ、重量をct(カラット/1ct=0.2g)で記載します。カラット数が大きいほどランクが高く、ハイグレードなダイヤモンドとして扱われます。
カラーの等級
「4C」のひとつ、カラーの評価です。婚約指輪では、「D」や「E」クラスが人気です。また、「G」~「J」はペンダント等に多く使用されています。
「D」~「F」 | 無色 |
---|---|
「G」~「J」 | ほぼ無色 |
「K」~「M」 | ごくわずかに黄みを感じる |
「N」~「R」 | 非常に薄い黄色 |
「S」~「Z」 | 薄い黄色 |
色の起源(Color Origin)
「天然/Natural」か、「人工/Treatment」が記入されます。「人工」(処理石)の場合は大幅に評価が下がります。
クラリティ
「4C」のひとつで、10倍ルーペで拡大して見えるインクルージョン(内包物)やブレミッシュ(研磨時のキズや欠け)等について評価します。
FLは非常に少ないため、市場に流通しているもののほとんどは「IF」以下のものといっても過言ではありません。
婚約指輪では、輝きに影響しない「VS2」までの範囲が主流です。
「FL」 | 欠点無 |
---|---|
「IF」 | ほぼ欠点無 |
「VVS1」「VVS2」 | 軽度で極小の内包物 |
「VS1」「VS2」 | 輝きには影響しない小さい内包物 |
「SI1」「SI2」 | 肉眼では確認できない内包物が多い |
「I1」「I2」「I3」 | 内包物が多く肉眼で見えることもある |
カットの等級
「4C」のひとつ、カットのグレードを上質な順から「エクセレント(Excellent)/非常に良い」、「ベリーグッド(Very good)/大変良い」、「グッド(Good)/良い」、「フェア-(fair)/やや劣る」、「プアー(Poor)/劣る」の5つに分けて評価します。
日本では、婚約指輪のほとんどは「Excellent」もしくは「VeryGood」を使用しています。
また、「Fair」、「Poor」のダイヤモンドは、高級ジュエリーにはほとんど使われません。
フィニッシュ(Finish)
「ポリッシュ(Polish)/研磨の状態」や「シンメトリー(Symmetry)/対称性」といった仕上がりを「Excellent」、「VeryGood」、「Good」、「Fair」、「Poor」の5段階で評価します。
この「ポリッシュ」と「シンメトリー」、そして「カット」すべてが「Excellent」のものは、「トリプルエクセレント/3EX」と呼ばれ、輝きの美しさを表す代名詞になっています。
蛍光性
「無=None」~「非常に強い=Very strong」まで5段階で表示します。
「無=None」以外の、蛍光性が認められたダイヤモンドは、日本では資産的価値が下がる傾向にありますが、世界的に見れば天然の証であるという意味で好意的に受け取られています。
ただし、蛍光性があることでくすんで見える場合は、グレードにも影響します。
プロポーション
カット面(ファセット)の角度(度数)や比率(%)が記入されます。
※比率のみ記載されたものもあります。
プロット
内包物(インクルージョン)の特徴や、どの位置にあるかを、図で示したものです。
プロットが省略されている鑑定書もあります。
「ハートアンドキューピット/H&C」もしくは「ハートアンドアロー/H&A」
この記載のあるダイヤモンドは、専用のスコープで見るとハートや矢尻の模様が見えるカットが施されていて、高評価の対象になっています。
鑑定書内には記載されず、付属の書面となる場合もあります。
その他/備考欄
「レーザードリルホール/LDH」と記載されている場合には、ダイヤモンドにレーザーで極小の穴を開けて内包物が取り除かれています。それにより輝きは増しますが、資産的価値は格段に下がります。
査定のランクに差がつきやすい項目は?
ダイヤモンドの査定のなかでも、カラーは特に見分けが難しく、ランクがぶれやすいといわれています。各査定機関はそれぞれ最高の環境を整えてカラーを見極めますが、最終的には査定士の目がランクづけのカギとなってきます。人によって色の感じ方は異なるため、カラーのランクに差が出るのは仕方ないかもしれません。
ダイヤモンドの鑑定書は再発行できる?
再発行ですが、“再査定する”という意味ではなく、本来の意味での再発行ができるかといいますと、信頼のおける査定機関ではほぼ“できない”と回答されると思います。
これは、ダイヤモンドと再発行を希望する鑑定書の“同一性”(同じものか)が分からないためです。
同一性が認められる場合とは?
「GIA」で「ドシエ(※1)」タイプで鑑定書が発行されているダイヤモンドについては、ガードル部分に鑑定書の番号「GIAレポート番号」が微小な大きさで彫られますので、それを確認することで同一性の確認は可能です。
同様に、国内でも「CGL」などが「レポート番号」のレーザー刻印を希望者に実施しています。
同一性が認められれば再発行は可能?
では、「GIA」や「CGL」等にて査定した刻印のあるタイプなら、再発行してもらえるのでしょうか?
答えはNOです。再発行は現在していません。
しかし、各ホームページの“レポートチェック”テキストボックスに、刻印されている「レポート番号」を入力することで、そのダイヤモンドに関する情報を見ることは可能です。
※1 ドシエとは:GIAのダイヤモンド鑑定書のタイプのひとつで、通常の鑑定書(ダイヤモンド・グレーディング・レポート)にある「プロット(Plot)」と呼ばれる内包物やキズの情報が記載されない代わりに、ダイヤモンドに刻印することで同一性を示すものです。微小ではありますが、ダイヤモンドに刻印というキズが入ることから、好みが分かれるところです。なお、GIAの通常の鑑定書発行の際にも希望すれば刻印を入れることはできます。 関連記事「鑑定書」の有無は、ダイヤモンドの買取価格に影響する?
使わないダイヤモンドジュエリーを査定に出そうと思ったら、買った時の鑑定書がない…!という場合、少し心配ですよね。 巷では「ダイヤモンドの買取には…
2024.08.21
ダイヤモンドの鑑定書に偽物はある?
鑑定書は、品質を細かくチェックしたダイヤモンドのみにつけられるものですが、残念ながらダイヤモンドの鑑定書にも偽物が存在します。ここでは、鑑定書の本物と偽物の見分け方をご紹介します。
鑑定書の信ぴょう性を計る
鑑定書の信ぴょう性を計るには、どの機関が発行した鑑定書かを確認しましょう。鑑定書の基準は、発行機関により基準が異なります。ダイヤモンドの鑑定書で、世界的信頼が確保できるのは、HRDとGIAで発行されたもののみです。ダイヤモンドの鑑定書は日本でも発行されていますが、日本で発行された鑑定書は世界では通用しません。
鑑定書をチェックする
本物の鑑定書は、すべての項目が埋まっており、ダブルチェックされているのが基本です。抜けている項目があったり、チェックがされていなかったりする場合は、再査定をお願いしてみましょう。
近年は、質の悪いダイヤモンドに偽物の鑑定書をつけて売りつける手口を防ぐために、さまざまな偽造防止策が施されています。本物同様の鑑定書を偽造するには手間やコストがかかるため、割のいい手段とはいえません。そのため、あえて鑑定書をつけないことで安く売るという名目で、質の悪いダイヤモンドを売りつける手口が増えているといいます。ダイヤモンドを購入する際は、必ず鑑定書つきのダイヤモンドを購入するようにしましょう。
おわりに
ダイヤモンドの鑑定書には、さまざまな項目があります。見方を覚えておけばダイヤモンド購入時だけでなく、売却の際にも役に立つでしょう。鑑定書の信頼性にこだわりたいときは、査定している機関のランクにも目を向けるのがおすすめです。
ダイヤモンドのグレードは数値化されているものの、評価と見た目の美しさは必ずしも比例するものではありません。例えば少し「クラリティ」が劣っても、「カット」が良ければダイヤモンドは美しく輝きます。
また、小粒のダイヤモンドでは「カラー」の評価が少し劣っても、無色に見える場合もあります。
ダイヤモンドの「4C」のなかで、何が1番重要かと尋ねられたとき、販売店等では「カラット」と「クラリティ」に目が行きがちですが、各グレードに極端な差のない限りは、プロは「カット」が重要と答えることが多いようです。
同じ「4C」の評価が出ているとしても、見た目の輝きには差の出ることがあります。良いダイヤモンドを見つけたいときは鑑定書のグレードだけに着目せず、ダイヤモンドそのものを見てお好みのものを選ぶのことも大切です。
輝きや色、形などが好きなダイヤモンドと出会えたら、グレードは関係なく大切に使い続けたいと思えるのではないでしょうか。
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