デマントイドガーネット ／Demantoid Garnet

デマントイドガーネットは、アンドラダイトと呼ばれる鉄とカルシウムを含むガーネットの中で、クロム要因により緑色から淡黄緑色に発色する、希少価値の高い宝石です。

ダイヤモンドよりも光の分散率が高いため、ダイヤモンドのように美しい輝きを見ることができます。また、宝石の中では珍しく、ホーステイルと呼ばれるインクルージョン（内包物）が入っていることで、さらに価値の上がる石でもあります。

デマントイドガーネットの名称の由来や価値、その特徴や石にまつわる言葉の意味などを、詳しくご紹介します。

デマントイドガーネット宝石の属性

デマントイドガーネット宝石言葉・意味

宝石言葉

友愛、真実、勝利

意味

友に恵まれ、真実を知り、勝利を得ることができる。

デマントイドガーネット産出国・産地

• ロシア：ウラル（ウラール）／Ural
• ナミビア：エロンゴ／Erongo
• イラン：ケルマーン／Kerman
• イタリア：ヴァルマレンコ（キエーザ・イン・ヴァルマレンコ）／Valmalenco（Chiesa in Valmalenco）
• マダガスカル：全域
• コンゴ：全域
• ケニア：全域
• パキスタン：全域
• アメリカ：全域
• メキシコ：全域
• トルコ：全域
• スリランカ：全域
• 韓国：全域

デマントイドガーネット特徴・特性

デマントイドガーネットはケイ酸塩鉱物で、カルシウムが含まれるウグランダイト（Ugrandite）グループに属する石です。

ウグランダイトグループのアンドラダイト（Andradite／灰鉄柘榴石）の中で、クロムを要因に緑色に発色している宝石質（※1）のものをデマイントイドガーネットと言います。

なお、デマントイドガーネットには、変成岩（※2）である蛇紋岩（じゃもんがん／サーペンティナイト／Serpentinite）を起源とするものと、スカルン(Skarn)（※3）を起源とするものがあります。

デマントイドガーネットのお手入れ方法

通常のお手入れでは、柔らかい布で表面をやさしく拭いてホコリや皮脂をそのままにしないようにします。

ただし、皮脂などは拭くだけでは取れないこともありますので、輝きが鈍ってきたと感じたら、食器用洗剤などの中性洗剤を薄めた液の中でやさしくこすり洗いすると良いでしょう。
その後は十分な水やぬるま湯で洗剤を落とし、柔らかい布などで完全に水分を拭います。

細かい細工部分などの汚れが落ちない場合には、超音波洗浄器を使用することも可能です。

ただし、フラクチャー充填処理（※4）やキャビティ充填処理（※5）などを施している場合やインクルージョンが見える場合、セッティングの状態によっては石が欠けたり取れたりすることがありますので、注意が必要です。

心配な時は無理に洗浄せず、宝石の専門店でクリーニングしてもらうようにすると安心です。

なお、保管時には、他の宝石類との接触を避けるようにしましょう。特に、ガーネットより硬い宝石（ダイヤモンドやルビー、サファイア、トパーズ等）等と一緒に保管する場合には、キズが付く可能性がありますので注意が必要です。

デマントイドガーネット価値

価値基準

デマントイドガーネットは、宝石としての輝きやナチュラルでも美しい色合いを有することから、セレブにも人気の宝石です。また、採石される絶対数が少ないため、非常に希少価値のある宝石のひとつでもあります。

デマントイドガーネットの価値基準を、色（カラー）、透明度（クラリティ）、重さ（カラット）、研磨（カット）にて判断するのはダイヤモンドと同じですが、特徴的な基準としては内包物（インクルージョン）も高評価の対象になります。

ただし、色や輝きをマスターストーン基準に選別することはありますが、ダイヤモンドのような世界共通の価値基準はありません。

カラー基準

石の色は、淡黄緑色から濃緑色までさまざまですが、最も評価の高い色ははっきりとした緑色です。黄色みが濃くなったり石の色全体が淡い色になったり、また、緑色が濃くなり過ぎることで暗く見えるものは、はっきりした緑色のものより価値が下がります。

この色に関しては、最高の色合いをファンシービビットグリーン（Fancy vivid green／鮮やかな色）、彩度が弱まるにつれて、ファンシーインテンスグリーン（Fancy intense green／強く綺麗な色）、ファンシーグリーン（Fancy green／綺麗な色）、ファンシーライトグリーン（Fancy light green／多少薄いが綺麗な色）、ライトグリーン（Light green／薄い色）などと、ファンシーカラーダイヤモンドのグレーディングに沿った表記をする場合があります。

また、ビビットグリーン、インテンスグリーン、ファンシーグリーン、グリーン（ライトグリーン相当）4種のマスターストーンを用いて評価することもあります。

クラリティ基準

基本的には、内包物がなく透明度の高いものが価値も高くなります。しかし、デマントイドガーネットに限っては、内包物も高評価の対象になることがあります。

その対象になるのが、ホーステイル・インクルージョン (horsetail inclusion)です。
繊維状（針状）結晶のインクルージョンが、まるで馬のしっぽのように見えることから
ネーミングされました。

ただし、どんな形で内包されていても良いのではなく、宝石の美しさを遮ることなく、石の中心より放射状に美しく広がって見えるものほど価値が高くなります。

重さ基準

同じクオリティーの石であれば、重いほど価値も高くなるのですが、デマントイドガーネットは産出されるほとんどの石が、カット後には1ct（カラット）未満となります。

そのため、もともと希少価値の高い石なのですが、まれに産出されるカット後に1ct以上になるものはさらに希少なため、価値も格段に高いものとなっています。

研磨基準

デマントイドガーネットは、ダイヤモンドのような輝きが特徴のため、ほとんどの石にファセットカットが施されます。このカットの技術力次第で、同じ石だったとしても輝きが異なってくるため、カットの良さも大切な基準のひとつになります。

カットの基準に明確なものはありませんが、ダイヤモンドのカット基準が参考にされています。

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