アルマンディンガーネット（アルマディンガーネット／アルマンダイン／アルマンダイト）／Almandine Garnet（Almandine／Almandite）

アルマンディンガーネットは、ガーネットを代表する宝石で、古代エジプト文明のころよりすでに宝石として使用されてきた歴史ある石でもあります。

採石量も豊富で、安価に入手することも可能なことから、パワーストーンや天然石市場でも多くの石が扱われています。

カラーは、赤系・茶系・紫系などがありますが、どれもが深い色合いのため、透明度と彩度を上げるために独自のカットが施されることもあります。

アルマンディンガーネットの名称の由来や価値、その特徴や石にまつわる言葉の意味などを、詳しくご紹介します。

アルマンダインガーネット宝石の属性

アルマンダインガーネット宝石言葉・意味

宝石言葉

真実、友愛、勝利

意味

真実を見極める、友に恵まれる、勝利する

アルマンダインガーネット産出国・産地

• ブラジル：全域
• マダガスカル：全域
• インド：ラージャスターン／Rajasthan
• カナダ：全域
• スリランカ：全域
• アメリカ：全域
• イタリア：全域
• ロシア：全域
• ノルウェー：ボーデ（ボードー）／Bodo
• オーストリア：ツィラー／Ziller、エッツタール／Ötztal
• 日本：茨城県桜川市、愛媛県四国中央市、福島県石川郡

アルマンダインガーネット特徴・特性

アルマンディンガーネットはケイ酸塩鉱物で、アルミニウムが含まれるパイラルスパイト（Pyralspite）グループに属する3種のガーネット内の1種です。

世界中に見られる石で、採掘量も多いことで知られています。通常、ガーネットといえば、このアルマンディンガーネットのことを指します。

アルマンディンガーネットの名称の由来と歴史

アルマンディンガーネットの名称は、古代ギリシア時代に栄え、文明の発祥の地とも言われたアナトリア地方南西部（Anatolia　※現在のロシア共和国）にかつてあった都市、アラバンダ（Alabanda）に由来しています。

アルマンディンガーネットは、もっとも古い時代から愛でられている宝石のひとつとして、また、現代まで発掘量の多い宝石のひとつとして君臨していて、アラバンダが繁栄した要因のひとつとしても、豊富なガーネットの産出量と宝飾品としての加工技術があったからと言われています。

アルマンディンガーネットの色

アルマンディンガーネットは、鉄を要因に赤く発色します。実際には、茶色や赤紫から黒までの幅があるのですが、これらは、カルシウムやマンガン等の含有量（含有無しの場合もあり）で変化します。

なお、マグネシウムを少し含んでいるものが宝石質（※1）で、宝石として採石されることの多い石となります。

また、アルマンディンガーネットは、同じパイラルスパイト系列のパイロープガーネットの色に酷似しており、プロの査定人でも肉眼での判断が難しい石でもあります。

採石される場所と石質の関係

採石できる場所は、主に火成岩の一種であるペグマタイト層と、変成岩（※2）が見られるところになりますが、変成岩の層にあるものは不透明になることが多いため、宝石には不向きです。

そのことから、宝石になるアルマンディンガーネットはペグマタイト層付近で採石されるものだということがわかります。
しかし、この層からは、ほとんど綺麗な結晶としてのアルマンディンガーネットは採石されません。

変成岩からは12面体の綺麗な結晶として産出されることが多く、中には24面体の結晶も見られるため、鉱物ファンを中心に、変成岩から採石されるアルマンディンガーネットにも需要があります。
また、宝石以外の需要としては、硬度が高いことから研磨剤としても利用もされています。

アルマンディンガーネットとカーバンクル（カットの方法）

アルマンディンガーネットは、透明な石であっても深く濃い赤色のものが多かったため、大きな石になると不透明に見えるという難点がありました。

そこで、考えられたのがカーバンクル（Carbuncle）という研磨技法です。
カボションカットした石の底を削って石の厚みを薄く仕上げることで、見た目の大きさはそのままに、光を取り入れて透明度と彩度を増す手法です。
これにより、大きな石であっても、透明度を確保できるようになったのです。

アルマンディンガーネットのスター効果

アルマンディンガーネットの中には、2条以上の光の筋が交差する、スター効果（星彩効果／アステリズム）のある石がまれに発見されます。

これは、針状のインクルージョン（内包物）が作用して見られる効果で、カボションカット（※3）されることで、その魅力を発揮します。

アルマンディンガーネット成分を含むロードライトガーネット

ガーネットは、他のガーネットと成分が混じりやすいことで知られています。
アルマンディンガーネットもパイロープガーネットと混じり固溶体（※4）になることが多く、その結果、ロードライトガーネットという赤紫色のガーネットが誕生しました。

アルマンディンガーネットのお手入れ方法

ふだんのお手入れは、柔らかい布で表面をやさしく拭う、また、汗等がついてしまった場合には、水かぬるま湯で汚れを洗い流す方法がベストです。

それでも汚れが取れない場合には、キッチン用の中性洗剤を水かぬるま湯に溶かした液の中で、指の腹、もしくは毛先の柔らかいブラシなどでこすりとります。
洗剤が残っていると汚損の原因になりますので、汚れが取れたらしっかり洗浄しましょう。

なお、超音波洗浄にも適しているという記載があります。確かに、クラック（※5）等のないアルマンディンガーネットの場合はそれほど神経質になることはありませんが、強度の高い洗浄機や長い時間の洗浄はあまりおすすめできません。
クラック等は目に見えないこともあります。心配な場合には、超音波洗浄は控えたほうが良いでしょう。

なお、水などで洗浄後はやわらかいタオル等でしっかり水分を取ったら、直射日光の当たらない涼しい場所で、宝石同士が重ならないようにジュエリーボックスなどに置いて保管します。どうしても重なってしまいそうなときには、やわらかい布などで包んでから保管する方法もあります。

アルマンダインガーネット価値

アルマンディンガーネットは、ガーネットの中で一番国内流通量の多い石です。採石量も多く、宝石質の石の採石も容易なため、リーズナブルな宝石の代名詞ともなっています。

しかし、高品質のものとなりますと、「惹き込まれるような暗赤色の色合いが魅力的で、深紅の薔薇（ばら）のよう」、「ダイヤモンドのような輝きが見られるため、光沢の種類は“亜ダイヤモンド光沢”」といった評価が生まれるくらい、すばらしい輝きと発色に満ちた宝石となります。

カラーとクラリティの評価

アルマンディンガーネットは、暗赤色が基準となり、赤い葡萄酒のような色合いのものが評価は高く、茶色や黒に近づくものほどリーズナブルになります。
オレンジ色や紫を伴うカラーのものも出てきており、それらも発色のよいものは高評価になります。

クラリティ（透明度）は、他の宝石同様、インクルージョン（内包物）が少なく、透明度が高くなるほど高評価となります。ただし、インクルージョンに関しては、もともと少ない石質の宝石です。

カラットの評価

アルマンディンガーネットは、持ち上げるのが大変なほどの重さの石も採石されることもあります。もちろん、そうしたものは宝石質とはいかないのですが、それでも大きなものが採石されるため、宝石質の石でも必要な大きさにカットしてから使用されます。

そのことから、カラット数が大きくなるにつれて価格高騰のある他の宝石とは違い、ほぼカラット数に比例して価格も上昇することの多い宝石となります。

スター効果の評価

アルマンディンガーネットの中には、スター効果の見られる石があります。
これらの石は、同ランクの石に比べて価値が上がり、2条より4条、4条より6条といった、多くの光の筋が交差するものほど価値が高くなる傾向にあります。

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アルマンダインガーネットとは違うガーネットの種類

ロードライトガーネット

アルマンディンガーネットとパイロープガーネットの成分が混ざり合うことで生まれたロードライトガーネットの詳細はこちら

ロードライトガーネット／Rhodolite Garnet