プラチナはどこで採れる?主要鉱山や枯渇問題について
プラチナは金よりも埋蔵量が少なく、枯渇が問題視される貴金属です。その貴重なプラチナは、どこの国のどのような鉱山で採掘されているのでしょうか。この記事では、世界シェア圧倒的トップの南アフリカの鉱山やその枯渇問題に触れ、日本の「都市鉱山」などについても詳しく解説します。プラチナの市場価格についても知れるので、是非最後までご覧ください。
プラチナの鉱山は南アフリカに集中
プラチナ鉱山は南アフリカに集中しており、プラチナ生産量の世界シェアは71.5%と圧倒的です。
2022年プラチナ生産量
順位 | 国名 | 生産量(kg) | 世界シェア |
1 | 南アフリカ | 124,401 | 71.5% |
2 | ロシア | 20,000 | 11.5% |
3 | ジンバブエ | 17,104 | 9.8% |
4 | カナダ | 5,400 | 3.1% |
5 | アメリカ | 3,000 | 1.7% |
– | その他 | 4,095 | 2.4% |
– | 全世界計 | 174,000 | – |
引用:Global Note
南アフリカのプラチナは、80%以上が「ブッシュフェルト複合岩体」と言われる鉱脈から産出されています。複合岩体とは、複数の鉱石がまとまって分布する岩盤地帯のことで、ブッシュフェルト複合岩体は12万平方キロメートルに及び、これは日本国土全体の3分の1に該当する広さです。
南アフリカ・ブッシュフェルトの供給量は他と比較にならないことがわかります(赤)。世界シェア2位のロシアのプラチナ鉱山は、ウラル山脈などが有名で(緑)、カナダの鉱山としては、オンタリオ州南東部のサドベリーなどがあげられます(黒)。
南アフリカではプラチナや金などの採掘業が経済の柱となっており、労働者や国民の生活を支えています。一方、一国のほぼ独占状態を問題視する声もあり、南アフリカの経済状況や政治状況が、プラチナの流通や価格に大きく影響すると指摘されています。
日本のプラチナ鉱山
日本にもかつてはプラチナ鉱山があり、北海道の石狩川・天塩川や新潟県などで採掘され事業展開までされていました。
しかし第二次世界大戦以降は、採掘量の少なさから産業としては発展せず、現在は北海道の一部の河川で「砂白金(さはっきん)※」として発見される程度となっています。
※砂白金とは:プラチナを含むかんらん岩が風化して雨水によって河川に流れ込んだもの
北海道においては、明治中期頃に砂白金が確認されていましたが、「砂金に混ざる不純物」として廃棄されていました。大正期になると、砂白金は万年筆のペンポイントとしての利用目的から積極的に採掘されるようになり、戦時中は触媒原料として、大規模な開発が行われました。しかしこの頃の大量採掘により、北海道の砂白金は枯渇してしまったと言われています。
現在、北海道北西部に残るわずかな鉱床から砂白金が発見され注目を集めていますが、産業までは結びついていません。
鉱山のプラチナ産出は枯渇する?
プラチナは需要の多さに対して供給量が少なく、「需給アンバランス」から、鉱山からの産出は枯渇するのではないかと懸念されています。
金の埋蔵量約50,000トンに対し、プラチナは約16,000トンしかなく、埋蔵量の少なさも枯渇が心配される理由の一つです。プラチナは年間約180トン産出されるので、埋蔵量16,000は約90年で枯渇してしまう計算になります。
プラチナはアクセサリーなどの需要の他、以下のように工業用素材としても需要の高い貴金属です。
- 自動車部品
- 医療器具
- パソコン部品
プラチナの工業用途では自動車部品が40%をしめ、マフラーや燃料電池などで使用されています。耐酸性・耐食性・耐久性などに優れたプラチナの特性を活かし、電池の電極板やマフラーの排ガス浄化装置などで活躍しています。
プラチナは金と同じように酸化しづらく金属アレルギーになりにくい特性があるので、医療業界からの需要が高いのも特徴です。アレルギーを引き起こさないため、体内に入っても安全性が高く、ペースメーカー・カテーテルなど体内で活躍する医療器具に広く利用されています。
また、プラチナにはパソコン部品としての需要もあります。パソコン部品の、情報を記憶するハードディスクにおいて、プラチナは記憶能力を高める目的で利用されます。
この埋蔵量や供給量の少なさに加え、自動車部品や医療器具など需要の多さが「プラチナの枯渇」が懸念される理由です。
プラチナの「都市鉱山」とは
天然のプラチナ鉱山は枯渇が懸念されるため、注目を浴びているのが「都市鉱山」です。都市鉱山とは、廃棄された自動車部品・医療器具・PCなどの「ゴミの山」のこと。廃棄物が山のように積み重なっている様子を鉱山に例え「都市鉱山」と言われるようになりました。
工業素材として使用されているプラチナを、廃棄物の中から取り出し、再利用して活用することができます。
日本は天然鉱石に関しては輸入に頼っていますが、都市鉱山の埋蔵量は世界でも有数です。
貴金属 | ① 日本の都市鉱山の埋蔵量 |
② 世界の天然鉱山の埋蔵量 |
①と②の割合 |
金 | 6,800t | 50,000t | 13.6% |
銀 | 60,000t | 270,000t | 22.0% |
金の天然鉱石の埋蔵量が50,000トンなのに対し、日本の都市鉱山の金の埋蔵量は6,800トンもあり、これは13.6%に相当します。金・銀・プラチナ以外にも、イリジウム・錫・タンタルなどのレアメタルの埋蔵量が豊富で、都市鉱山の観点から見ると、日本は「資源大国」と言って良いでしょう。
現在日本では、これら豊富な「都市鉱山」を有効活用するため、リサイクル技術の発展に力を入れています。スマートフォン・デジタルカメラ・ビデオカメラなどの基盤から、金・銀などのレアメタルを安全に取り出せるシステムを開発中で、世界展開に向けて動いています。
今のところは金と銀を中心としたシステム開発ですが、プラチナの希少価値を考えると、近い将来プラチナのリサイクル技術も発展すると見込まれるでしょう。
希少価値の高いプラチナの査定を「なんぼや」で
「なんぼや」では希少価値の高いプラチナ製品を、市場価値をもとに正確に査定させていただいています。南アフリカに生産が集中しているプラチナは、南アフリカの政治情勢などで市場価格が影響しやすい特徴があります。
近年、プラチナの市場価格は値上げ傾向にありますが、日本の「都市鉱山」に埋もれている豊富なプラチナが市場に出て、値を下げる可能性もゼロではありません。
倉庫やタンスに眠っているプラチナ商品があれば、一度プロの目による査定を受けてみてはいかがでしょうか。状態が悪いものや真贋のわからないものの査定も歓迎です。
是非お気軽にご相談ください。