タイガーアイ(タイガーズアイ)/Tiger’s eye
タイガーアイ(タイガーズアイ)は、一条の光の筋が石の表面に現れる虎の目を思わせる石で、金色と茶系の模様がゴージャスなことから、金運を中心としたパワーストーンとしても人気のある石です。
色としては金色や茶系以外にも、ブルー、レッドなどがあり、変種としてはタイガーアイが地殻変動などで一度粉砕した後に、また固まってできたピーターサイトもあります。
タイガーアイの名称由来や価値、その特徴や石にまつわる言葉の意味などを、詳しくご紹介します。
宝石の属性
名前 | タイガーアイ |
英語名 | Tiger's eye |
和名 | 虎目石(とらめいし)/虎眼石(とらめいし) |
色 | 金色、茶金、赤茶、こげ茶、茶褐色、褐色、灰青、灰緑、灰色、黒 |
グループ(種・変種) | 角閃石グループ、石英グループ、ピーターサイト、リーベッカイト |
硬さ(モース硬度) | 6.5-7 |
光沢 | 絹糸光沢 |
化学成分 | NaFe(SiO3 )2 Na2Fe2+3Fe3+2{OH Si4o11}2 |
結晶系 | 単斜晶系 |
誕生石 | 10月 |
宝石言葉・意味
- 宝石言葉
- 富、高潔、好奇心、独立、洞察力、知識
- 意味
- 見識が広く誠実。好奇心や独立心もあり富を築く。
産出国・産地
- ナミビア:全域
- オーストラリア:全域
- 南アフリカ共和国:全域
- ミャンマー:全域
- 中国:全域
- インド:全域
- スペイン:全域
- ブラジル:全域
- ミャンマー:全域
- アメリカ:全域
- カナダ:全域
- 韓国:全域
特徴・特性
タイガーアイは、アンフィボール(Amphibole/角閃石・かくせんせき)グループの一種で、リーベッカイト(Riebeckite/リーベック閃石・りーべっくせんせき)が繊維状になった鉱物を指すクロシドライト(青石綿)に、クォーツ(Quartz/石英・せきえい)が染み込んだことで生まれました。
ケイ酸塩鉱物の混合石で、シリシファイド アスベスト(クォーツが染み込むことでケイ質岩化した石綿)とも言われています。
名称の由来と歴史
タイガーアイは、クロシドライトの繊維が光に反射する様が虎の目のように見えることから名付けられました。
この光の筋が現れるキャッツアイ効果(シャトヤンシー効果)のあるタイガーアイは、古代エジプトでも珍重されて「運を招く聖なる石」として慕われ、また、神事では「大いなる視野」を得るために、神々の像の目にこれを用いて装飾していたと言われています。
また、古代ローマでも、タイガーアイは「聖なる霊力」が宿る石としてお守り(護符)などとしても身につけられてきたと言われています。
ただし、この当時の記述が曖昧だったことから、上記の宝石はタイガーアイではなくクリソベリル(Chrysoberyl)の中でキャッツアイ効果の見られる“クリソベリルキャッツアイ”(キャッツアイと言えば通常はこれを指します)だったとする識者の意見もあります。
タイガーアイの色
タイガーアイは、金色と茶色の層が交互に折り重なったものを想像することが多いのですが、実はクロシドライトの状態によって色が異なる石です。
ブルーのタイガーアイ
クロシドライトは、鉄分を含み通常はブルー系の色をしています。その鉄分が酸化することで、一般的なタイガーアイの金色から茶系の色になるのですが、まれに酸化されずにブルー系の色のままの石も発掘されます。
これを、ブルータイガーアイ、または、鷹の目に見立てて“ホークスアイ(Hawk’s eye/鷹目石)”と呼んでいます。
グリーングレーのタイガーアイ
ブルーから茶系に酸化する過程の中で灰緑色が現れることがあります。この色が狼の目に似ていることから、ウルフアイ(狼目石・ろうがんせき)と呼ばれています。
レッドのタイガーアイ
茶系のタイガーアイの酸化がもっと進むと赤い色になります。これをレッドタイガーアイと呼びます。
タイガーアイの人工的処理
タイガーアイは、産出量が多くリーズナブルな半貴石ですが、パワーストーンや彫刻の素材として人気があることから、着色したり加熱処理したりといった人口的処理をされたものが数多く流通しています。
見た目をよくする加工
タイガーアイの見た目をよくする加工では、脱色後に染色することで作るブルータイガーアイ、レッドタイガーアイなどが挙げられます。また、レッドタイガーアイに関しては、タイガーアイに加熱処理をして色を引き出すこともあります。
この処理での問題は、天然と偽って販売されることもあることです。
染色での見極めのひとつである、アルコールで拭くことによる色の遷移が見られないものも出回っていることから、専門家でも肉眼では加工品と見抜けないものも出てきています。
自由なカラーリング加工
パワーストーンショップや天然石ショップを中心に、天然では見られない色も数多く流通しています。
脱色することで飴色に光るゴールデンタイガーアイ(ゴールドタイガーアイ)、銀色になるシルバータイガーアイを筆頭に、脱色後に色をいれた天然では見られない赤さのレッドタイガーアイ、ブルータイガーアイ、ピンクタイガーアイ、グリーンタイガーアイ、ホワイトタイガーアイ、ブラックタイガーアイなどがそれです。
別の宝石の偽物としての加工
脱色と染色をすることで、見た目をクリソベリルキャッツアイに似せて、キャッツアイとして販売されることがあります。一般のタイガーアイよりも高値で販売されることがほとんどですので、注意が必要です。
タイガーアイとアスベストの関係
和名では石綿(せきめん、いしわた)と呼ばれるアスベスト(Asbest)は、建築物などに広く使われていましたが、近年になって中皮腫や肺がんなどの健康被害が問題になり使用は禁止されました。
タイガーアイの成分のひとつであるクロシドライトもこのアスベストの種類のひとつで、その毒性はもっとも高いと位置付けられています。
こう聞きますと、タイガーアイを持つことにためらいを生じてしまいそうですが、これは研磨や粉砕等をした時に飛散する粉を、長期間にわたり大量に吸い込んだ時に危惧されることです。石を持つだけでリスクが生じることはありませんので、安心してタイガーアイを楽しみましょう。
タイガーアイの変種ピーターサイト
ピーターサイト(ピータサイト/Pietersite)は、シド ピーターズ(Sid Pieters)氏が1962年にナミビアで発見した天然石です。
この石は、タイガーアイ(ホークスアイなど色の異なるもの全てを含む)が地殻変動などで玉砕したものが、長い歳月をかけてクォーツなどが染み込んだことにより再度結合してできた天然石です。
そのため、天然での色はタイガーアイの各種色合いに酷似しているのですが、見られる模様は、モザイクのような様相を呈しています。
同色のタイガーアイとピーターサイトは、その模様で区別が付きます。
価値
タイガーアイは、大きな原石が産出され採石量も多いことから、彫刻の素材として、またパワーストーンなどの天然石として、リーズナブルな価格で流通することの多い石です。
しかし、希少な色や美しい輝きのある石を中心に、絶えることのない人気を誇っている石でもあります。
大きさの価値
タイガーアイは、大きな石も採石されるため、一般的な宝石のように、大きくなるにつれ価値が5倍、10倍と膨れ上がることはありません。比較的大きさに比例する価値を形成しています。
色の価値
タイガーアイは加工処理されたものが数多く流通しており、これらは非常にリーズナブルで資産的価値はないと考えられています。
もっとも価値のあるタイガーアイは、天然で加工されていないものの中で、ホークスアイと呼ばれる灰青色を見せる石です。他の黄色などの色合いが混ざらないものほど価値が高くなります。
ただし、とても希少な石のため、流通しているほとんどのものは染色されたものになりますので注意が必要です。
一般的なタイガーアイでは、金色が輝いて見えるものほど価値が高くなります。
なお、レッドタイガーアイは市場に出てくるほとんどが加工されたもののため、宝石としての市場価値はそれほど高くありません。