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ペリドット/Peridot

ペリドット/Peridot

透明なオリーブグリーン色が、昼夜問わず煌(きらめ)くペリドットは、古くは古代エジプトで太陽神ラーに通じる「太陽の石」としてあがめられてきました。
また、その屈折率の高さから、光が乏しい中でもキラキラと光りますので、「夜会のエメラルド」としても賞賛されてきました。

この石の名称の由来や価値、その特徴やパワーストーンとしての意味などを、くわしくご紹介します。


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ペリドット宝石の属性

名前 ペリドット/ペリドート/フォルステライト
英語名 Peridot
和名 苦土橄欖石 くどかんらんせき
黄緑、緑
グループ(種・変種) オリビン、テフロアイト、モンティセライト、ファイアライト
硬さ(モース硬度) 7
光沢 ガラス光沢
化学成分 Mg2SiO4
結晶系 斜方晶系
誕生石 8月

ペリドット宝石言葉・意味

宝石言葉
夫婦の幸福
意味
夫婦の絆を強め、幸福に包まれる

ペリドット産出国・産地

  • エジプト:セントジョーンズ島(セントジョンズ島、ゼビルゲット島、ザバルガット島)/St. John’s Island、Zebirget
  • アメリカ:ハワイ/Hawaii、アリゾナ/Arizona、ネバダ/Nevada、ニューメキシコ/New Mexico
  • 日本:三宅島
  • ミャンマー:全域
  • メキシコ:全域
  • アフガニスタン:全域
  • ケニア:全域
  • ブラジル:全域
  • オーストラリア:全域
  • 中国:全域
  • スリランカ:全域
  • タンザニア:全域
  • サウジアラビア:全域
  • ノルウェー:全域
  • パキスタン:全域
  • 南アフリカ共和国:全域

ペリドット特徴・特性

カンラン石(オリビン[Olivine])グループに属する、苦土橄欖石(フォルステライト[Forsterite])の中で、緑色が映(は)えて宝石に値する石を、宝石名としてペリドットと呼んでいます。

一般的には、カンラン石のほとんどは苦土橄欖石のことを指すため、ペリドットの鉱物名をオリビンとしている文献もありますが、間違いではありません。詳しく記しますと、フォルステライトとなります。

古代には、トパーズ やエメラルドと混同されることもありましたが、いつから明確に分けられるようになったかは不明とされています。

名称の由来

ペリドットと同じく、緑色の石であるエピドート/Epidotos(ギリシャ語)を語源とした説や、アラビア語で宝石という意味のファリダット/Faridatが語源であるという説など、諸説ありますが、定かにはなっていません。

和名にある「橄欖(かんらん)」ですが、これはモクセイ科のオリーブに似た、深緑色の石であることが命名の由来である「オリビン」を和訳する際に、オリーブと似た実をつけ、その用法も似ていた、カンラン科の植物「橄欖」と誤訳したことが、そのまま流布(るふ)されたため、と言われています。

しかし、当時、オリーブと橄欖は混同、もしくは同一視されていたことから、誤訳説を疑問視する声もあります。

ペリドットの起源

アフリカ大陸と、ユーラシア大陸に挟まれた紅海に浮かぶ、トパズィオス島(現ゼビルゲット島/英名セントジョーンズ島)で採石されたものが、文献として残っているものではもっとも古く、約3500年前から良質なペリドットを産出していました。

近代までその産出は続きましたが、現在は枯渇したため採掘は行われていません。

ちなみに、この島では古代、島名が名称の由来にもなった「トパーズ」が産出されていると信じられていましたが、鉱物学が発展した現代になって、トパズィオス島には、トパーズが産出される鉱脈はなく、ペリドットであったことが確認されています。

太陽信仰のあった古代エジプトでは、太陽神ラーに通じる「太陽の石」として大切にされ、トパズィオス島で採れるペリドットは、厳格な管理が行われていました。
※現在でも大切にされており、エジプトの国石でもあります。

その後、中世において、ヨーロッパにペリドットが広まった理由としては、この島から十字軍が戦利品として、持ち帰ったことが挙げられています。
このペリドットは「十字軍のエメラルド」と称され、成功や希望の石として、身に着ける品や教会などの装飾に使われるようになりました。

その中でも有名なペリドットは、世界遺産にも登録されている、ドイツのケルン大聖堂にあります。

イエスの誕生を“星”により知り、その声に従って進むことで、幼子のイエスを拝むことができたとされる、メルキオール、バルタザール、カスパールの東方三博士(新約聖書に登場する人物たち)。

この3名の遺骨とされる、「聖遺物」が安置されているのがケルン大聖堂で、その装飾の中にあるペリドットは、1粒で200ct以上もある立派なものなのです。

夜会のエメラルド

ペリドットは、「夜会のエメラルド/イブニング エメラルド」というフォールス・ネーム(※1)を持つ石です。
この由来は、ペリドットの特性である複屈折率の高さから、夜の少ない光の中でも輝いて見えることが起因です。
同じく複屈折を見せるルビー、サファイヤ、エメラルドと比較しても、群を抜いています。

同じ起因で「暗闇に光をもたらす神秘の石」と称されることもあります。

ハワイとペリドット

ペリドットには、「ハワイアン・ダイヤモンド」というフォールス・ネームもあります。
これは、オアフ島にある岬(現ダイヤモンド ヘッド)の名称由来にも関係するもので、岬がダイヤモンドのように煌(きら)めいて見えたことから付けられた名称です。

その後、その煌きの原因はダイヤモンドではなく、ペリドットだということが分かりました。

もう一つ、ハワイ由来として有名なペリドットは、「女神ペレの涙」と呼ばれるものです。
ハワイに伝わる、ポリネシア神話の中に出てくる気性が激しい火の女神ペレ。キラウエア火山から噴出する火山弾の中から産出されるペリドットは、この女神の涙だとされているのです。

この石を持ち出したものは、ペレの怒りに触れて不幸になるとされ、実際に国立公園には「不幸になった」という手紙や、持ち出された宝石返却の記録が残されています。

現在は、採石が禁止されているため、「女神ペレの涙」が流通することはほとんどありません。そのため、ハワイ土産でのペリドットは、アリゾナ産が主な産地となっています。

ペリドットのお手入れ方法

ペリドットは、比較的紫外線や水にも強い性質を持っています。
普段のお手入れとしては、柔らかい布で拭くだけで十分ですが、汚れが気になる時には、水での洗浄や、柔らかめの歯ブラシなどで軽くこすることも可能です。
しかし、染色されている場合には、色が抜けることがあります。

ペリドットを取り扱う際の注意点は、衝撃に弱い面があることです。
特にブレスレットなどの場合には、机などとの接触が考えられますのでご注意ください。

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ペリドット価値

ペリドット自体は、広い地域で比較的多く産出される石であるため、手頃に楽しめる宝石として、流通しています。

透明度が高く、美しいオリーブグリーン色に煌(きらめ)くものが、もっとも価値があるとされていますが、ライムグリーン色にも人気があります。

火山の噴火などで溶岩中に含まれることの多いペリドットは、地上で冷える過程でそのほとんどの結晶が細かく割れてしまうため、大きなものは高値で取り引きされます。

現在、カットされたペリドットの中で一番の大きさを誇るものは、トパズィオス島産で約310ct あり、アメリカのワシントン DCにある「スミソニアン博物館」に収蔵されています。

隕石の中のペリドット

宇宙から降ってくる隕石の中でも、非常にまれに発見される石鉄隕石(せきてついんせき)は、パラサイト (Pallasite)とメソシデライト (Mesosiderite)に分けられます。
前者のパラサイトの中には、カンラン石が含まれ、まれに宝石質(※2)のものが採石されることがあります。

石鉄隕石自体が、隕石中に約1%あるかないかという非常にめずらしい石のため、その中から発見されるペリドットは超のつく希少石で、宇宙のロマンを感じさせるという付加価値もあります。
そのため、地球産と分ける意味で「パラサイティック ペリドット/パラスティック ペリドット(Pallasitic Peridot)」と呼ばれ、珍重されています。

このことから、中には通常のペリドットに「隕石」などと書いて、安値で販売しているショップも見かけます。しかし、パラサイティック ペリドットは、希少であるがゆえに高値で取り引きされているのが実情です。購入の際は、隕石由来のものであるかの確認をすることをお勧めします。

ペリドットパワーストーンとして

平和、安心、幸せ、夫婦円満、護符、魔除け、友愛、豊穣、知恵と分別

心身ともに、健全に前向きに生きるための、サポートをしてくれるパワーストーンです。
怒りや悲しみ、嫉妬などのマイナス感情を持ってしまう時や、得(え)も言われぬ不安や恐怖を感じる時に持つことで、自身を守り、良い方向に導いてくれる護符としての効果もあるとされています。

また、知恵と分別を与える石、色欲を沈めて夫婦円満をつかさどる石とも言われています。

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