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オブシディアン(黒曜石)/Obsidian

オブシディアン(黒曜石)/Obsidian

溶岩の一種であるオブシディアンは、特殊な流紋岩に分類される、ガラス質、ガラス光沢を特徴とする非結晶鉱物です。日本でも多くの産出があり、旧石器時代の短剣や矢じりなどが出土しています。

現在も、パワーストーンとして、また、シラー効果の見られる美しい個体もあることから、アクセサリー素材などとして活用されています。

この石の、名称の由来や価値、その特徴やパワーストーンとしての意味などを、詳しくご紹介します。


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宝石の属性

名前 オブシディアン
英語名 Obsidian
和名 黒曜石(黒耀石) こくようせき
透明、黒、白、茶、緑、褐色、黄色、赤、ピンク
グループ(種・変種) ピッチストーン、パーライト
硬さ(モース硬度) 5-5.5
光沢 ガラス光沢
化学成分 SiO2+CaO,Na,K他
※主成分SiO2は70%前後含有。その他成分は変動あり。
結晶系 非晶質
誕生石 なし

宝石言葉・意味

宝石言葉
摩訶不思議、心眼、名誉の保護
意味
摩訶不思議な心眼により、トラブルを避ける

※7月6日の誕生日石

産出国・産地

  • アメリカ:アリゾナ/Arizona、ニューメキシコ/New Mexico、カリフォルニア/California
  • 日本:北海道、秋田、栃木、東京(伊豆諸島)、神奈川、長野、静岡、島根、大分、佐賀、長崎
  • タイ:全域
  • カナダ:全域
  • メキシコ:全域
  • ブラジル:全域
  • エクアドル:全域
  • インドネシア:全域
  • アイスランド:全域
  • アルメニア:全域
  • チリ:全域
  • ギリシャ:全域
  • イタリア:全域
  • スコットランド:全域
  • ケニア:全域
  • ペルー:全域
  • ニュージーランド:全域
  • アルゼンチン:全域
  • エチオピア:全域

特徴・特性

オブシディアンは、火山活動により溶岩が噴出した際、なんらかの作用により急速に冷え固まったことにより、結晶化せずに生成された、溶岩(※1)の一種の火山岩です。岩石名としては、黒曜岩(こくようがん)と呼びます。

急速に溶岩の冷えた原因が何であるのかは、現在のところ解明されていませんが、マグマが水中に噴出するなどの特殊な条件下で、生成されたと考えられています。

化学組成(化学成分)上は、「ライオライト/Rhyolite(流紋岩 りゅうもんがん/) 」(まれにデイサイト/Daciteも含まれる)に区分され、流紋岩の中でも非結晶でガラス質、ガラス光沢のあるものを、オブシディアンと呼びます。

他に、ガラス質で、樹脂光沢のあるものは「ピッチストーン/Pitchstone(松脂岩 しょうしがん)」 、楕円および球状の割れ目が多数見られるものは、「パーライト/Perlite(真珠岩)」 と呼び、この3種は特殊な流紋岩として、個別に名称が付けられました。

オブシディアンは、割れたときに貝殻状になり、その破片はガラス同様切れ味が鋭いため、古代よりその性質を利用して、尖頭器(矢じりなど)(※2)やナイフなどの刃物に加工されてきたことが、文遺跡や文献などから解明されています。

名称の由来

オブシウス(Obsius)という名の人物が、エチオピアでオブシディアンを発見したと、博物誌(Naturalis Historia)(※3)に記載されていたことから命名されました。

さまざまな別名

インクルージョン(内包物)として、「クリストバライト/Cristobalite(方珪石 ほうけいせき) 」が含まれるものを、白い斑点の見た目から「スノーフレーク オブシディアン」と呼んでいます。

この、クリストバライトの部分が、花の模様のように見えるものを「フラワー オブシディアン/花黒曜石」 と呼ぶこともあります。

また、光の干渉により、表面にホログラムのような虹色の光彩が見られるものを「レインボー オブシディアン」、レインボー オブシディアンよりも虹色の光沢が強く、メタリックな色彩を感じさせるものを「ファイヤー オブシディアン」、黄金色のシラー効果(※4)が見られるものを「ゴールデン オブシディアン」、酸化鉄が含まれることで赤色が混じったものを「マホガニー オブシディアン」と呼称することもあります。

そのほか、色の違いから色名を冠して呼ぶこともあります。中でも青色の「ブルー オブシディアン」、緑色の「グリーン オブシディアン」、透明に近い「クリア オブシディアン」は産出が少ないことから人気があります。

これらカラーオブシディアンのことを、「アンダラ オブシディアン」と総括することもあり、特に海外ではその名を多く聞くことができます。

しかし、これらカラー オブシディアンは外見上ガラスと変わらないことから、人工的に作られたものも数多く流通しています。また、オパールのような遊色効果(※5)があることから「オブシディアン オパール/Obsidian Opal」と呼ばれている人工石もあります。そのため、天然のオブシディアンが欲しい方は、購入する前に確認するなどの注意が必要です。

日本のオブシディアン

火山国でもある日本は、古来より石器の材料として、オブシディアンが採石されていたことが、考古学の成果で分かっています。

産地としては、北海道から九州までに分布していますが、中でも長野県の和田峠周辺(男女倉[おめぐら]、霧ヶ峰)、東京都神津島、佐賀県伊万里市にある腰岳、大分県姫島などが有名で、姫島の産地は国の天然記念物にも指定されています。

また、北海道では十勝地方が産地として有名で、現地ではオブシディアンや黒曜石といった名称よりも、「十勝石 とかちいし」の名の方が一般的です。

十勝地方の中でも、質の良いオブシディアンが採石されるのは、音更川(おとふけがわ)・居辺川(おりべがわ)・士幌川(しほろがわ)流域で、この河川では、オブシディアンが普通に小石として転がっているのを見ることができます。

アパッチの涙

アメリカの先住民族であったアパッチ(インディアン族/ネイティブアメリカン)は、ヨーロッパから来た異民族が仕掛けた、大陸の覇権を巡る戦いに巻き込まれます。

その結果、戦いに敗れたアパッチは、先祖代々受け継がれた安住の地を、明け渡すことになりました。その上、生き残ったアパッチは、奴隷として従属させられたのです。

アパッチたちの、深い悲しみから流された涙は、大地に落ちるとドロップ状(涙型)の石になったといわれています。この石が「アパッチの涙(アパッチ ティア、アパッチ・ティアーズ/Apache Tear、Apache Tears)」 と呼ばれるようになった、オブシディアンなのです。

「アパッチの涙」はその由来から、アメリカのアリゾナ州とニューメキシコ州で産出されるオブシディアンに限定され、中でも、石灰岩などの中に、小石状の塊として採石されるもののみに、その流通名が許されるといわれています。

オブシディアンのお手入れ方法

オブシディアンは、紫外線や水にも強い石として知られています。通常は、柔らかい布でやさしく拭く程度で大丈夫ですが、汚れが酷いときには流水で洗浄することもできます。

ただし衝撃には弱く、割れやすい石ですので、落としたり、ぶつけたりすることに対しては注意が必要です。また、万が一割れた場合には、ガラス同様身体を傷つけることがありますので、取り扱いにはご注意ください。

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価値

黒曜石という和名があるとおり、一般的には黒色が多く産出されるオブシディアンですが、近年はさまざまな色合いのものも産出されており、天然ガラスとして人気のあるリビアン デザート グラス(Libyan desert glass)(※6)やモルダバイト(Moldavite)(※6)同様に、注目されています。

黒色のオブシディアンはパワーストーンとして人気で、ブレスレッドなどの身に着けるアクセサリーに利用されています。

また、透明度の高いカラー オブシディアンは、他の透明度のある宝石同様、ファセットカット(※7)されて指輪やイヤリング、ペンダントヘッドなどに加工されることもあります。

そのほか、シラー効果が見られるオブシディアンもあり、その効果が強く出ているものほど希少価値があります。鉱物収集家にも人気がある石のため、良いものは原石のまま取り引きされることも多い石となっています。

これら、カラー オブシディアンやシラー効果のあるもので、宝石質(※8)のものは産出が少ないため、通常のオブシディアンよりも高値で取り引きされているのが現状です。

パワーストーンとして

知的能力の向上、潜在能力の開花、希望、積極性、悪意からの保護、集中力、

魔除けや呪術にも用いられることのあるオブシディアンは、困難に打ち勝つための気力と集中力を自身に与え、潜在能力を開花させることで成長を促してくれるパワーストーンであるといわれています。

また、潜在的に潜んだ否定的な感情を吸収することで、トラウマを克服することができる石ともいわれています。
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