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キャストライト/Chiastolite

キャストライト/Chiastolite

多色性で知られる、アンダルサイトと同じ化学成分ながら、全く異なる十字模様という外見を持つキャストライト。十字架を意味する石として、「ラピス クルシファー」や「クロス ストーン」、「マルタ石」などとも呼ばれています。

ここでは、その見た目から、初期キリスト教のお守りとしても大切にされたキャストライトの、名称の由来や価値、特徴やパワーストーンとしての意味などを、詳しくご紹介します。


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宝石の属性

名前 キャストライト(キアストライト)
英語名 Chiastolite/Chiastos
和名 空晶石 くうしょうせき
茶系、白、黒
グループ(種・変種) アンダルサイト、シリマナイト、カイヤナイト
硬さ(モース硬度) 6.5-7.5
光沢 ガラス光沢
化学成分 Al2SiO5
結晶系 斜方晶系

宝石言葉・意味

宝石言葉
聖なる契約
意味
真理に基づく慈愛の心を誓う

※12月25日の誕生日石

産出国・産地

  • ロシア:ネルチンスク(ニェールチンスク) /Nerchinsk
  • オーストラリア:サウス オーストラリア/South Australia
  • スペイン:アンダルシア/Andalucia、サンティアゴ・デ・コンポステーラ/Santiago de Compostela
  • 中国:湖南省/Hunan
  • オーストリア:チロル/Tirol
  • アメリカ:全域 
  • 日本:全域

特徴・特性

キャストライトは、アンダルサイトと同じ化学成分を持つケイ酸塩鉱物です。
アンダルサイトに、インクルージョン(内包物)としてグラファイト(※1)が多く含まれることで、まるで別の石を思わせる特徴的な外見になりました。

最大の特徴は、カット面に十字架を思わせる、黒い十字模様が現れることです。これは、グラファイトによるものです。

また、ほとんどのキャストライトは、不透明(一部、半透明のものもあり)で、アンダルサイトの特徴である多色性を見ることは難しくなっています。

キャストライトはアンダルサイト

キャストライトは、アンダルサイトに主にグラファイトが内包されたことにより、その特徴的な外見が作られたものであるため、化学成分も結晶系も同じです。

そのため、アンダルサイトと同質異像体(どうしついぞうたい)(※2)である、カイヤナイトやシリマナイトとは異なり、この2点は鑑別した際、同じ名称が鑑別書の鉱物名に記載されるのに対し、キャストライトは、「アンダルサイト」と記載されるのです。

名称の由来と、英語名としてのChiastos

ギリシア語で“対角線的配列”という意味の「Chiastos」からきています。

キャストライトの英語名が「Chiastos」と記載されている例を見かけますが、これは由来であるこの名称を誤って記載したことが、浸透してしまった結果と思われます。 この事典では、周知されている名称のひとつであることから、「Chiastos」も英語名として併記しています。

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価値

キャストライト自体は、天然石ビーズとして、アクセサリーにされることが多く、比較的安価な素材です。

十字の形の交差地点が中央に均等に配置されている石が人気で、その大きさや、十字部分とその他の部分のコントラスト、また、十字部分以外の箇所の透明度が高く美しいか、などが価格に反映されます。

また、十字の特徴から、宗教的な意味やパワーストーンとしての意味を、前面に押し出した商品では、幅広い価格帯が付けられています。

薬としてのキャストライト

キャストライトはその昔、解熱薬としても使用されていたといわれています。

解熱薬としての医学的根拠はありませんが、キャストライトに含まれるグラファイトは、PCやスマホ、自動車座席などの“熱拡散などによる、温度を下げるためのシートの原料”として使用されていることは確かです。

また、グラファイトの同素体(どうそたい)(※3)である、フラーレンは、ヒト免疫不全ウイルス(HIV)の薬としての臨床試験も行われています。キャストライト自体には、このような効果は認められませんが、同素体に、実際に薬としての利用検討がされている物質のあることが、興味深いところです。

キリスト教と十字架の石

キャストライトは、キリスト教の“十字架”を意味する石として、「ラピス クルシファー」や「クロス ストーン」、また、十字架をマルタ クロスということから、マルタ石(Maltesite)と呼ばれることもあります。

実際に、初期のキリスト教徒は、これを信仰心や聖なる契約のシンボル、自身を守護してくれるお守りとして保有することがありました。また、悪意ある魔術である「イーヴィルアイ(※4)の呪い」を消し去るお守りとしても、大切にされたといわれています。

キャストライト、スタウロライトとクロス・ストーン

天然の状態のまま、十字架を思わせるクロスを形成する鉱物には、キャストライトの他に、スタウロライトがあります。

スタウロライトもキャストライト同様、その形から、キリスト教の十字架としての意味を持ち、クロス・ストーン(Cross stone)と呼ばれている石です。

特徴的違いは、キャストライトが石のカット面(球体の場合は研磨面)に十字模様が黒で現れるのに対し、スタウロライトは、石自体の形が十字形(Xの形などもあり)で産出されることです。

化学成分や結晶系は、キャストライトと異なり完全に別の石なのですが、アンダルサイトの同質異像体である、カイヤナイトを含む鉱物の“変成作用(※5)”の結果、作られた石でもあることが、興味深いといえます。

キャストライトが、十字石(じゅうじせき)として紹介されている文献も見かけますが、これは間違いで、十字石はスタウロライトの和名です。

パワーストーンとして

守護石、悪魔払い、本質を見抜く力、創造力の強化

キャストライトは、神の加護を受けることができ、漠然とした不安や恐怖心を抑えてくれるパワーストーンとして知られています。

また、“物事の本質を見極める力”を高めてくれる石でもあります。何か新しいことを始めたい時や、重要な事柄に対じしている時などに持つことで、正しい方向に導いてくれるといわれています。

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