どれがいい? 結婚指輪のオーダーメイドを種類別に比較
結婚指輪は生涯を通じてずっと身につけるものだからこそ、妥協せずに納得できるものを選びたい――。そんなこだわりを持った二人にこそおすすめなのが、「オーダーメイド」の結婚指輪です。
デザイン、セッティング、素材まですべて注文して作るため、まさに“世界で一つだけ”のオリジナルリングとして、結婚指輪にふさわしい特別なものになるはずです。
ですが、いざ探してみると、お店によってオーダーメイドの内容は大きく異なります。
実はオーダーメイドといっても、「フルオーダー」「セミオーダー」「ハンドメイド」と、大きく分けて3つの種類があり、かかる時間や手間、費用がそれぞれ違ってくるのです。
今回は、そんな3つのオーダーメイドについて、どのくらいの時間や手間、費用がかかるのかを、1つずつ詳しくご紹介します。また、オーダーメイド以外の選択肢として「既製品」についてもご紹介しますので、ぜひ比較・検討してみてください。
フルオーダー
フルオーダーは、プロのデザイナーと相談しながら、ゼロからオリジナルリングを作る方法です。時間をかけて納得のいくオリジナルリングにしたい、という方におすすめです。
フルオーダーの流れ・スケジュール
- 来店回数の目安:最低でも3回
- 期間の目安:最低でも2ヶ月
- 手のかかる度:50%
フルオーダーの場合はほぼ手作業でリングが作られることになりますから、時間がかかるのが大前提。また、デザイン次第でも作業にかかる時間は違ってきます。
最低でも、3回の来店と2ヶ月以上の期間は見積もっておきましょう。また、基本的に予約が必要です。
初回の来店:ヒアリング、デザインの決定、予算と納期の見積もり
初回の打ち合わせは、一般的に2時間ほどかかります。お店によっては、打ち合わせを数日に分けてじっくり行うところもあるそうです。フルオーダーの場合は初回の打ち合わせが最も重要ですから、それも当然かもしれません。
打ち合わせ当日は、主に以下のようなことを話し合います。当日までに、大まかなイメージと予算を決めておきましょう。
- 好み(イメージ)を伝える
- 希望の予算と納期を伝える
- 使用する貴金属や宝石を決定する
- デザインを決定する
- 最終的な見積もりと納期を確認する
この時点でのデザインは基本的にはデッサンで行われますが、最近ではパソコンの3Dグラフィックで行う場合も多いようです。
試作リングの制作(約1ヶ月)
お店によって多少異なりますが、シルバーや真鍮、ワックスで試作品をつくります。
2回目の来店:試作リングの確認と打ち合わせ
この打ち合わせがデザインの最終確認です。気がついたことや修正したい部分があれば、このタイミングで遠慮なく相談しましょう。
本番制作(約1ヶ月)
試作品の確認から、約1ヶ月で完成品ができます。
3回目の来店:受け渡し
最終確認をしてからの受け取りとなりますが、この時点での修正はまずできませんのでご注意ください。くれぐれも2回目の打ち合わせのときに、疑問点や気になった点は解消しておきましょう。
フルオーダーの費用
- 目安:ペアで20~40万円
※素材やデザインによって大きく変わります
完全なオリジナルジュエリーを制作するフルオーダーは、最も費用がかかります。安く見積もってもペアで20~40万円以上になることは確実だと考えておくほうがいいでしょう。もちろん、これはあくまで目安で、素材(地金の種類・宝石の種類、質、大きさ)やデザインによっては、さらに10万円単位で上がることもあります。
どのお店も、最低金額を設定した上で予算に応じてさまざまな提案をするスタイルになっています。見積もりは無料の場合が多いので、まずは相談してみて、持ち帰ることをおすすめします。
また、打ち合わせのために、どうしてもお店に何度か足を運ばなくてはなりませんので、交通費や時間的経費がかかることも計算に入れておきましょう。
ただし、既製品でもハイブランドのものとなると30万円を簡単にオーバーしてしまいます。そう考えると、世界でたったひとつのオリジナルリングを作れるのですから、決して高くはないのかもしれませんね。
フルオーダーを選ぶ方へのアドバイス
せっかくのフルオーダーですから、お店のスタッフとじっくり話し合い、納得のいくデザインにしたいところです。ただし、デザイナーによって個性が出ますから、お店選びは慎重に。カタログやデザイナーズジュエリーなどをよく調べて、あなた好みのお店を見つけることから始めましょう。
初回の打ち合わせでは、積極的にイメージを伝えましょう。イメージに近いリングの画像を用意しておくと、話し合いがスムーズに進むのでおすすめです。デザインや制作はもちろんプロが行いますから、打ち合わせが充実すれば、イメージに沿ったリングになるはずです。
また、試作品ができた段階での調整も大切です。2回目打ち合わせでは細かいところまでしっかりと相談して、納得いくまで話し合いましょう。
そして、なにより時間がかかりますので、スケジュールに余裕を持って計画を立てましょう。
セミオーダー
セミオーダーは、お店側が用意している基本となるデザインの中から組み合わせを選んだりオプションを加えたりして、オリジナルリングを作る方法です。時間や費用はあまりかけられないけれど、オリジナルリングにしたい、という方におすすめです。
セミオーダーの流れ・スケジュール
- 来店回数の目安:2回
- 期間の目安:1~2ヶ月
- 手のかかる度:25%
フルオーダーをパターンに分けて簡略化している分、セミオーダーの場合は時間が少なくて済みます。完成まで、1~2ヶ月といったところです。
基本的なデザインは既に決まっているので、フルオーダーの場合には必要な「試作品」の工程が、セミオーダーでは丸ごと省けます。デザイン決定の後すぐに完成品の制作に入りますので、店舗に足を運ぶのは、初回の打ち合わせと受け取りの2回だけ。まずは、お店に問い合わせ・予約してみましょう。
初回の来店:デザインの選択、予算・納期の見積もり
予算にあわせて、サンプルの中から素材とデザイン、さらにオプションを選択します。お店によってはデザインの微調整もありますので、確認の上、相談してみましょう。
費用や納期も含めてこの打ち合わせですべて決まりますので、気になるところはしっかりと確認しましょう。
リング制作(1ヶ月)
制作期間は早くて約1ヶ月ですが、デザインや季節によって前後します。1回目の時点で納期は確認しておきましょう。
2回目の来店:受け取り
出来上がったリングを受け取ります。
セミオーダーの費用
- 目安:ペアで15~25万円
既に決まっているデザインやパーツの組み合わせでカスタマイズするため、フルオーダーに比べるとお得な値段になります。最もコストパフォーマンスに優れた方法と言ってもいいかもしれません。
もちろんデザインや素材の選択にもよりますが、ペアで15~25万円程度が目安。この値段は、実は既製品とほとんど変わりません。
決まったデザインとオプションを組み合わせるという形式なので、インターネットでの注文に対応している宝飾店が多いのも、セミオーダーの特徴です。そういった意味では、交通費や時間を節約できるので、総合的な費用はさらに安くなります。
セミオーダーを選ぶ方へのアドバイス
セミオーダーは、初回に打ち合わせをする必要はありますが、フルオーダーに比べると時間もコストも少なく済みます。
また、お店によってはサンプルが豊富で、オプションや微調整を加えると数限りない組み合わせができるので、「世界でたった一つ」とは言えなくても、オリジナル度の高いリングになることは間違いありません。もともと結婚指輪は普段使いが前提ですから、つけ心地がよくシンプルなデザインが好まれますし、セミオーダーでも十分な満足感を得られるでしょう。
最近では、インターネットやメールでの打ち合わせでオーダーできるサービスもありますから、気になるお店があればぜひ問い合わせてみてください。
ハンドメイド
ハンドメイドでは、デザインだけでなく制作にも関わることができます。二人で一緒に作った時間も思い出としてリングに込めたい、という方におすすめです。
3つのパターン
製造過程のどこに参加するかは、お店やお二人の要望によって異なり、大きく3つのパターンがあります。
パターン1. 指輪の原型のみ、制作する
「ワックス」というロウを削って、原型を作る工程だけに参加します。この原型をもとに型が作られ、そこに貴金属を流し入れてリングが完成します。
工作のように思った通りのデザインを作ることができますし、ロウですから失敗しても作り直せます。鋳造と石留め、仕上げはプロのクラフトマンが行いますから、完成度については安心です。
パターン2. 初心者でもできる作業のみ、部分的に参加する
製造過程の中でも、簡単で、後から手直しができる部分のみ参加する方法です。主に、リングの形を作ったり刻印をいれたりする作業になります。参加時間も短く、失敗しても修正が効く作業ばかりですから、気軽に関われることが利点です。
パターン3. 全行程を行う
指輪の手作り工程をすべて行う方法です。貴金属を溶かし、伸ばして刻印し、鍛えてリングの形にして、さらに表面の模様まで手がける、という本格派。最終的な調整と仕上げのみ、お店側で受け持ちます。
本格的な製造になりますので、複雑なデザインは難しいでしょう。しかし、まさしくハンドメイドであり、できた指輪へ対する思い入れは、他のオーダーメイドの比ではありません。
ハンドメイドの流れ・スケジュール
- 来店回数の目安:1~3回
- 期間の目安:1日~1ヶ月以上
- 手がかかる度:70~90%
オーダーメイドジュエリーのなかで、最もスケジュールに幅があるのがハンドメイドです。デザインの複雑さや、制作過程のどこにどのくらい関わるのかによって、スケジュールが大きく違ってきます。
例えば、全行程を自分たちでハンドメイドする場合は、デザイン次第で作ったその日に受け取ることもできます。ワックス原型だけを作る場合は、その後の完成までの工程をプロのクラフトマンが担当するので、1ヶ月以上かかることが多いようです。
ハンドメイドの場合も、まずはお店に問い合わせ・予約することから始まります。
打ち合わせ
初回の打ち合わせでは、予算、納期、デザイン、素材を決めたり、作業方法の説明を受けたりします。はじめからハイボリュームであることを覚悟しておきましょう。
自分たちでの制作
部分制作なら作業によって1~2時間、ワックス原型の作成なら約3時間、全行程ハンドメイドなら最低4時間はかかります。お店のスタッフが手助けしてくれますから、あまり気負わず楽しんで取り組みましょう。
お店スタッフの制作、仕上げ
部分制作の場合、その後の完成までの工程はお店側で行うことになります。1ヶ月以上はかかると考えておきましょう。
自分たちでほぼ全行程をハンドメイドする場合であっても、デザイン次第ではお店側で宝石をセッティングしたり、仕上げ作業を行ったりしなくてはならないことがあります。その場合も2週間以上かかります。
受け取り
完成したリングを受け取ります。
全行程を自分たちでハンドメイドする場合は、1~4を1日ですべて済ませる場合もあります。お店やプランによってスケジュールが全く違うので、事前の確認はきっちりと行いましょう。
ハンドメイドの費用
- 目安:ペアで10~20万円
ハンドメイドはオーダーメイドのひとつでありながら、実は破格ともいえる値段で注文できます。本来クラフトマン が手がける工程の一部分を購入者が手伝うわけですから、その分制作料が安くなるわけです。
全行程を手がける場合は、道具の使用料と制作指導料からなる基本制作費とリングの素材費のみで済むことも。使用する貴金属の量を調整すればさらに費用を削れますから、ペアで10万円を切ることもあります。
工程の大部分をお店側に任せる場合には、セミオーダーと同じくらいの費用がかかることもあります。
ハンドメイドを選ぶ方へのアドバイス
当日受け渡しの場合もあれば、完成まで2ヶ月かかる場合もあります。どの工程に関わるのかによってスケジュールが大きく違うので、結婚指輪のために使える時間が自分たちにはどれくらいあるのか、きちんと確認してから申し込みましょう。
お店によっては、二人が作業をしているシーンを収録した記念DVDをプレゼントしているところもあるようです。
既製品
結婚指輪は普段使いが前提ですから、オリジナリティよりシンプルさを求めるのも正しい選択。手間が少なく安心感も高いので、オリジナルデザインにこだわらないのであれば既製品が一番おすすめです。
既製品の流れ・スケジュール
- 来店回数の目安:1~2回
- 期間の目安: 1~2ヶ月
- 手のかかる度:10%
オーダーメイドと比べると自分たちで決めなくてはいけないことが少なく、「どのブランドの、どのリングにするか」「刻印は必要か」の2点だけを、じっくりと考えることができます。
結婚指輪は在庫品ではなく新たに制作してもらうことが一般的ですから、期間は1~2ヶ月程度を目安と考えておきましょう。ただし、サイズの微調整や刻印はいらいない、在庫品でも良い、という場合は来店したその日に受け取ることもできます。
初回来店:リング選び、オプション選択
来店予約の必要はほぼありませんが、ネットや電話で予約すると待ち時間なくスムーズに対応しもらえ、さらに特典を受けられる可能性があります。
サイズ調整や刻印が必要な場合、打ち合わせの時間が必要になります。納期も確認しておきましょう。
2回目の来店:受け取り
2回目の来店では、オプションやサイズの確認をして、受け取って帰るだけ。購入時にしっかりとサイズの確認などをしておけば、まずトラブルが起こることはないでしょう。
既製品の費用
- 目安:ペアで10~40万円
相場の幅が最も広いのが既製品。ブランドによって明確に差があります。無名のブランドや個人工房ならペアで10万円以内もありますが、ハイブランドのリングになれば40万円を軽く超えることも珍しくありません。また、この相場もあくまで日本における平均的な購入金額から見た価格であって、上を見ようと思えばきりがない世界です。
ブランドものであってもインターネットで購入できますし、注文してから届く期間も約1ヶ月程度ですから交通費や時間的経費は節約できますが、選ぶ商品によって費用が全く違ってくるのが既製品です。
既製品を選ぶ方へのアドバイス
既製品を選ぶのであれば、ハイブランドのリングなら特別感を得ることができますし、ブランドにこだわらなければ安価で購入できます。
お店のスタッフに予算を伝えると、それに応じたおすすめのデザインを案内してもらえます。予算を伝えることは結婚指輪を選ぶ際にとても重要なので、ここで恥ずかしがらずにしっかり伝えることが、スムーズに購入するための近道です。
指のサイズは1日のうちでも変化します。可能であれば朝、昼、晩と指のサイズを測り、お店のスタッフに話しておくと、サイズ調整がスムーズに進み、受け取りの際もサイズが合わないというトラブルを回避できるので、ぜひお試しください。
ポイント別比較
さいごに、それぞれの方法を比較できるように要点をまとめてみました。結婚指輪の購入方法を検討するときに、ぜひ参考にしてみてください。
フルオーダー | セミオーダー | ハンドメイド | 既製品 | |
---|---|---|---|---|
手のかかる度 | 50% | 25% | 70~90% | 10% |
来店回数の目安 | 最低でも3回 | 2回 | 1~3回 | 1~2回 |
必要な期間の目安 | 最低でも2ヶ月 | 1~2ヶ月 | 1日~1ヶ月以上 | 1~2ヶ月 |
費用の目安 | 20~40万円 | 15~25万円 | 10~20万円 | 10~40万円 |
※お店や製品によって必要な時間や予算は違いますので、上記はあくまで目安とお考えください。
いかがですか? 結婚指輪は一生身につけるもの。かけられる予算と時間の中で、しっかりと検討しましょう。お二人にとっての最善の方法で、とっておきのリングを選んでくださいね。
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