パラジウム価格が下落した理由とその価格推移について
プラチナのような白銀の輝きを持つパラジウム。希少性が高くレアメタルの1つとして知られており、工業用の部品やジュエリーなどの地金に使われている金属になります。
ここ数年で投資目的にパラジウムを購入する人が増えており、パラジウムの価格は高騰していましたが、2024年におよそ5年ぶりに価格が下落しました。
今回はパラジウムの価格が下落した理由と価格推移についてご紹介していきます。
5年ぶりにパラジウム価格がプラチナ価格より下落
2024年2月8日のパラジウム現物価格が2018年4月以来5年10カ月ぶりにプラチナの価格を下回りました。
パラジウム価格は2018年から2022年まで高騰していたものの、2023年は39%価格を下落し、ついに2024年プラチナの価格をも下回りました。
パラジウムとは?
パラジウムとは1803年に発見された白金族元素に属する原子番号46の元素で比較的新しい金属になります。
ロシアや南アフリカから産出され、年間で200トンの産出量と金よりも希少性の高いレアメタルの1つとして知られています。
強度が高く割れにくいことから銀歯として使われており、他に自動車排気ガスの窒素酸化物、炭化水素、一酸化炭素などの有害物質を取り除くための触媒としても使われています。
燃料電池極やジュエリーの地金用途にも使われ、ここ数年であらゆる媒体に使えることから注目が集まっています。
パラジウム特徴
パラジウムの特徴として、融点が低い、耐酸性が低いなどが挙げられます。
どちらもなんだか弱そうな感じがしますが、融点が約1,555℃と鉄と同じほどの低さであるがゆえに加工がしやすく、様々な金属と合金して利用することができるようになっています。そのため、ジュエリーでは白銀パラジウム、歯科治療では金銀パラジウム合金など混ぜ合わせることがしやすい金属なのです。
他にパラジウムは体積の900倍以上の水素を吸収することができる特徴を持ち、水素自動車や燃料電池など新たなエネルギー源に欠かせない役割をもつ金属となっています。
パラジウムの価格推移
年 | パラジウム価格(円/g) | 2014年 | 2,533円 |
---|---|
2015年 | 3,169円 |
2016年 | 1,996円 |
2017年 | 2,942円 |
2018年 | 4,154円 |
2019年 | 5,986円 |
2020年 | 8,495円 |
2021年 | 9,474円 |
2022年 | 10,073円 |
2023年 | 7,870円 |
※価格は毎年1月の平均買取金額を表示
パラジウムの価格が高騰した理由
パラジウムは希少価値の高いレアメタルでしたが、当初はそこまで価格は高くありませんでした。しかし、2015年9月にドイツのフォルクスワーゲンが排ガスを不正処理していたことが発覚して以来、他のディーゼル車にも発覚し、ディーゼル車への規制が強まったことでパラジウムを触媒とするガソリンエンジン車と電気自動車の需要が増加しました。これによりパラジウムの認知と需要が高まり、価格が高騰したといわれています。また、最大の産出国であるロシアへの経済制裁もパラジウムの価格の高騰に拍車をかけたといわれています。
2017年には1グラム3,000円ほどだったものが、2020年には1グラム9,600円と高騰していき、2021年5月には一時10,000円にまで高騰しました。
パラジウムの価格が下落した理由
高騰しつづけたパラジウムの価格ですが、2023年は39%下落し、1グラム6,000円止まりになり、2024年は冒頭にあったように2018年4月以来5年10カ月ぶりにプラチナの価格を下回っています。
このようにパラジウムの価格が下落した大きな理由がパラジウムの主要用途である自動車産業が世界的に低迷していることが挙げられます。さらにパラジウムの価格が高騰しすぎたために同じ白銀元素のプラチナに触媒を切り替え始めていることで需要が減っているのも下落した理由になります。また、ガソリン車ではなく触媒装置の不要の電気自動車などの普及が進んでいるのもパラジウムの価格の下落に拍車をかけています。
パラジウムは今後も下落する可能性がある
パラジウムの価格は急な高騰が続いていたので、その反動で下落したともいえます。しかし、下落した理由にプラチナへの代替や電気自動車の普及があることからパラジウムの新しい用途が今後出てこないと再上昇は厳しいかもしれません。今後も下落する可能性があるパラジウムは今のうちに売却してしまうのも手かもしれません。
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