合成・人工ダイヤモンドはどんな石?天然石との違いと歴史、特徴まとめ
ダイヤモンド業界に、非常に大きな変革をもたらしたのが、合成ダイヤモンド(人工ダイヤモンド)の登場です。天然のダイヤモンドと比較すると、安価に購入できる点が魅力の一つとされています。
とはいえ、合成ダイヤモンドについて、よく知らないから不安……と語る方は、まだまだ少なくありません。
今回は、人工的に作られた合成ダイヤモンドの特徴や、天然石との見分け方、合成ダイヤモンドならではのメリットについて解説していきます。ダイヤに関する知識を身につけ、売買する際の参考にしてみてください。
合成ダイヤモンド・人工ダイヤモンドの特徴とは?
合成ダイヤモンドは、人工ダイヤモンドとも呼ばれています。その名前のとおり、人工的に合成されたダイヤモンドで、長年の研究開発によって誕生しました。
天然のダイヤモンドは、地球の奥深くにて、非常に長い年月をかけて生み出されたもの。だからこそ希少価値があり、また採掘するのにも手間がかかります。
人工ダイヤモンドは、研究室や製造所にて作成が可能です。生成までの期間も、数日から数週間程度と非常に短期間となっています。
「合成ダイヤモンドはダイヤモンドではなく、他の物質をダイヤモンドに似せているだけ」と思われるかもしれませんが、これは誤解です。
合成ダイヤモンドは、
- 化学成分
- 結晶構造
- 光学的特性
- 物理的特性
これらの点において、天然ダイヤモンドと同一です。
つまり合成ダイヤモンドは、れっきとしたダイヤモンドであるということ。
天然ではないというだけで、ダイヤモンドとして偽物であるというわけではありません。
合成ダイヤモンドの歴史
天然のダイヤモンドと同じ性質を持ちつつ、はるかに手軽に入手できる合成ダイヤモンドは、工業用製品に使われるケースが多くありました。
人工生成技術がまだまだ劣っていた頃は、石としての特性は天然ダイヤモンドと同一であっても、見た目の美しさという点で、合成石ははるかに劣っていたからです。硬度や熱伝導性といった、見た目以外の特性を活かす道でのみ、活用されていました。
しかし近年、人工的にダイヤモンドを生み出す技術は、非常に高まってきています。肉眼では、天然石との見分けがつかないほどに美しい合成ダイヤモンドも登場しています。
この流れを受けて、合成ダイヤモンドを使ったジュエリーも積極的に販売されるようになっています。
2018年5月には、世界のダイヤモンド市場を制してきたデビアス(DEBEERS)社が、宝飾用の合成ダイヤモンドを発売開始するというプレスリリースを発信しました。ジュエリー市場におけるダイヤモンドの流れが、非常に大きく変わりつつあります。
合成ダイヤと天然ダイヤの見分け方について
技術革新により、肉眼では見分けがつかないほど精巧になった、合成ダイヤ。しかしそのすべてにおいて、天然石と同一であるというわけではありません。
たとえば、合成ダイヤモンドを売却しようと査定士のもとに持ち込んだ場合、すぐに「天然石ではない」と判別されるでしょう。
合成と天然、それぞれの違いは、結晶が合成されるまでの過程において現れます。
天然石の場合、長い年月の中で複雑な環境変化を経験することになります。見た目ではわからなくても、この過程は不均一性として、結晶の中に蓄積されていきます。
短期間で、しかも安定した環境の中で生み出される合成石には、こうした特性は存在しません。
また合成ダイヤと天然ダイヤは、その結晶型においても違いがあります。
天然のダイヤモンドは、正三角形を8つ組み合わせた八面体で構成されるもの。一方で合成ダイヤモンドの場合は、製法によっても変わりますが、6つの正方形からなる立方体面を持つ結晶形となります。
結晶構造は同じでも、それを形作る結晶形に違いがあることで、天然ダイヤモンドと合成ダイヤモンドの間には、明確な差が生まれます。ダイヤモンド査定用の専門用具を使えば、こうした違いはすぐに見分けられるでしょう。
自分が保有しているダイヤモンドが天然石なのか、それとも合成石なのかで悩んだときには、一度査定に出してみるのもおすすめの方法です。
合成ダイヤの人気も上昇中!そのメリット・デメリットとは?
合成ダイヤモンドと天然ダイヤモンド、両者が同じ条件で並べられていたら、多くの人は天然石に興味を抱くのではないでしょうか。たとえその構造は同じであっても、天然石ならではの歴史にロマンを感じる方は多いはずです。
しかし合成ダイヤモンドには合成ダイヤモンドの魅力があり、近年では、特にヨーロッパを中心に「あえて合成ダイヤモンドを選択する」という消費者も増えてきています。
では、あえて合成ダイヤモンドを選択するメリットとは、いったいどこにあるのでしょうか。
- 安定した品質の石が入手できる
- 天然石と比較すると、安価である
- 環境問題や発掘問題を誘発しない
人工的に作られた製品の品質は、均一です。天然石のように個性を感じるのは難しいかもしれませんが、逆を言えば、安定して美しいダイヤモンドを入手しやすいということ。
しかも供給量が安定しているため、大きな石でも安価に入手できるでしょう。
また、ダイヤモンドの歴史において、発掘による環境問題や発掘に関わる人の労働環境が非常に大きな問題となってきました。人工ダイヤモンドであれば、こうした問題は引き起こしません。
購入価格が安いということは、売却時の価格も安くなる点がデメリットとなりますが、そもそも手放すことを考えていないジュエリーであれば、人工ダイヤモンドを選んでも、不都合は生じないでしょう。
まとめ
今回は、合成ダイヤモンド・人工ダイヤモンドについて紹介しました。
人工ダイヤモンドの流通量が増えれば、「どのブランドの、どんなダイヤモンドジュエリーを選ぶのか」以前に、「天然石を選ぶのか、それとも合成石を選ぶのか」で悩む時代がやってくるのかもしれません。
また人工ダイヤモンドの流通量が増えれば、天然ダイヤモンドの価値も低下するのでは…と懸念されています。もしも手元に使わないダイヤモンドジュエリーがあるのであれば、今のうちに売却を検討してみてはいかがでしょうか。