棟方志功の作品|白黒で描く「板画」とは
日本を代表する版画家のひとりである棟方志功。「青森のゴッホ」とも称される彼の作品は、国内だけでなく世界中で高い評価を受けています。今回は、海外のコレクターも多い版画家、棟方志功についてご紹介します。
「青森のゴッホ」棟方志功
棟方志功は、1903年に青森県青森市で誕生しました。18歳の頃に見たゴッホの「ひまわり」に感銘を受け、画家を志すようになります。このときに残した「わだばゴッホになる」という言葉が、後に「青森のゴッホ」と呼ばれるようになった理由です。
棟方志功の名を世界に知らしめたのが、1952年にスイスのルガノで開催された国際版画展です。日本人初の優秀賞を受賞し、国内だけでなく海外でも高い評価を受けました。その後もサンパウロ・ビエンナーレやヴェネツィア・ビエンナーレなど、世界的に有名な展覧会に出品し、最高賞や大賞を受賞しています。
多色刷り版画から白黒の「板画」へ
初期の棟方志功は、最初の版画作品集である「星座の花嫁」や「貴方行路」などに代表されるように、多色刷りで作品を制作していました。版画の世界へと足を踏み入れるきっかけとなった、川上澄生の影響を強く受けているといえるでしょう。
その後、独自の表現方法を模索し続けた棟方志功は、白と黒を基調としたシンプルながらも奥行きのある手法を見いだします。後に彼は、著書「板散華」のなかで、自身の版画について「板画」と表現しています。この頃に発表された彼の代表作が、「大和し美し」や「二菩薩釈迦十大弟子」、「柳緑花紅頌」などです。どれも白と黒のみで表現されているにもかかわらず、臨場感と奥行きが存分に感じられます。
また、棟方志功といえば「板画」のイメージですが、油絵や倭画、書などにも取り組んでおり、1975年に生涯を閉じるまで数多くの作品を残しました。出身の青森市には、棟方志功の記念館があります。彼が残した力強い作品の数々を見ることができるので、興味のある方は訪れてみてはいかがでしょうか。
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