日本の印象派と称される南薫造|水彩画の表現力はイギリス仕込み

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南薫造はさまざまな美術展で活躍し、日本の印象派とも称される洋画家です。イギリス仕込みの優れた表現力は、魅力あふれる水彩画を数多く生み出しました。今回は、南薫造の功績とともに代表作の特徴的な作風などについてご紹介します。

日本の印象派・南薫造

南薫造は、光の描写力の高さなどから「日本の印象派」と評される広島県出身の洋画家です。

広島県賀茂郡(現・呉市安浦町)で1883年に生を受け、1902年に現東京芸術大学の前身となる東京美術学校の西洋画科へ進みました。1907年に卒業するとイギリスに留学し、ボロー・ジョンソンに師事します。

2年後にはフランス、イタリア、ドイツ、オランダ、アメリカを巡りに移り、研究活動を続けました。1910年に帰国すると、同年の第4回文展3等賞を獲得します。さらに第5・7・9回の文展では、いずれも2等賞を与えられました。

これらの功績が認められると1916年からは文展及び帝展の審査委員に選ばれ、1929年には帝国美術院の会員となります。さまざまな美術展での活躍は、いまも南薫造が高く評価される理由の一つです。

優れた表現力はイギリス仕込み

南薫造の水彩画に見られる優れた表現力は、よくイギリス仕込みといわれます。

東京美術学校をの卒業後、南薫造が選んだ留学先は当時の画家の多くがフランスを訪れたのとは異なりイギリスでした。精力的に水彩画を描いているため、主な目的は水彩画を学ぶことであったと分かります。

イギリスは、ターナーなど優れた水彩画家を生み出したことで知られる国です。南薫造も本場で腕を磨き、繊細な光や微妙な色調の変化を巧みに描く表現力を習得します。

南薫造の優れた画力で表現された作品は、明るい色彩と柔らかいタッチの作風が特徴的です。早くから穏やかで清涼感があると評され、イギリス仕込みの高い表現力により描いた水彩画は透明感にあふれます。

水彩画にとどまらない代表作

南薫造は、水彩画とともに創作版画の分野でも先駆けとして才能を発揮しました。

水彩画の代表作といわれるのは、1912年の第6回文展に出品された「六月の日」です。さわやかな初夏の農村が点描などで巧みに描かれ、日本の印象派にふさわしい作風が感じられます。

創作版画への取り組みは、留学後に始まりました。下絵を描くところから、版木を彫って摺るまで自分で手がける木版画を制作します。自画自刻自摺による手法は、大正期の創作版画運動の先駆けとなりました。

晩年は生家で作品制作に専念し、より伸びやかな絵筆で描かれた絵は日本的洋画の一つの完成形ともいわれます。生涯にわたり南薫造が描いた洋画の数々は、作品の買取でも高評価を得られるでしょう。

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