楽焼の名手・了入|陶器工芸に革命を起こした樂家九代の功績

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茶道具の名品は楽焼によって生まれたものが少なくありません。樂了入(らく りょうにゅう)は楽焼一門の九代目樂吉左衛門を継承した名人です。その腕前は歴代一と評されるほど。独特のつや出しと多様な色使いはまさに芸術と呼ぶにふさわしいレベルです。今回は、樂家九代了入をご紹介します。

樂家中興の祖・樂了入

樂了入(1756~1834)は、七代目樂吉左衛門の次男。病弱であった八代目の後を継ぎ九代目を襲名。そのすぐれた腕前と数々の傑作を世に生み出したことから、「樂家中興の祖」と称されます。
赤黒楽茶碗をはじめ、手がけた茶碗の点数は200以上。当主として腕を振るっていた頃の名前はもちろん「吉左衛門」ですが、1811年頃に隠居、十代目に家督を譲った後は、了入と名乗るようになります。当主の座を降りた後も創作意欲は衰えず、了入名義で50以上の茶碗を作りました。50個の茶碗を作った功績が認められ、表千家九代了々斎宗匠より「翫土軒」の扁額を授かりました。
了入の手による茶碗は、「寬政の判」「茶の子判」とも呼ばれ、伝統の重みを感じさせる重厚な味わいに人々の称賛が集まりました。その実力は歴代で一、二を争うとも評されます。

「箆削り(へらけずり)」を開発、楽焼を芸術品にまで昇華

茶碗作りの名手として名高い了入ですが、「箆削り」(へらけずり)の開発者でもあります。
楽焼はロクロを使わず、手ごねでかたどり、箆を使って整えるのが主流となっていますが、了入のときに初めて箆が製作の過程で導入されたといいます。陶器の成形に箆を用いる発想は、その後の陶工たちに大きな影響を与えるとともに、陶器の装飾性を一段と高めました。箆削り成形によって陶器は彫刻品のような美しい造形を持つようになったのです。了入の開発はそれほど画期的なものでした。

巧みな色使いと、晩年も衰えないみずみずしい感性

了入の陶器は名品ぞろいで、赤楽茶碗に黒楽茶碗、さらには白釉筒茶碗など実に多彩。色使いが非常に巧みで、色の持ち味や素材の良さを引き出すセンスにもたけていました。若い頃から研究を重ねてきた箆削りの技法を確立すると、その造形美に磨きがかかり、芸術性の高さも評価されるようになります。
了入が得意とした赤茶碗は、製作年代によって異なる色使いが見られます。初期と晩期では仕上がる色調の傾向が違うところを見ると、一つの枠にとらわれない感性の持ち主だったことがわかります。この豊かで鋭敏な感受性が多様な作品を生み出す源流となり、今なお私たちの目を楽しませてくれるのです。

人気の陶器は高額買取の可能性あり

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