増村益城の工芸品|伝統の漆塗りにモダンを調和させた人間国宝の妙技

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増村益城(ますむら ましき)は、日本を代表する漆塗り職人として活躍し、「きゅう漆」の技法で人間国宝にも指定された人物です。「乾漆盛器」「乾漆八花盆」「黒呂色平卓」などの代表作があり、同氏の工芸品は非常に人気が高く、高値で取引されています。今回は増村益城の生涯と功績をご紹介します。

卓越した技法で人間国宝に昇りつめる

増村益城(1910~1996)は、熊本県上益城郡出身の陶芸作家です。多数の名作を手がけた、数少ない人間国宝でもあります。

1924年に熊本市立商工学校漆工科に入学して漆塗りの基礎を学びます。卒業後は同校研究所研究生となり、修了後は漆芸家の辻永斎と赤地友哉に師事して漆工芸を奥深く探求します。

1936年に東京工芸品展に出品した「皆朱輪花盆」が三等賞を獲得。これに自信をつけた増村は、翌年に独立して本格的な作家活動をスタートさせます。さまざまな工芸展に出品しては、幾度も賞に輝くなど周囲の期待にたがわぬ活躍をみせました。

1955年には、第1回日本漆芸展出品作「溜塗文机」が文部大臣賞を受賞。1978年には「きゅう漆」の技法で重要無形文化財保持者(人間国宝)に認定されました。その卓越した技法により、日本工芸の頂点に君臨。その後も作品発表を続け、陶芸作家たちの目標として在り続けました。

伝統の技法を守りながらモダンな作風を追求

増村益城はその生涯で数多くの傑作を世に生み出しています。その作風は伝統の重みを感じさせながらモダンテイストの味わいも醸し出すなど、一言では表せない魅力があります。

「乾漆梅花蓋物」の意匠はスタイリッシュで、独特な光沢感が目を引きます。伝統の漆塗り技法をベースとしながら、現代的な造形美を描き出す技術は、増村益城ならではの卓越した技。もはや“妙技”といえるでしょう。

「乾漆うつわ」にも、伝統とモダンの調和による高度な技術を垣間みることができます。重厚でありながらしつこさを感じさせず、爽快で美しい印象をたたえる作品は、没後も多くの人々に愛され続けています。

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