浅蔵五十吉の陶芸|九谷焼の伝統に現代感覚を取り入れた作家
陶芸に対し、代々受け継がれてきた伝統を「かたくなに守り続けるべきもの」というイメージを持たれている方が多いかもしれません。九谷焼のように、長い歴史を持つ焼き物であればなおさらのことです。しかし、陶芸の世界も時代によって変化しており、新しい感性を取り入れた作品が次々と誕生しています。
そんな九谷焼の伝統に現代感覚を取り入れ、より高い完成度の作品を数多く生み出した作家が「浅蔵五十吉(あさくらいそきち)」です。今回は現代の名工、浅蔵五十吉の略歴や作風、作品づくりにおけるこだわりを解説します。
常に新しい挑戦を続けた現代の名工
浅蔵五十吉は石川県に生まれ、小学校を卒業すると同時に父親から陶芸の基礎を学びました。その後、本格的に陶工の道へと進みます。絵付けを含めた作陶の技術を身につけていきました。
その努力・研究が実を結び、第一回日展に入選。その後も連続で入選を果たし、徐々に九谷焼の名工として、その名をはせていきます。
主に九谷焼を手がけた浅蔵五十吉ですが、伝統の技術をしっかりと学びながら、同時に新たな挑戦も続けてきました。特定の様式に固執するのではなく、一つの作品を完成させると、すぐに次の技法や様式を試します。
この地道な作業を繰り返しながら、伝統の中に新しい感覚を取り入れるのが浅蔵五十吉のスタイルです。こうした姿勢から、浅蔵五十吉の作品は、制作時期によって作風が大きく変わることで知られます。
10年の周期ごとに変化する作風
浅蔵五十吉は時代とともに、作風を変化させ続けてきました。その周期については、浅蔵五十吉自身も10年であると語っています。
陶芸家として活動しはじめた当初は、彩度が高めの黄色を好み、比較的明るい印象の作品を手がけていました。その後、より落ち着きのある黄色へと変化。晩年に近くなると、緑や複合色を中心とした、複雑な色合いの作品が中心となりました。
このように、浅蔵五十吉の作品は、制作時期によって色味が異なります。ただ、彼自身が特に、黄色を好んでいたのは間違いありません。現在でも九谷焼の名工としてしられており、多くの美術館でその作品を鑑賞できます。
浅蔵五十吉の工芸品は「なんぼや」が買取します
九谷焼はその美しさから、近年の骨董買取市場で大変人気を誇ります。それは現代の名工、浅蔵五十吉の作品も例に漏れません。「なんぼや」では、浅蔵五十吉の九谷焼をはじめとする、工芸品の買取に力を入れています。まずはお気軽にご相談ください。