加藤芳右衛門は岐阜が生んだ魅力あふれる陶芸家

no-image

加藤芳右衛門は、美濃焼で有名な岐阜県生まれの陶芸家。伝統的な技法を父から受け継ぎ、さらに独自性を追求しながら多くの名品を残しました。今回は芳右衛門の家系をふまえたうえで、彼の作品に見られる特徴や代表作などについてご紹介します。

陶祖・加藤景豊の流れをくむ家の生まれ

加藤芳右衛門は、岐阜県で陶祖・加藤景豊の流れをくむ家系に生まれた陶芸家です。

は、岐阜県に八坂窯を開いた加藤十右衛。美濃桃山陶芸の伝統技法を基礎としながら、黄瀬戸から志野・織部・美濃伊賀などまで幅広いジャンルの作品を残しました。

その長男として生まれた芳右衛門は、父に師事しながら十鳳などの名で作品づくりに尽力します。父の没後には八坂窯を継承し、伝統を守るとともに使いやすさも重視した名品を数多く残しました。

新たな挑戦にも積極的に取り組む姿勢は多くの茶人から注目を集め、弟の光右衛門と弥右衛門とともに三右衛門として高い評価を得ています。

父から受け継いだ桃山風の作品が特徴的

加藤芳右衛門の作品は、父から受け継いだ桃山風といわれる作風が大きな特徴です。

芳右衛門の生まれ故郷である岐阜県は、美濃焼で有名な土地。美濃焼には大きく黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部の4種があり、そのうち織部は器の形を意図的にゆがませる特徴などが見られます。

江戸時代に美濃焼の茶道具は奇抜と見なされ忘れ去られますが、その復興に力を尽くした陶芸家の1人が父の十右衛門です。芳右衛門は父から伝統的な桃山風を受け継ぎつつ、独自性のある名品を生み出しました。

なかでも千家のテイストを取り入れた作品は、「はんなり」と表現される作風として有名です。この作風は千家系の茶道具と相性がよいといわれ、全国各地の茶会で愛用されています。

桃山風と「はんなり」が合わさる代表作

加藤芳右衛門は、伝統ある桃山風と「はんなり」の合わさる作品が代表的です。

芳右衛門も、父と同じく黄瀬戸志野織部を中心に作品をつくっています。黄瀬戸は、灰の釉薬が黄色に発色する美濃焼です。志野は釉薬として長石を使う特徴があり、織部は青織部や織部黒に分かれます。

さまざまな名品があるなか芳右衛門の代表作として知られるのは、「黒釉筒茶碗」「美濃伊賀長方鉢」「織部平茶碗」です。伝統と「はんなり」の合わさる作風からは、独特の魅力が感じられます。

いまも多くの茶人に愛される加藤芳右衛門の名品は、骨董としても高額での買取を期待できるでしょう。

お電話LINEで無料査定
ご質問・ご相談もお気軽にお問い合わせください