永樂即全は代々から受け継いだ技法で「源氏物語」の世界観を表現

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永樂即全は、京焼の家元として知られる永樂家の十六代善五郎です。波乱に満ちた人生のなか、多くの名品を残してきました。今回は、即全の足取りを振り返りながら代表作の魅力などについてご紹介します。

永樂家は京焼の家元

永樂即全が生まれた永樂家は、千家十職の一つに数えられる京焼の家元です。即全は晩年に表千家十四代から贈られた号であり、代々の家元は善五郎を襲名しています。

永樂家が手がけた京焼は、もともと茶の湯が流行していた江戸時代の初め頃に東山山麓を中心として生成されていた焼物です。いまは、清水焼も含めた京都の焼物が「京焼・清水焼」と総称されています。

かつて貴族や寺社仏閣やさまざまな文化活動を支援した京都には、全国から多くの職人が集まりました。国内各地の技法から多彩な焼物が生み出され、結果的に京焼はよく特定の様式がないといわれています。

永樂家は、そんな独特な一面のある京焼の家元の一つ。即全は、その十六代永樂善五郎です。

18歳で善五郎を襲名した十六代目

永樂即全は、1935年に善五郎を襲名しました。18歳の若さで、永樂家の十六代目家元を引き継ぎます。

1917年、即全は十五代正全の長男として生まれました。ただ、不幸にも16歳のとき父と死別します。当時は、将来の作陶活動に備えるため京都市立美術工芸学校の図案科に在学中でした。

十六代善五郎を受け継いだ即全は、2年後に城山窯をつくります。築窯の地は、神奈川大磯にあった永樂家の別荘「城山荘」です。ここには終戦頃まで数回ほど足を運び、多くの作品を生み出しています

表千家十四代の而妙斎宗左から即全の号を贈られたのは、1998年に隠居したときです。それまでには作陶にとどまらず多くの功績を残し、「京都府文化賞特別功労賞」さらに「勲五等瑞宝章」を受賞しています。

即全の功績を伝える大作

即全の長きにわたる功績を伝える代表作としては、1958年発表の「源氏物語五十四帖」が知られます。

54点の作品はそれぞれの帖にふさわしい技法で表現され、永樂家の伝統の集大成ともいわれる大作です。作品づくりは、著名な国語学者である吉澤義則博士の「源氏物語」の講義のもと進められたといわれます。

実際に取り入れられた技法を挙げると、色絵金襴手染付、交趾、布目手御本です。即全の大作は各技法の魅力があふれ、いまも高く評価されています。

代々の技法が用いられた即全の京焼は、この代表作に限らず名品ぞろいです。茶道具の買取でも、高評価を得られると見込めます

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