大樋焼とは|重厚で風雅な趣を醸し出す伝統の技法

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焼き物の伝統技法として連綿と受け継がれてきた大樋焼。元祖大樋長左衛門をはじめ、末裔(まつえい)の作家たちによる作品は、骨董品の愛好家の間で人気を誇り、高値で買取されるケースが少なくありません。今回は、大樋焼の特徴と制作行程についてご紹介します。

楽焼を基礎としながら独自に発展した大樋焼

大樋焼とは、楽焼作家の門下だった大樋長左衛門が独自に開発した楽焼の新手法で、黒焼でも赤焼でもなく飴釉を使った焼き物のこと。飴釉独特のつや出しとシンプルな意匠、質素な色使いが特徴です。

大樋焼では、ロクロを使いません。手びねりとヘラで、一つひとつ丁寧に作り込んでいきます。保温性が高く、風合いは温かみがあり、手にとった感触は軽やかです。大樋焼で味わうお茶は、ほかの焼き物にはないほど口触りが柔らかで、その名はすぐに広まり愛好する人々が増えました。

大樋焼の名人である大樋長左衛門はもともと楽焼の作家でしたが、京都の楽家から黒焼きと赤焼きの使用禁止令が出されたために飴釉という手法を使って新境地を開拓。楽焼とはまた違った趣の発色で多くの人を魅了したからこそ、今日まで受け継がれています。

焼き上げ・乾燥・成形を細かく繰り返して完成

大樋焼の製作では、まず粘土層を掘り起こして手頃な土を採取。採りだした粘土を木槌(きづち)で粉砕し、天日干しにして乾かします。不純物や上水を取り除く工程を経て、粘土のみを陰干しにして水分を蒸発させます。陰干しには数日間を要するのが一般的です。

次に「土練り」を行います。これは土の硬度を均一化・きれいに焼成するための工程です。「荒練り」「菊練り」と呼ばれる作業を通して気泡などを取り除き形を整えていきます。器の型は手びねりで整え、ヘラやカンナで調整を加えるという細やかな作業となります。

成形が終わったら、時間をかけて陰干し・天日干しにしてしっかりと乾燥。その後、「素焼き」「冷却」の手順となります。素焼きでは800~900℃の高温で焼き上げます。

素焼きの後に釉薬をかけます。十分に乾燥させてから本焼へ。950~1000℃にまで熱し、十分に焼き上げた後、窯から採りだして急冷にかけます。釉薬が固まったのを確認できたら完成です。

歴代作家の大樋焼陶器なら高額買取の可能性

初代大樋長左衛門の大樋釉薬「聖」、大樋釉手付海老摘蓋手水指、五代目の大樋釉薬茶碗、十代目の大樋釉薬茶碗朱釉など、大樋焼を代々受け継いできた歴代作家の作品であれば、高額買取の可能性があります。「なんぼや」では、陶器の名作や貴重な美術品をただいま積極買取中です。一見何でもないお品に高い値段が付く例もございます。気になる陶器がご自宅にありましたら、この道にくわしい鑑定士が在籍する当店までご相談ください。

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