「幻の切子」と呼ばれた薩摩切子|その歴史と魅力に迫る
薩摩切子は、大河ドラマでも有名な篤姫の嫁入り品に用いられたことのある、非常に価値の高い切子です。同時期に製造された江戸切子と異なり高級かつ重厚な造りで、「薩摩の紅ガラス」に代表される華やかな色合いが多くの人の心を掴みました。そこで今回は、薩摩切子の歴史や魅力、特徴についてご説明していきます。
「幻の切子」と呼ばれた薩摩切子
薩摩切子が誕生したのは1846年のこと。薩摩第10代藩主の「島津斉興」が、薬品実験に耐えうるガラス器の製造のため、江戸のガラス職人「四本亀治郎」を招いたことがきっかけとなり生まれたとされています。
その後、1851年に薩摩藩第11代藩主の「島津斉彬」が外国との交易品や大名への贈答品として開発に力を入れることで、さまざまな色味の器が製造されます。中でも透明感ある紅色の薩摩切子は「薩摩の紅ガラス」と言われるなどして、急速に進化・発展していきました。
しかし、1858年に島津斉彬が急逝し、薩摩切子の事業は縮小へ。さらに、幕末から明治維新への動乱の中で工場も焼失してしまい、1877年の西南戦争ごろには「幻の切子」として薩摩切子はその製造技術の継承が途絶えてしまいます。
しかし1985年以降、ガラス職人や専門家たちが当時の関連資料を参考にして試行錯誤し、薩摩切子の復興に成功しました。現在、私たちが薩摩切子を楽しめるのは、こうした職人たちのおかげとも言えます。
薩摩切子の魅力は色彩にあり
薩摩切子は同時期に製造されていた江戸切子といくつかの違いがあります。中でも、薩摩切子はその色鮮やかな見た目が特徴的です。
薩摩切子は透き通るようなガラスの上に着色ガラスの層を被せることでカラフルな色合いを出しています。原料となる鉱物と温度の調整で藍・緑・黄・島津紫・紅・金赤という6色が、薩摩切子伝統の色とされています。
特に紅は島津斉彬が製造を推奨し、「薩摩の紅ガラス」として薩摩切子の代表的なカラーです。金赤は江戸時代の文献に「純金を用いた華やかで透明な赤」といったことが記載されていますが、当時製造されたものは現存していない幻の薩摩切子となっています。
薩摩切子と江戸切子の違い
ほかにも江戸切子とは違う特徴が薩摩切子にはたくさんあります。
・江戸切子より厚みがあり重厚感がある
・独自の「ぼかし」と呼ばれるグラデーションが施されている
・藩の産業として開発されたものがある
・江戸切子は日用品、薩摩切子は贈答・交易用の高級品
このように、同時期に作られたとはいえ、薩摩切子は庶民のものである江戸切子と違った特徴を持っています。
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わずか誕生からわずか30年足らずで、その技術が失われてしまった「幻の切子」であり、現代に蘇るまで、100年ほど製造されてこなかった薩摩切子。それだけに、江戸時代に製造された薩摩切子は骨董品として価値の高いものです。「なんぼや」では薩摩切子を始めとした価値ある骨董の買取を強化しております。お持ちの薩摩切子の価値を知りたい、買取に出してみたい、という方はぜひお気軽に査定をご相談ください。