唐物は中国からもたらされた将軍家や武家のあこがれ
唐物は、中世から近世にわたり多くの将軍や武家があこがれた中国産の舶来品です。その種類は多彩であり、さまざまな名品が収集されていました。今回は、唐物の主な種類や代表的な名品をご紹介します。
将軍家や武家のあこがれた唐物
唐物は、広い意味で中世から近世にかけて中国からもたらされた舶来品の総称です。日本は古来より、いろいろな分野で中国の先進的な知識や技術を求めてきました。古代の朝廷は、その目的を果たすため数度にわたり遣隋使(けんずいし)や遣唐使を派遣しています。
中世や近世の将軍家や武家は、中国から送られる優れた舶来品に大きなあこがれを抱きました。あこがれの中国製品は、国産品と区別するため唐物と呼ばれます。当時の愛好家たちはさまざまな唐物を珍重し、いまも多くの名品が知られています。
さまざまな唐物の顔ぶれ
唐物の種類は、主な品々だけ見ても仏典・仏具、香料・染料、絵画や茶道具まで顔ぶれが多彩です。
今のところ唐物の呼び名は808年の文書で初めて登場し、仏典や仏具を指しています。香料や染料のうち唐物と呼ばれたのは、甘い香りに特徴があり香木に使われる白檀(びゃくだん)などです。
絵画では、特に宋時代の作品が知られています。著名な画家は、北宋の第8代皇帝である徽宗、南宋を代表する画家のひとり馬遠や南宋前期に活躍した李迪です。
中世以降の唐物は茶の湯の文化と深く関わったこともあり、特に茶道具で多くの種類が見られます。実際、主な茶入の形状だけでも肩衝・文琳・茄子・瓢箪・丸壷・鶴首・大海の7種類に分けられます。
日本で茶道が広まるまで、茶道具の中心は中国製品でした。そのため鎌倉時代以降の茶道具の唐物といえば、一般的に宋・元・明からの輸入品を指します。
唐物の魅力を伝える名品たち
唐物の代表的な名品は、大名物と呼ばれ国宝や重要文化財に指定されている東山御物です。
東山御物は、主に室町幕府の第8代将軍である足利義政の収集品を指します。その内訳を示すと絵画、茶器、花器や文具があり、特に中心を占めるのは南宋時代の作品です。
絵画の名品としては、梁楷の山水画「出山釈迦図・雪景山水図」が挙げられます。大胆かつ精妙な筆使いで描いた作品は、国宝級の南宋絵画のなかでも目を引く逸品と評価されています。
茶器としては、青磁茶碗の「馬蝗絆(ばこうはん)」が有名です。南宋時代の作品といわれ、収集時にひび割れがあったものの優品のため代わりは見つからなかったとの逸話により評価が高まりました。
唐物は、これら以外にも多くの名品があり、骨董の買取では高評価を期待できます。ご不要になったお品物があれば、お気軽に「なんぼや」までご連絡ください。