飛来一閑とは|伝統の漆塗り工芸が茶道具に華を添える
伝統の漆工芸・一閑張を確立した飛来一閑。千家に重用されつづけた細工師の作品は、多くの茶人や美術品収集家の間で高く評価されています。伝統工芸品としても、名人が手がける茶道具としても価値のある一品。今回は、飛来一閑の発祥から継承の大まかな流れ、作品の特徴をご紹介します。
漆塗り一閑張の創始者
飛来一閑は、千家十職に数えられる一門で、一閑張細工師の当主が代々襲名する家名です。漆塗り技法の一種である一閑張の創始者でもあります。
飛来家は明の渡来人がその祖となります。江戸時代初期に初代が戦乱を逃れるため亡命、素性を隠して飛来姓を名乗り、大徳寺清巌宗渭和尚の庇護を受けました。和尚によって千宗旦を紹介されたことがその後の運命を変え、紙漆細工による棗や香合などの製作注文を受けるようになるのです。宗旦は飛来一閑が手がけた実用性が高く味わい深い道具を好んで使用したといわれます。
名人と呼ばれた十一代、現当主は女性
初代一閑が開発した漆塗りの一閑張は飛来家の家業として引き継がれ、四代目は表千家六代・覚々斎の御用細工師になるなど、千家に重く用いられるようになります。当主の早世や大火などお家存続の危機に瀕しながらも、初代一閑の作風回帰で再興を果たした十代目。その意思を継いだた「名人」十一代目と勢いある時代が続き、難を逃れました。伝統の火を絶やすことなくつながれた家業は十六代目を数えるに至り、新しい時代にふさわしく注目の女性当主として活躍が期待されています。
紙の風合いを生かした技法
初代一閑が開発した紙漆細工は、一閑張と呼ばれるほど高い評価を受けるとともに、独自の技法として確立されました。また、初代の長女ゆきが御所仕えをしていた岸田喜右衛門に嫁ぎ、その一門が一閑張を継承したことで「岸一閑」なる分派も生まれました。
一閑張の工芸品には、和紙独特の風合いが生まれます。木地に粘着力の強い蕨糊で和紙を貼り合わせて漆を塗る技法で、独特の光沢と軽さ、強度の高さが特徴です。千宗旦も愛したといわれる飛来一閑張の漆塗は、茶道具として素晴らしいのはもちろん、高度な美術品としても認知されています。
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