一ノ瀬小兵衛の茶道具|詫びの心を映し出す美しい指物の数々

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茶の湯で用いられる棚物や茶箱などは、くぎを一切使わず板の差し合わせのみで製作されます。このような技法を「指物」と呼びます。日本を代表する指物師が一ノ瀬小兵衛です。磨き抜かれた技巧が生み出す作品は芸術の領域といってよく、美術品コレクターたちにも愛されています。

日本を代表する指物師・一ノ瀬小兵衛

茶道では、棚物、茶箱、煙草盆、菓子盆、長板、木地水指、風炉先屏風、炉縁などの指物が欠かせません。一ノ瀬小兵衛はこの指物の分野で代々活躍した職人一家。200年以上続く名門で、現当主は五代目です。日本を代表する伝統工芸作家と呼ぶにふさわしい腕前を持ちます。

指物の製作では、武骨なくぎを1本も使用しません。板を差し合わせるだけで機能もデザインも文句なしの立派な茶道具に仕上げます。指物師の登場は室町時代以降といわれ、茶道の隆盛とともに多くの職人が生まれました。幼少の頃より指物師を目指した一ノ瀬小兵衛は、師匠や作品の影響を受けながら技術を磨き、名品の数々を生み出していきました。

指小と呼ばれる技法を確立

一ノ瀬小兵衛の技は、通称「指小」(サシコ)とも呼ばれます。素材の良さを引き出すセンスと、精緻な技巧が生み出す作品は、高い評価を得ています。もともと一ノ瀬家は千家十職の指物師・駒沢利斎の別家であり、家元にも出入りする由緒ある家系です。千家の信頼も厚く、その作品は多くの茶人に愛されてきました。

いずれも上品なたたずまいのなかに重厚な趣があり、茶の湯が持つ歴史と伝統の重みを感じさせます。一見シンプルに見えながらも、細部は大胆かつ緻密な工夫が施され、指物の奥深さを味わえます。見るだけで楽しい茶道具であり、ぜいたくな一品です。

名人の目で選ばれた素材、そこから生まれる一級の作品

指物師の世界では緻密な技巧はもちろん、美しい木目を生かすための素材選びにもこだわります。木目の持つ自然な美しさが、作品の持ち味や芸術的な価値を決める大きな要素となるため、棚箱の素材となる桐や松などは、職人の目を通して厳密に選び抜かれ、たもの一級品の素材だけとなるのです。

素材選びにも時間がかかるため製作期間も非常に長くなるわけですが、手間暇をかけるだけに極めて完成度の高い作品となります。そんな指物を扱う職人の代表が一ノ瀬小兵衛であり、多くの作品は買取市場で高く評価されるのです。

買取専門店「なんぼや」では、一ノ瀬小兵衛はじめさまざまな作家の茶道具を査定・高額買取いたします。大事にされているお品の価値を確かめたい場合は、経験豊富な査定士が在籍する当店にご相談ください。

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