京焼の新たな可能性を追求 永樂善五郎十七代目のあゆみ
永樂善五郎十七代目は絵を描くのが幼少期の趣味であったといわれ、茶陶の作風は画才の生かされた豊かな表現力が大きな魅力です。作品づくりでは京焼の新たな可能性を追求し、多くの名品を生み出しています。今回は、代表作を含めた数々の作品に見られる特徴や魅力などについてご紹介します。
精力的に作陶する十七代善五郎
永樂善五郎の十七代目は、1944年に十六代善五郎である永樂即全の長男として永樂家に生まれました。
十七代目は、血筋のためもあったのか幼い頃から絵を描くのが好きだったといわれています。やがて東京芸術大学日本画科に入り、同大学大学院工芸科で陶芸の道に進みます。
大学院の修了作品の作風には幼少期から育まれた画才が生かされ、東京芸術大学による買い上げとなりました。大学を去ると京都に戻り、創意にあふれた幅広い作陶活動を展開します。
活動の場は国内にとどまらず、1991年と1994年にはドイツのケルンとフランスのパリで展覧会を開催しました。精力的に作陶する姿勢は、作品自体の魅力とともに高く評価されています。
作品の魅力は豊かな表現力
十七代善五郎が生み出す作品の大きな魅力は、絵付や装飾模様に見られる表現力の豊かな作風です。
初期の作品づくりでは、具象的な絵柄が描かれました。実際に手がけた色絵作品や染付作品には壷・大皿・鉢があり、絵付の意匠などに豊かな絵画性が感じられます。
次に探求したのは、器形と調和した意匠です。しま模様を用いた釉彩作品をつくるなかで壷や花入れが直線模様や曲線模様により装飾され、現代的な作風が大きな特徴になっています。
その後は淡彩から金彩・銀彩へと展開し、豪華で力感のある金銀彩の花入れなどが生み出されました。さらに色絵では白釉と飴釉の掛分手法が新機軸として注目を集め、今後の展開が大いに期待されています。
十七代目を代表する名品
永樂善五郎の十七代目を代表する名品としては、襲名後の個展における出品作が挙げられます。
十七代目は、襲名後に開催した個展で代々の技法を統合する作品を発表しました。色絵、金襴手、交趾、染付などが用いられ、彩り豊かな作品で構成されます。
色絵には、野々村仁清また尾形乾山から受け継がれる京焼の伝統が見られます。金襴手の特徴は、琳派様式の柳橋や松島の意匠です。また交趾は、十一代保全以来とされる荒磯の意匠が取り入れられています。
これらの作品は華やかさとともに力強さがあり、伝統のなかにも独自性が感じられるといわれます。京焼に新たな可能性を示す十七代目の茶道具なら、買取でも高評価を得られるでしょう。