覚入の陶器|楽焼にモダンの風をプラスした昭和の名工

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450年もの歴史を持つ、日本の伝統的な陶器「楽焼」。楽焼は“千家十職”における茶碗師「樂楽家」が、天正年間(16世紀頃)に創始した軟陶の一種です。

そんな楽焼を語る上で、昭和時代に活躍した陶工である十四代目樂楽家当主「覚入(かくかいにゅう)」は欠かせません。同氏は、今日まで続く楽焼の歴史に、とりわけ大きな影響を与えた人物の一人です。今回は、覚入の人物像や作品についてくわしくご紹介します。

樂楽 覚入とは?生い立ちと功績について

覚入は、樂家楽焼十三代目・惺入(せいにゅう)の長男として1940年に生まれました。これまでの当主は、父に師事する形で陶芸、芸術の道に進んできましたが、覚入は東京美術学校(現在の東京芸術大学)へと進学。陶芸ではなく、彫刻を専攻した異色の経歴を持ちます。

大学での授業を通じて、覚入は、現代的な芸術的思想や技術・技法を身につけました。その判断は、伝統的な楽焼に革新をもたらす結果となります。しかし、大学卒業後、すぐには作陶を始められませんでした。第二次世界大戦が勃発し、従軍することになったためです。

終戦後、1945年に戦地より帰国してから十四代目樂楽家当主を襲名。本格的な作陶に入りました。

家督を継ぎ、作品制作に精を出すかたわら、楽焼の歴史資料の収集・研究に着手。1978年には財団法人樂楽美術館を設立し、先代までの作品や資料などを公開しています。

先代の惺入も、茶道文化の啓蒙に尽力した人物です。親子二世代にわたって楽焼の制作、茶道文化の周知を行い、その魅力を後世に伝えています。

歴代の作風とは一線を画すモダンな造形・色彩

覚入の作品における特徴は、近代芸術の要素を取り入れたモダン性にあります。第一に、造形です。伝統的な楽焼とは異なる現代的な造形は、楽焼の歴史に大きな変化を与えました。

覚入がこだわったのは、伝統とモダンの融合です。たとえば、覚入の代表作である赤樂茶碗「樹映」は、歴代作品の中でもっともモダンであり、変化に富んだ名碗として知られます。その複雑な釉調は、何度みても飽きを感じさせません。

覚入の陶器は「なんぼや」が買取します

現代的なアプローチを取り入れ、挑戦的な楽焼を残した覚入。一代にして新たな楽焼の形成を成した覚入の作品は、買取市場において高値で取引されています。

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