最古の本「巻物」|日本独自の巻物文化やその特徴について
巻物は人類史上最も古い「本」といわれています。国家の公式記録はもちろん、書や絵画など芸術作品にも巻物は利用されてきました。今回は巻物とはどういうものか、日本における独特な発展と巻物の特徴やメリット・デメリットについてまとめています。
巻物は最も古い本の形
巻物は木材などを軸として、本文が記された紙類を巻き取ってひとまとめにして携帯・保管しやすい形にしたもので、最も古い本の形とされます。巻物の材質は紙のみならず、パピルス・羊皮紙・竹簡・木簡などさまざまでした。
人間が文字を使い、出来事や思想を記録・保管できるようになってからすぐに誕生していますから、巻物は想像以上に長い歴史を持っています。記載されている内容も多様であり、現存するものは歴史的・芸術的価値のある古書です。
日本では「源氏物語」などの絵巻物も
日本では巻物は記録用の媒体として利用されてきました。冊子などの装本はどちらかというと私的なものとして捉えられ、典籍・記録といった公式的な文書については巻物・巻子装がほとんどです。
また、文字や仏教が中国から伝来してきたこともあり、写経用の媒体としても利用されていました。特に平安~鎌倉時代は貴族らを中心に写経が嗜みとして流行して何万巻もの巻物が製作されたといわれています。
また、記録・写経用の媒体だけでなく、平安時代には絵巻物と呼ばれる日本独特の巻物も生み出されました。物語に絵をつけ、文と絵を交互に見せる交互絵巻という形がとられます。代表的な絵巻物には「源氏物語絵巻」があり、当時貴族の間で大流行しました。現存するものは日本の文化を理解する上で貴重な資料・古書として非常に価値があります。
ほかにも紙を巻き取る芯の高低を調整する特殊な技術である合わせ軸や本文の前に絹などで装丁するといった日本独特の技術も生み出されています。
巻物で見られる独特の体裁と特徴
巻物は人類最古の「本」の形態であり、冊子などと違い独特の特徴や体裁を持っています。
巻物のメリットはその保存性にあります。本文の書かれた紙が表紙で包まれることで空気と接触する機会が減り、良い状態を保ったまま保存が可能です。また、大きく広げれば冊子よりも一度に見える文書量が多くなるため、絵巻物や系図といったものの閲覧性も高いといえます。
一方で、見たいと思う文書をすぐに探せない・見られないというデメリットも。閲覧後は巻き戻しが必要であるという面倒臭さもあります。
また、巻物はその特徴として「裏書(勘物とも)」というものがあります。巻物に記された内容に関する注釈や補足事項を書き記したものです。巻物の価値を見極める重要なポイントになることも少なくないため、鑑定では必ずチェックされます。
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