知っておいて損はない!時計にまつわる面白い雑学
時計には長い歴史があり、さまざまな面白い雑学が知られています。いまでは多くの人々が身につける腕時計にも、たくさんの興味深い逸話が残っています。この機会に、いろいろな雑学を知っておきましょう。今回は、腕時計の誕生をめぐるエピソードや、世界最長(あるいは最古)の時計ブランドなどについてご紹介します。
腕時計の誕生をめぐるエピソード
世界初の腕時計は、一説によれば18世紀末から19世紀初頭に生まれました。新しいアイテムの誕生には、女性の”おしゃれ心”が大きく関与したといわれています。
最初期の腕時計
最初期の腕時計は、ヨーロッパの高貴な女性たちがアクセサリーと同じくファッション感覚で身につけ始めました。
当時、多くの人々が時間を知るのに携帯していたアイテムは懐中時計です。通常、衣服のポケットに入れて持ち歩いていたため、時計を見るときポケットから取り出して蓋を開ける必要がありました。
ただ懐中時計の使用者は主に王侯貴族や僧侶など上流階級に限られ、不便はなかったと見られています。そのため腕時計は懐中時計に代わる便利アイテムとしてでなく、あくまで女性を美しく装う宝飾品として生み出されたと考えられています。
現存する最古の腕時計
現存する最古の腕時計は、ナポレオン・ボナパルトの皇妃ジョセフィーヌのために製作されたといわれる一品です。
ナポレオンは、フランス革命で混乱する社会を収めると1804年からフランス第一帝政の皇帝に即位しました。ジョセフィーヌは貴族出身であり、ナポレオンの最初の妻になった人物です。
1806年、ナポレオン皇帝は自分の妻のため時計宝飾士であった二トーに腕時計の製作を依頼しました。いつ完成したかは不明ですが、現在まで伝わるものは小型の時計にブレスレットがつけられたタイプです。
時計のサイズが小さいうえ視認性や精度が低く、実用向きでなかったため懐中時計に代わる新アイテムとしては広まりませんでした。
マリー・アントワネットも貢献
マリー・アントワネットも、先のジョセフィーヌと並んで腕時計の誕生に貢献したと伝えられる人物です。
1755年、まだ腕時計が登場する前にマリー・アントワネットはオーストリアの首都ウィーンで生まれました。外交政策の一環としてフランスのルイ16世と結婚し、夫が国王に即位すると18歳で王妃になります。
フランス革命で批判の対象になり命を落としますが、その数年前に彼女のための時計が注文されていました。依頼を受けた時計士は、アブラ・アン-ルイ・ブレゲです。時間と費用に制約はなく、ブレゲの工房は1827年に受注品を完成させます。
これは大型の懐中時計ですが、ブレゲは1810年にナポリ王妃からオーダーされた腕時計を製作していました。そんな経緯もあり、同工房の顧客であったマリー・アントワネットは新たな時計の誕生に貢献した1人に数えられています。
世界最長と最古の時計ブランドは違う?
現存する時計メーカーのうち世界最長の歴史がある時計ブランドは、スイスで生まれた老舗の「ファーブル・ルーバ」です。一方、世界最古のブランドとしては同じスイスにある「ブランパン」が知られています。
世界最長「ファーブル・ルーバ」の歩み
時計業界で世界最長と称されるファーブル・ルーバは、世界最古のブランパンに次いで2番目に古い老舗です。
同社の歩みは、1737年に始まります。創業者はアブラハム・ファーブルであり、スイスのレマン湖地方にあるジュウ渓谷で誕生しました。当地では時計産業が発展し、多くの時計工場が集まっていることで有名です。
ファーブル・ルーバの社名は、1814年、時計商オーギュスト・ルーバとのパートナー契約が成立した際に採用されました。8世代にわたり途中の休眠なく1族だけで経営を続け、現在は時計業界で最長のブランドとなっています。
世界最古「ブランパン」の歩み
世界最古の時計ブランドであるブランパンは、ファーブル・ルーバより2年早い1735年の創業です。
時計職人であったジャン・ジャック・ブランパンが、スイスの地に設立しました。約230年にわたり13代以上を数える職人たちが時計づくりに身を捧げますが、クオーツ・ショックなどの影響で1960年代後半に休眠します。
それでもオメガの専務取締役であったビバー氏の働きかけがあり、休眠から20年ほど経過した1983年にブランパンの名は復活しました。現在も、伝統の優れた技術は受け継がれ実力派メーカーとして広く認知されています。
最長・最古の老舗に続く時計ブランド
時計業界で最長および最古の老舗に続く時計ブランドは、1755年創業のヴァシュロン・コンスタンチンです。
同メーカーは、ジャン・マルク・バセロンがスイスのジュネーブに設立しました。こちらも250年を超える歴史があり、長きにわたり時計を製作し続ける最古級のブランドとして知られています。
社名は、3代目バセロンが1839年にフランソワ・コンスタンチンを共同経営者に迎え入れたとき正式採用となりました。またトレードマークのマルタ・クロスはマルタ十字軍のシンボルマークに由来し、創業から120年ほど後の1880年に使われ始めます。
1910年以降は、腕時計の製造も開始しました。機械の性能が高く、当時はクロノメーター規格以上に厳しいジュネーブシール規格を取得しています。
時刻合わせやメンテナンス方法の豆知識
腕時計の時刻合わせは、タイプにより異なります。愛用品を長持ちさせるには、それぞれの違いや日常のメンテナンス方法を知っておくと安心です。
時刻合わせ1:機械式時計
機械式時計は、腕時計のなかで最も時刻がズレやすいといわれています。通常、1日の平均誤差は±20秒です。
すでに時計が止まっている場合は最初にリューズを巻き、秒針が動き出したら時刻や日付を合わせます。たいていリューズを引き出せば長針と短針が操作可能になり、日付まで調整したら最後にリューズを戻します。
リューズを巻き過ぎると故障につながるため、注意が必要です。またトラブルを防ぐ意味では、禁止時間帯も把握しておくとよいでしょう。午後8時~午前3時の時刻合わせを禁じているケースが多く、この時間帯を避けると歯車にかかる負担を軽くできます。
時刻合わせ2:クオーツ時計
電池式のクオーツ時計は1カ月ごとの平均誤差が±10秒といわれ、一般的に月1回の時刻合わせで正確に使えます。
実際に時間調整する手順は、まずリューズを引き出してから長針と短針を動かしリューズを元に戻す流れです。リューズは秒針が12時を指したタイミングで引き、長針と短針は時刻合わせの時間より先送りしてから巻き戻します。
機械式時計は時計回りで調整しますが、クオーツ時計は逆回しに動かすところが大きな違いです。この差は歯車の仕組みに関係があり、クオーツ時計は巻き戻す操作により故障しにくくなります。
日常のメンテナンス方法
腕時計にとって、汗や汚れはサビやカビの発生を招く原因です。良好な状態を保つには、日常的なメンテナンスが欠かせません。
1日の終わりに腕から時計を外した際は、拭き掃除と陰干しが基本です。拭き掃除は、よく乾いた柔らかいクロスを使います。その後、風通しのよい場所に保管します。臭いが気になるときは、重曹も役に立ちます。
細かい汚れを落とすなら、綿棒や歯ブラシがおすすめです。歯ブラシは柔らかめのタイプを使い、優しく洗います。汚れが目立ってきた場合は、無理せず専門家に音波洗浄を頼む方法もあります。
日々、上手に手入れしながら必要に応じて時刻を合わせれば、大切な腕時計を長く使い続けられるでしょう。
時計に歴史と逸話あり!
最初期の腕時計は、女性のファッションアイテムとして誕生しました。世界最長の時計ブランドはファーブル・ルーバ、最古はブランパンです。いずれも、時計産業の盛んなスイスで創業します。
大切な腕時計は、正しい手順で時刻を合わせ日々のメンテナンスを施すのが良好に保つポイントです。長く愛用するなら、自分の時計に適した時刻合わせやメンテナンス方法について理解しておくことをおすすめします。