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ロレックスの時計~値段と相場について

ロレックスの時計~値段と相場について

同じものを買うなら少しでも安い方が良いでしょうし、大切にしてきたものを売るなら少しでも高い方がいい。当事者にしてみれば当然のことでしょう。

日本において中古時計の売り買いが本格化したこの20年間を振り返りながら、ロレックスの相場の今後について考えてみます。

1.ロレックスの時計価格相場の高騰について

ここ何年か、「ロレックスの時計は高くなった」と頻繁に繰り返し語られています。
実はロレックスに限らず、スイス時計業界全体で販売価格の引き上げが続いており、このままではユーザーがついてこなくなってしまう、などといった危惧さえささやかれています。

これに対して様々な施策を打っているメゾンが、最近ではかなり多くなってきている状況です。
2008年のリーマンショックの影響による、時計業界の売上の極端な落ち込みに対して、業界全体がそれまでの唐突なまでの華やかさや目新しさで注目を引く手法から、時計の本質に立ち戻って、ベーシックウォッチを前面に押し出し、そのディテールを詰めて品質向上を目指すことで、堅実さを訴求する方向に転じたこと。

また、兼ねてから業界全体に波紋を広げていた大手ムーブメントメーカー、ETAなどによる汎用ムーブメントやその部品の供給削減問題により、どうしてもコストが高くなる自社製のムーブメント開発に着手せざるを得なくなるなど、事情の変化に対応するための設備投資や研究開発費などの先行投資を増加させる必要性が高まりました
これらの施策によって時計の品質や信頼性は非常に高いものとなり、消費者を短期間のうちに時計市場に取り戻すことに成功したばかりか、過去最大の売り上げ規模を連続で更新するほどのV字回復を見せました。

しかしながら、ウォッチメゾンたちは高くついたコストを結局は商品の価格に反映させる以外の選択肢がなく、メゾンによって強弱はあるものの、腕時計の値段は約10年前と比較にならないほどの高騰を見せるようになりました
これは今や押すに押されぬスイス時計業界の王者となったロレックスにとっても避けて通れなかった道でした。

例えばサブマリーナーデイトについていえば、10年前に販売されていたRef.16610の並行店での新品売価は50万円強程度であったのに対して、現行のRef.116610LNは著しく品質を上げているとはいえ、現在の並行店での新品販売価格は100万円を越えて10年前の倍程度の値段となっているのです。

これに対して、中古やアンティークウォッチとして流通する旧型モデルたちの相場も付いていってしまうのが市場の常というものであり、いまや50万円以下で手に入るサブマリーナーを探すのは中古のノンデイトを含めても、非常に難しくなってしまいました。

2.ロレックス アンティーク市場との相乗効果

2.ロレックス アンティーク市場との相乗効果

新品の価格が上がると中古の相場が上がり、そして当然のようにアンティークウォッチも上がってしまう。
デイトナやエクスプローラー、サブマリーナーなど、半世紀以上の歴史あるコレクションばかりで形成されるロレックスのプロダクトは、特に直接的影響を及ぼし合うことが多いようで、Ref.116610LNの価格の変化による影響がRef.1680の価格にまで影響しています。

これはロレックス以外にはあまり見られない傾向ではないでしょうか。
こういった意味では2017年10月、ポールニューマン自身が愛用したデイトナRef.6239がついに国際的なオークションハウス、フィリップスによって取り上げられ、バイヤーズプレミアムを含めて20億円という、腕時計として歴代最高額を付けた事件も全くの無関係とは言い切れないでしょう。

スチール製デイトナの並行新品価格は116520の白文字盤が2000年代のわずかの期間、日本定価を下回っていた時期がありましたが、黒文字盤に関しては1990年代、ロレックスの人気が日本で盛り上がってきてからというもの、一度も定価を切ったことがありません。
また現行モデルのRef.116500LNに関しては、現在完全に黒文字盤の価格を白文字盤が上回っており、モデルチェンジ後しばらくすれば価格が落ち着くはずとの予測を裏切って、登場から1年半以上2017年12月、年末の値上がり傾向も手伝って、依然高値安定が続いている状況です。

さまざまな要因によって変動するロレックス相場。売却を考えていても、いつが売り時かわからないという方も多いのではないでしょうか。
お手持ちのロレックスの買取相場が知りたい方は、「なんぼや」の相場情報ページをご活用ください。ページは頻繁に更新し、ひとめで人気モデルの相場がわかるようになっています。
また、現行モデルからアンティークまで、さまざまなロレックスの買取実績も掲載しています。
ロレックス 時計買取・最新相場ページ

3.腕時計価格の変動要因に関する考察

ロレックスの、特に人気の高いスポーツモデルに関しては日本の市場においてはどうしてもその供給は並行店頼みとなっている感が強く、日本ロレックスの定める販売価格の縛りを受けることなく、自由競争を展開する並行店の価格は先物取引における相場変動のごとく、常に状況の変化を敏感に反映し続けています。

国内外の定価の変動も当然強い影響を及ぼしますが、これに加えてモデルの人気度や季節的需要の強弱、あとは市場を流通する時計の量も大いに影響しています。

4.並行店の昔と今、そしてロレックスにまつわる商慣習

4.並行店の昔と今、そしてロレックスにまつわる商慣習

並行店が売り上げを伸ばし始めた1990年代。
当時まだ小さな店ばかりであった並行店は、現在のような広い品ぞろえが可能な体力は持ち合わせていない店が多く、売りやすいものばかりを厳選して、少数精鋭の品ぞろえにする傾向が強かったといえるでしょう。
当時の並行店では当然のようにロレックススポーツばかりが並び、他より1,000円でも安くすれば瞬く間のうちに売れてしまう状況でした。

主力のスポーツモデルたちを、他より少しでも高い値段を付けてかき集める日々が続いていました。
市場規模は今より圧倒的に小さかったものの、まだ低かった価格もあって、そのスピード感は現在以上のものであったと記憶しています。
とにかく高く買って安く売る。これを繰り返すことしかできなかった並行店は、ゆっくりとではありながら成長を続けていきますが、その過程の中で、とにかくロレックスだけは高く買い、安く売る。その商慣習だけが独り歩きしてしまったように思えてなりません。

いまや1990年代の相場価格の2~4倍にまでなった現在のロレックス新品の売れ方は、店が増えたこともありますが、かつて程のスピードを感じられず、少なくとも売り手にとっては、かつて程のメリットをもたらすものではなくなっている状況がはっきりとあります。

これがユーザーが手にするロレックスの値段にどのような影響を与えるのか、はたまた与えないのか。引き続き相場の動向に注目していきましょう。

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