SIHH 2019 ボーム&メルシエ ボーマティック新キャリバー搭載モデル
「手が届く」価格帯を維持しながら、優れたデザインセンスとパッケージングで、世界中のファンから支持を集めるボーム&メルシエ。
120時間ものパワーリザーブとフリースプラングテンプを持つクリフトン ボーマティックは、現在の同社プロダクトの中でも、特に同社の特徴を端的に表したプロダクトといえるでしょう。
2018年に続いて、2019年のSIHHにおいてもボーマティック搭載機に注目が集まる中、ボーム&メルシエはどんな新作を繰り出したのでしょうか。
新しい自動巻きムーブメントの基準機、ボーマティック
2018年、ボーム&メルシエが所属するリシュモングループ内のムーブメントメーカー、ヴァル・フルリエ。そしてヌーシャテルの研究施設であるマイクロシティの協力を受けて開発された先進的なムーブメント、ボーマティックでセンセーションを巻き起こしたボーム&メルシエ。
フリースプラングテンプ、シリコン製のヒゲゼンマイとアンクル、ガンギ車を備え、日差-4~+6秒の高精度で約5日間のロングパワーリザーブ、1500ガウスの磁場に耐えられる耐磁性能、そして5年以上に渡って初回のメンテナンスを必要としない耐久性と信頼性。
さらにはこのボーマティックを搭載するクリフトン ボーマティックが30万円台前半という価格設定は、自動巻きムーブメントの量産機に関する常識を覆すに十分なインパクトを持っているといえるでしょう。
2019年のSIHHにおけるボーム&メルシエは、そんなボーマティック搭載機と、クラシマのレディースウォッチの拡充をメインとした展示となりました。
メンテナンス性向上のために
ボーマティック、キャリバーBM12-1975Aに採用されている先進的二層シリコンヒゲゼンマイは、シリコンでは不可能と言われた温度補正を可能としましたが、メンテナンス性に問題を残していました。
そこでボーム&メルシエはヒゲゼンマイを通常のものに乗せ換える代わりに、インナーケースによってムーブメントを守ることで耐磁性能を確保。キャリバーBM13-1975Aとして今年発表した新作に搭載しています。
クリフトン ボーマティック パーペチュアルカレンダー M0A10470
今年登場した新作の中でも、やはり最初に目が行くのはこのモデルではないでしょうか。
ボーマティックにカレンダー修正時の逆回転による修正も可能にし、新設計のデュポア・デプラ製パーペチュアルカレンダー・モジュールを重ねた、キャリバーキャリバーBM13-1975ACを搭載。
ボーマティックの優れた基礎体力はそのままに、複雑機構とK18レッドゴールド製のケースを採用したクリフトン ボーマティックのハイエンド機種ながら、税別で300万円を切る価格は、簡単に安いと一言で語れないものの、永久カレンダー搭載機としてはやはり破格というべきでしょう。
ハイエンド機らしく、クリフトンのデザインにインスピレーションを与えた、1950年代に製作されたモデルの特徴的ケースデザインを復刻している点もポイントです。
世界限定わずか10本という、高い希少性を併せ持つモデルです。
クリフトン ボーマティック M0A10469
クリフトン ボーマティックに新たに加えられたK18レッドゴールド製モデル。
COSC公認クロノメーターを所得した新しいボーマティック、キャリバーBM13-1975Aを搭載して税別で80万円を切る価格設定は、ゴールド製モデルとしては魅力的ではないでしょうか。
クリフトン ボーマティック M0A10468
こちらはCOSC公認クロノメーター搭載機のスチール製ケースに、ブルーグラデーションの文字盤とスチール製のブレスレットを合わせたモデル。
頑丈かつバランスに優れたブレスレット仕様は日常使いに最適です。
ブラックアリゲーターストラップとスチール製のピンバックルを組み合わせたRef.M0A10467もあります。
ボーム&メルシエはボーマティック搭載機100%を目指すのか
上記以外にもクラシマ クロノグラフ コンプリートカレンダーなど新作はありましたが、既存モデルのコスメティックチェンジも目立ち、やはりボーマティックの進化にかける意気込みの陰に隠れてしまっている感がありました。
今回のボーマティックに与えられた変更は、メンテナンス時にエンドユーザーを困らせないための配慮によるものと思われ、これがボーム&メルシエなりの良心ととることもできるでしょう。
とすれば、これまで使ってきたセリタベースのムーブメントよりも高いパフォーマンスを望める、ボーマティックを全機種に搭載することによる全体の底上げも、当然のこととして考えられるでしょう。
今後のボーム&メルシエに注目して参りましょう。
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