今後の相場は?ひっそりと廃盤となったロレックス「ミルガウス」について解説
グリーンガラスに写り込んだ、Zブルー文字盤と独特の秒針が特徴のミルガウス。そんなミルガウスが廃盤と聞き、今後の中古市場での価格が気になる方も多いのではないでしょうか。
そこでこの記事では、今後ミルガウスの中古市場における価格推移に焦点をあてて解説します。ミルガウスの売り時もご紹介していますので是非最後までご覧ください。
2023年春に廃盤となったミルガウス
ロレックスの中でも個性的なデザインで親しまれていたミルガウスは、2023年に惜しまれつつ廃盤となりました。
リニューアルや後継モデルを期待していたファンにとっては、生産終了は厳しい現実を突きつけられたのと同時に、なぜ廃盤になってしまったのか気になるところでしょう。
廃盤になった理由は、以下4点が指摘されています。
- 個性的すぎるデザイン
- 高耐磁時計のライバルの登場
- モデルの進化停滞
- ニッチな市場ポジション
それぞれ解説していきます。
個性的すぎるデザイン
廃盤理由の一つとして、個性的すぎるデザインが指摘されています。
ミルガウスは、特別に採用されたグリーンサファイアクリスタルガラスに、オレンジの稲妻の秒針と個性的なデザインを採用しています。グリーンガラスはロレックスが長年開発してきた技術であり、ロレックスの歴史を覆すような稲妻の秒針を取り入れたのはミルガウスのみ。
しかし、ロレックスのシンプルでシックな大人の色気を醸し出すモデルが好きな方たちには、ユニークな稲妻デザインの秒針がどこかおもちゃ感覚のデザインで受け入れがたかったようです。
個性的すぎるデザインがゆえに、購入者が増えなかったことや当時の資産価値がなかなか期待値を上回らなかった結果、廃盤になったと指摘されています。
高耐磁時計のライバル登場
磁場の影響を受けて時計の正確性が低下する問題を解決するため、ミルガウスでは強磁性合金のケースを採用しました。1000ガウスの耐磁性によりムーブメントの磁化を防ぎ磁場の影響を最小限に抑えることを可能にしています。
しかし、時間の経過と共に優れた高耐磁性を搭載した時計が、オメガや他のブランドからも台頭しています。オメガを例にとると、ミルガウスの1000ガウスを超えた、15000ガウスもの高耐磁性ムーブメントを備えています。
結果として、オメガや他ブランドは高耐磁性を搭載した仕様モデルを多く取り揃え、ミルガウスの立ち位置が脅かされることとなりました。
モデルの進化停滞
ミルガウスの廃盤理由には、進化の停滞もあげられます。
ロレックスのプロフェッショナルモデルでは、大部分がムーブメントCal.32系に移行したにもかかわらず、ミルガウスはムーブメントCal.31系からアップデートされませんでした。
結果として、ミルガウスはムーブメントCal.32系である、高耐磁性と高耐衝撃性を兼ね備えたパラクロム製ヒゲゼンマイに乗り遅れる形となりました。
ニッチな市場ポジション
廃盤理由にミルガウスのニッチなポジションもあげられます。
人気となっているロレックスの定番主要モデルに比べると、ミルガウスの独自性・グリーンガラスや稲妻スタイルの秒針などのユニークさは、ニッチなコアファンにしか注目されず、ロレックスファンの中でも好き嫌いが分かれる結果となりました。
一方生産中止になったことで、流通数の少なさからその人気が高くなる可能性があり、今後の中古市場での動向に注目が集まっています。
ミルガウス廃盤までの歴史
ここでは個性的なデザインで優れた高耐磁性の先駆者であったミルガウス廃盤までの歴史をご紹介していきます。
ミルガウスの誕生とアイデンティティ
ミルガウスは1956年にプロフェッショナルモデルとしてロレックスから発表されました。
ミルガウスの由来は、フランス語の「1000=ミル」、そして「ガウス=磁場の大きさ・密度」で、1000ガウスもの高磁場密度に耐えることに成功した独自のアイデンティティを保有したところから来ています。
磁気が及ぼす影響はアナログ式時計の正確な時刻表示を狂わせてしまうため、特に科学者や医療の専門分野で働く人にとって頭を抱える問題でした。
それを防ぐために高耐磁性の性能を搭載したのがミルガウスです。当時の家電普及率に比例して必要性が深まったと言えます。
初代ミルガウスの特徴
初代ミルガウス(Ref.6541)の特徴は、磁化がムーブメントに与える影響を抑えるために、インナーケースに強磁性合金を採用したことです。
開発されたシステムは高い耐磁性を実現しました。このシステムは現行機でも受け継がれており、CERN※の科学者や技術者にも使用されています。
※CREN:欧州原子核研究機構の略称で素粒子物理学の研究機関
モデルチェンジと生産終了
1960年前半になると、二代目モデル「Ref.1019」が登場しました。
この際に初代モデルで特徴的であった稲妻の秒針が、一般的なストレート型へモデルチェンジされています。専門分野での用途を意識して制作されましたが、耐磁性クォーツ式時計の普及率も増えた結果、1990年には生産終了となりました。
ミルガウスの復活
2007年のミルガウス(Ref.116400)の復活は、コアファンにとって待望の瞬間でした。
初代モデルを彷彿させる稲妻の秒針デザイン、新たに取り入れられたグリーンガラスや黒や白の文字盤がロレックスファンの間で注目を集めました。今に至るまで、グリーンガラスにZブルーの文字盤モデルは、まるで透き通った海の中を覗いてるような感覚で人気を誇っています。
最終的な生産終了
そして遂に、2023年ミルガウスは最終的な生産終了となります。
個性的なデザインや高耐磁性に優れていましたが、ロレックスの主要人気モデルがムーブメントをアップデートする中、ミルガウスは移行されなかったことが主な原因です。ミルガウス愛好家にとっては、残念な結果になりましたが、今後の資産価値の変動に注目が集まっています。
ミルガウスは再度復活するのか
ミルガウスを愛してやまない方や、所有していて資産価値の変動が気になる方は、再度復活するのか気になるところです。
ここではミルガウスの復活の可能性や、復活した場合のどのような特徴を持つのかをご紹介します。
再復活の可能性
ミルガウスは1990年代に一度生産終了となり、2007年に復活を遂げています。
ロレックスの中でミルガウスが特別視されるのは、グリーンガラスがミルガウスのみ採用されているからです。他とは異なる特別感を持つミルガウスに、過去に一度復活した事実はミルガウスファンにとって再復活を期待させています。
テクノロジーの進化と市場の動向
2021年にロレックスの兄弟ブランドにあたるチューダーが、マスタークロノメーター※認定を受けたブラックベイ(Ref.79210CNU)を発表しました。
※マスタークロノメーター:2015年に新しく発表された時計の規格。オメガとMETAS(スイス連邦計量・認定局)が開発
オメガが持つ高耐磁性と、同等の高耐磁時計と言えるチューダーが開発した耐磁性の躍進は、ロレックスが新たな高耐磁時計と共に、市場に参戦する可能性を示しています。
新生ミルガウスはどんなモデルになる?
新生ミルガウスが誕生した場合、どのようなモデルになるのか気になるところです。
過去のミルガウスを振り返って見ても、独創的なデザインや高耐磁性などの性能に拘っており、ロレックスの中でも独特な存在感を発揮していました。
既にロレックスの主要人気モデルでは、シースルーバックを採用したりクラシックモデルのデザインを再び取り入れたりしています。
そのため、新生ミルガウスのデザインは、主要人気モデルが採用したデザインの影響を受ける可能性があると言えるでしょう。
廃盤となったミルガウスの中古市場での価格推移はどうなる?
廃盤となったミルガウスが、今後の中古市場でどのような価格推移が予測されるのでしょうか?ここでは以下の観点から解説していきます。
- 中古市場での価格推移
- ブラック文字盤モデルの価格動向
- ホワイト文字盤モデルの価格動向
- 価格高騰の要因
- 売り時の判断
それぞれ見て行きましょう。
中古市場での価格推移
まずは中古市場での価格推移です。ミルガウスの中古市場は、廃盤が決定したことをきっかけに価格上昇が始まりました。
今現在は復刻の予定がなく、良質なモデルが市場から消えるのは早いため、当面この傾向は継続するとの見方が一般的です。実際に人気のZブルー文字盤モデルは、廃盤決定前は約150万前後で推移していましたが、現在の相場は約170万前後と約20万の値上りを見せています。
ブラック文字盤モデルの価格動向
ロレックスの中でもミルガウスのブラック文字盤モデルは、シックでエレガントなイメージで上品さを兼ね備えており人気が高いモデルとなっています。ホワイト文字盤より数万円高い元々の定価に加え、人気で需要が高いゆえの希少性、さらには廃盤の供給ストップが加わり、ブラック文字盤の価値は高くなっています。
ホワイト文字盤モデルの価格動向
ロレックスの中でもホワイト文字盤モデルの普及は少なく、人気もさほどありませんでした。しかし、デイトナ(116500LN)の人気上昇によって、ホワイト文字盤も脚光を浴びるようになり価格も上昇しています。
実際ミルガウス(116400)ホワイト文字盤の価格は、約100万円前後以上の取引価格になっており、生産終了を受けた今後の価格高騰に期待できそうです。
価格高騰の要因
ミルガウスはコアファンの人気が特に高く、生産終了をきっかけに価格が高騰しました。
要因は、ミルガウスの希少性があり中古市場への流入が少ないからです。中古のミルガウスでも、良好な状態を保っていれば、今後さらなる価格を期待できるでしょう。
売り時の判断
現在ミルガウスは廃盤となり、希少価値が高いため価格高騰が継続しています。
この価格高騰は、ミルガウス廃盤となったモデルの中古市場流入率減少の予測ができるため、今後も継続する可能性があります。
一方、右肩上がりの上昇は難しいと見方をする意見もあります。その理由として、ロレックスの主要人気モデルに比べると、ミルガウスはコアファンに人気が高いため「需要がそこまで継続しないのでは」との見方です。
また、市場価格はコロナなど突発的な理由で大きく変動することもあるので、まずはプロの方に売り時や相場動向を相談するのも一つの方法と言えるでしょう。
ミルガウスの売却をご希望の方は是非「なんぼやへ」お任せください
本記事では、ロレックスのミルガウスが廃盤になってしまった経緯や、今後の中古市場での価格推移について解説しました。廃盤をきっかけに、ミルガウスの価格は上昇しており希少価値が高まっています。今後は中古市場での、流入がさらに少なくなる可能性も考えられます。
大切にしてきたミルガウスがいくらになるのか気になる方は、一度専門家に鑑定を依頼してみてはいかがでしょうか。
現在お持ちのミルガウスの資産価値が気になる方、少しでも価格が高いうちに買取をご希望の方は是非「なんぼや」にご相談ください。