時計の状態と買取査定額の関係性について
買取店としては、精いっぱい出した査定額でお客様に喜んでもらえれば嬉しいでしょうし、がっかりされれば同じく悲しい思いをするものでしょう。
ここではその最たるものである買取不可という状態はどんな時に起きるものなのか。また査定額決定のプロセスや近年の傾向の変化についてまで触れてみることにします。
1.査定額を出せない状態の時計
時計の査定額は、
という極シンプルな計算の下に算出されるのが一般的です。
そこで注意したいのが、商品化するために想定されるメンテナンス費用が高額と予想される場合です。
例えば上記の式の計算結果がマイナスになるとすれば、店側の採算が合わない仕入れとなるわけで、こういった場合には買取自体が不能となってしまいます。
これは決して時計に価値がないと言いたいわけではなく、商品化して販売することが不可能であることを示しているに過ぎません。
それではどのようなときにマイナスとなるのでしょうか。
仮に販売予定額が5万円、必要利益額が1万円と想定した場合、修理代が4万円を越えますと、マイナスということになりますね。
これは例えば1990年代前半当時の販売価格が15万円程度の一般的なスイスウォッチに、風防交換などのメーカー修理が必要な状態が発生した場合、実際に発生してしまいます。
また仮に時計が安価なものでないにしても、修理代が見積もれない、また想定できないもの、すなわち今は作られていない仕組みを持っていたり、交換が必要な部品が既に手に入らなくなっていたりする場合にも査定担当は同様の判断を下す他ありません。
強いて言えば部品取り用として査定額を出せる場合もありますが、売り手が納得できる査定額は期待できないと考えるべきでしょう。
低コストで修理できるため、故障した時計も高価買取が可能になります。
まずはお近くの店舗へ査定にお越しください。
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2.査定時の一般的減額対象
もう少し一般的な話をしてみましょう。
例えば2005年製のロレックス エクスプローラーII、 Ref.16570の白文字盤について考えてみましょう。
箱や保証書などの附属品がそろっていたとして、いろいろな意味で一般的個体であったとして、今日現在の想定販売額を消費税込みで約60万円としてみましょう。
販売時の利益を10%と想定するとこれを差し引いて54万円。
そして商品化するために、
ケース、ブレスのポリッシュ | 1.5万円 |
---|---|
オーバーホール | 3.5万円 |
ガラス交換 | 2万円 |
以上合計7万円が必要と見積もった場合、査定額として出るのは47万円となります。
非常にシンプルですが、ロレックスのような人気モデルの査定額は実際にこのような過程で算出されるものです。
3.さらに状態を反映して変動する場合
例えば大きなマイナスポイントがある場合は、ここからさらに減額になります。
大きなマイナス要因としてよくありますのが、
- 裏蓋に個人名の刻印
- 時計の心臓部、テンプを支える軸(テン真)折れ
- ムーブメントに錆(さび)が発生
- ブレスレット破損、または伸び
- ケースやブレスなどに大きな打痕あり
- 文字盤焼け
などです。
あくまで実際の状態によりますが、以上のような場合は10万円以上の査定額減額につながる場合もあります。
4.ケースやブレスレットの痩せについて
例えば10年前と現在を比較して、業界関係者やユーザーの意識が変わってきたと感じるのが、ケースやブレスレットのポリッシュについてです。
ポリッシュをかけてもらえば、日常使用で着いた細かな擦れ傷などがすっきりと消え、また気持ちよく使用できることは良いのですが、これを繰り返せば次第にケースやブレスレットの形が変わってきて、細く、薄くなってしまいます。
特にこのポリッシュを推奨してきたロレックスの時計は痩せてしまっているものが多く、例えば1970年代以前のプラスチック風防の時計でケースが痩せていない、すばらしいコンディションの時計をまれに見かけますと、なかなか本物に見えてこないほどに、痩せたケースを見慣れてしまっているのです。
ロレックスではいわゆるオーバーホールと外装のポリッシュをセットで行う習慣があります。
ユーザーが大切にするつもりで定期的にメンテナンスしていた時計に限って、ケースやブレスレットが痩せていることが多いです。
もちろん以前からポリッシュ不要のリクエストは可能だったのですが、かつてはケース痩せを問題にする人はそんなに多くなかったのです。
それだけユーザーの目が肥えてきたということで、これも良い傾向であると考えるべきでしょう。
こういった傾向の変化によるものか、最近ではポリッシュによるケース形状への影響も、査定額に反映する傾向が強まってきています。
この変化に象徴されるように、あくまで多くの人々が求める、人気のある売りやすい時計に高値が付く原則は不変であり、時計の状態の良しあしに対する感覚までもが時代とともに変化を続けているようです。
現在ブランド時計の買取相場が上がっています
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