バーゼルワールド2019 チューダー~その奥深き世界
ロレックスのセカンドブランドとして育ってきたチューダーは、21世紀に復刻時計ブームの中でブラックベイの大ヒットにより、独自のブランドとして大きな飛躍を遂げました。
2018年の秋には日本への正規輸入も再開され、これからがますます楽しみなチューダーの今後を占うバーゼルワールド2019、注目しないわけにはいかないでしょう。
1.ロレックスのセカンドブランドからの脱却
もう何十年も前のこと、機械式時計への再注目が始まった頃から、チューダーはロレックスのセカンドブランドとして、時計ファンを中心に広く知られてきました。
そんなチューダーは20世紀末に始まったロレックスの快進撃とともに国際的な知名度を上げていきましたが、2000年代の時計バブルと呼ばれた時代には、1970年代に製作されたカラフルなカラーリングを特徴とするモンテカルロと呼ばれるヴィンテージクロノグラフを中心として、大変なプレミア価格を付ける存在となり、世界中のファンを驚かせるに至りました。
そして時計バブルの終えん後、チューダーはモンテカルロの復刻モデル、ヘリテージクロノグラフの大ヒットをきっかけとして大きく変化を遂げていきます。
中でもサブマリーナーの歴代モデルが持っていた特徴的な意匠を組み合わせて、現代的ダイバーズウォッチとして仕立てた2012年発売の傑作、ブラックベイ。当時の復刻時計ブームの中心的存在となり、もはや単なるロレックスのセカンドブランドとしてではなく、そのオリジナリティを示すようになりました。
2.2018年秋、日本の時計市場に公式参入
そんなチューダーが昨年秋、遂に日本にて正規販売を再開。
人気モデルを中心に慢性的な品薄が続き、入手がしやすくなったとは言い難い状況ではありますが、より身近な存在として感じられるようになったことは大いに歓迎すべきでしょう。
また日本に入荷したのはブラックベイを中心としたヘリテージコレクションのみで、数年前まで公式サイトに掲載されていた、グランツアーやグラマー等といった他のコレクションが、日本語サイトに目を奪われているうちに公式サイトから姿を消していたのが大いに気になります。
3.2019年バーゼルワールドでのチューダー
そして2019年4月、チューダー再上陸後初のバーゼルワールドが開催されました。
今年のバーゼルワールドで昨年までと最も違っていた点は、チューダーからの公式情報が初めから日本語にも訳されていたこと。
当たり前といえば当たり前ではありますが、今年からは日本のファンのために、チューダーが直接日本語で発信してくれる、これは古いファンにとっては大変に感慨深いことでしょう。
ともあれ、今年チューダーが発表した新作は
1.ブラックベイ 32 36 41 S&G
プレーンベゼルと150m防水を備えるブラックベイの3サイズ全てに、スチールとイエローゴールドのコンビネーションのケースとブレスレットを備えるモデルが登場。
このモデル専用の5連リンクのブレスレットがフィットされ、コンビモデルならではの個性を強調しています。
ブラックとシャンパンゴールドのダイヤルが用意されています。
2.ブラックベイ クロノ S&G
クロノタイムの遺伝子を受け継ぎながら、コラムホイールと垂直クラッチを採用した現代的マニュファクチュールムーブメントと、アイコニックなスノーフレーク針を採用したブラックベイクロノにもスチールとイエローゴールドのコンビネーションモデルが登場。
イエローゴールド製のベゼルにはマットブラックアルマイト加工のタキメータースケールが刻まれたインサートがフィットされ、精悍(せいかん)さを増しています。
ストラップは3連リンクのスチールとイエローゴールドのコンビネーションブレスレット、1980年代の軍用パイロットウォッチを思わせるブンドが付いたブラウンレザーストラップ、ブラックファブリックストラップの3種類から選べます。
3.ブラックベイ ブロンズ スレートグレーダイヤル
独特の経年変化を楽しめることで人気のブラックベイ ブロンズにスレートグレー文字盤のバリエーションが登場。
ストラップはブラックのヌバックレザーストラップとファブリックストラップから選べます。
4.ブラックベイ P01
1960年代にアメリカ海軍のために製作されたダイバーズウォッチのプロトタイプにインスピレーションを得てデザインされたモデル。
ベゼルにまで張り出してベゼルの誤回転を防ぐヒンジ式のエンドリンクや、手首の運動を妨げることがないように4時位置にセットされたリューズ、無骨さが際立つ、ラグと一体化したリューズガードなど。ツールウォッチならではの精悍さあふれる外観はそのままに、ブラックベイのアイコニックなスノーフレーク針が更なる個性を加えます。
4.チューダー、その奥深き世界
改めてみれば新作全てがブラックベイということになりますが、チューダーというブランドに生まれては消えていった魅力的意匠の数々が散りばめられたブラックベイ。その奥深い世界を語り切れているというにはまだ程遠く、思えば思うほどに更なる発展性を感じます。
チューダーならではのわくわくする世界を、もっと楽しませてもらいたい。
今後の展開に大いに期待したいと思います。
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