レアアイテム写真館 A.ランゲ＆ゾーネ リヒャルト・ランゲ
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宮廷時計師が立ち上げた A.ランゲ＆ゾーネ
19世紀、フェルディナント・アドルフ・ランゲはザクセン王国(現在のドイツ・ザクセン州)の宮廷で働く時計師でした。彼は1830年に当時有名だった時計職人に弟子入りし、それから数年の間ヨーロッパ中を歩き渡り、時計の腕に磨きをかけていきました。そして1845年、祖国のドイツで小さな工房を開いたのです。これが後のA.ランゲ＆ゾーネの誕生と言われています。
グラスヒュッテを拠点としたアドルフ・ランゲの工房は、見習いを含め数人の職人から始まりました。それから十数年の間に息子たちが経営へ参加し、A.ランゲ＆ゾーネ(ランゲと息子達)と言う屋号へと移り変わっていったのです。20世紀の戦乱に工房は巻き込まれ、戦後は一時その名前が途絶えてしまうことになりますが、1960年代～90年代にかけ、有志によってブランドは再興しました。
リヒャルト・ランゲの名を冠したコレクション
A.ランゲ＆ゾーネのコレクションの中には、一風変わったものも少なくはありません。その中でも、特にリヒャルト・ランゲは他と違ったコレクションと言えるでしょう。A.ランゲ＆ゾーネの代表コレクションは、ランゲ1やサクソニア等様々ありますが、リヒャルト・ランゲは、アドルフ・ランゲの息子の名前そのものなのです。人物であるリヒャルト・ランゲは1868年に参加した息子の一人で、当時の経営に深く関わり、その生涯の多くを時計に捧げました。彼の名を冠したリヒャルト・ランゲは、創業から160余年を経て誕生した新しいコレクションです。
時計表示機構が少々ユニークで、複数のダイヤルに分割されています。過去と未来を繋ぐような斬新とも言える文字盤は、同コレクションを代表するデザインとなりました。新たなA.ランゲ＆ゾーネの誕生を思わせるリヒャルト・ランゲは、それまでのファンの心を鷲掴みにし、また希少性の高さから時計コレクターにも人気を博しました。センセーショナルに発表された同コレクションですが、世界中のメディアが取り上げたことからも注目度の高さが伺えます。
ランゲ&ゾーネの一つの集大成
リヒャルト・ランゲは数モデル発表されていますが、プール・ル・メリットは一つの集大成とも言えるモデルです。ダイヤルは3つに分割されており、それぞれが時・分・秒を表現しています。その内の一つは内部構造が見えるスケルトンになっています。裏面もスケルトンで、時計を持つ喜びを味わうだけでなく、歯車やゼンマイの動き、時計そのものを見ながら堪能することができ、心をくすぐる遊び心も満載です。このことから、時計のメカニカルな構造が好きな方からも一定の評価を得ています。
ケースはピンクゴールドが使われており、無骨すぎない洗練されたデザインに仕上がっています。キャリパーは自社製の手動巻きを採用し、パワーリザーブは最大36時間、スモールセコンドを搭載するなど、機能面でも妥協がありません。価格が高くプレミアも付いており、正に逸品中の逸品といっても過言ではないでしょう。
まとめ
今から遡ること2世紀、A.ランゲ＆ゾーネの誕生によって新たな時計の歴史が刻まれました。ブランド名にゾーネ(息子たち)と冠している通り、A.ランゲ＆ゾーネは息子たち抜きには語ることができないでしょう。リヒャルト・ランゲは160年以上前の人物ですが、経営参加から2世紀を経て現代に復活しました。プール・ル・メリットに代表されるように価格帯はやや高めですが、単に持つだけではなく、時計と共に生活することの楽しみを与えてくれるでしょう。資産としても十分な価値があり、希少性の高さも相まって、市場ではコレクター垂涎の逸品となっています。
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