ジュネーブサロン 2019 F.P.ジュルヌの新しいトゥールビヨン・スヴラン
1999年発表の代表作、トゥールビヨン・スヴランも、登場から20年が経過しました。現在においてもその卓越したメカニズムは決して古びることはありませんが、天才と呼ばれるフランソワ-ポール・ジュルヌ氏は、挑戦を止めなかったのです。
そして彼がSIHH 2019にてお披露目した新しいトゥールビヨン・スヴランで、20年前の傑作機をはるかにしのいでみせたのです。
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20年前に天才時計師が発表したトゥールビヨン
もしあなたが、根気強い技術者による真摯なものづくりや、創意工夫が生み出した人類の英知に心を奪われたことがあるなら、実際に購入できる、できないを問わず、きっとここにご紹介するF.P.ジュルヌによる作品を避けては通れないことでしょう。
1999年に発表して以来、彼の代表作の1つとして名高い初代のトゥールビヨン・スヴランには、彼が1982年に2つ目の懐中時計を製作中に発明した独自の定力機構、ルモントワールが組み込まれています。主ゼンマイが全巻き上げの状態から解けて、トルクを失うまでの約42時間、極めて安定したステップ運針を継続することができるもの。
そのずば抜けたオリジナリティと磨き抜かれた高度なメカニズムは、2004年のジュネーブ・ウォッチメイキング・グランプリにおける最高の栄誉、「金の針賞」に輝きました。
自らのアイコニックピースを過去のものとする快作
そんな大傑作の誕生から20年目の節目の年、2019年のSIHHにおいて、F.P.ジュルヌ氏はトゥールビヨン・スヴランのトゥールビヨンケージを垂直に置き換えた、トゥールビヨン・スヴラン・ヴァーティカルを発表。
トゥールビヨン・スヴランのストラップには、ピンバックルかディプロワイヤントバックルのどちらかが付きますが、ピンバックル付きであれば時計保管時は時計は水平方向に置かれ、ディプロワイヤントバックル付きであれば時計は垂直方向に置かれることでしょう、
経度の違いによる重力の違いまでもを意識して、出荷する地域によって微妙に歩度調整を変えてくるF.Pジュルヌの作品には、当然のこととしてバックルの違いによる歩度調整の差別化も行われているといいます。
意味のない変更は行わないといわれるジュルヌ氏は、トゥールビヨンを垂直に改めた理由として、時計が水平、横置きのどちらの姿勢で置かれても、トゥールビヨンは常に垂直を保つため、バックルごとの差別化を意識することなく、より厳密な精度調整が可能となることを挙げています。
また通常のトゥールビヨンは、平置きで置かれた場合、キャリッジの重量をほぼ地板側の穴石だけで支えるようになります。それに対し、垂直に置くことによって上下の両方の穴石に負荷が分散できる上に、腕に装着している状態でも片方の穴石に負荷が偏る頻度が減らせて、これが携帯精度に大きなメリットをもたらすとも説明しています。
トゥールビヨン・スヴラン・ヴァーティカルにみる精度へのこだわり
またトゥールビヨンの向きを変えても、振動数やテンワのサイズは変えず、さらにはキャリッジの回転速度を1分で1周から30秒で1周と倍に早め、精度をプラス2秒からマイナス2秒に収めたといいます。
元を正せばテンプの挙動に影響を与える、重力のかかる方向の変化に対して、テンプの姿勢を常に変化させることによって、その影響を相殺しようとした試みがトゥールビヨンです。対して、実際は主ゼンマイの発生するトルクの一部が、重いトゥールビヨンを回すために消費されるために、テンプの振り角が上がりにくくなって、反対に精度を悪化させることになりかねないのが、トゥールビヨンというもの。
過去にトゥールビヨンは精度を出すためのものではない、だから精度を出すためにルモントワールをつけた、との発言をどこかで見かけた記憶がありますが、その精度追及への真摯な姿勢にはただ感心するほかありません。
さらにはこれだけの進化を遂げながらパワーリザーブも約2倍の80時間にまで延長されており、自らのアイコニックピース刷新に向けてのジュルヌ氏の並ならぬ決心を感じざるを得ません。
天才時計師の新たなるアイコニックピース
今回の限られたスペースでこのすばらしい大作を語り尽くすには遠く及びませんが、このトゥールビヨン・スヴラン・ヴァーティカルは、時計に興味を持つ全ての人にぜひお知り置きいただきたい、現代を代表する時計師による長年にわたる努力の結晶であると、改めてお伝えしたいと思います。
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