バーゼルワールド2019~変容するロレックス
バーゼルワールド2019でロレックスが発表した新作も、新世代への移行を象徴する、ロレックスらしい堅調さをみせるものが大半を占めました。
新しい基幹ムーブメントと新しい外装は、確かに創業以来貫いてきた、飽くなき実用性の追求につながるものばかりですが、そのディテールには、ロレックスなりの様々な方向性の変化を感じさせる者も多く、興味が尽きません。
バーゼルワールド2019のロレックス
世界最高の人気と知名度、そして圧倒的な売り上げ規模を誇る世界一のビッグメゾン、ロレックス。
その時計市場への影響力はまさに絶大であり、毎年発表される新製品を心待ちにしているファンはもちろん、その動きに常にアンテナを張っているマニアや業界関係者まで、世界中の大勢の人々が見守る中、今年もバーゼルワールドの幕が上がったのです。
2019年3月21日、ロレックスが用意していた新作は以下の6種類でした。
1.ヨットマスター42 ホワイトゴールド
ヨットマスターはこれまでのケース径40mm、37mmのラインナップに、新たに追加された42mm径のモデルは、ゴールドケース、光沢差によって視認性を確保したブラックセラミック製のベゼルインサート。そしてオイスターフレックスブレスレットなど2015年に登場した、エバーローズゴールド製のヨットマスター40の仕様を受け継いだもの。
今後新しいCal.3235を搭載したヨットマスターが全て42mm径に統一されるのかについては、実際に他のバリエーションがリリースされてみなければ分かりません。しかしながらホワイトゴールドの42mm径ケースは、さりげなくもより強い存在感を示し、ロレックスのラグジュアリースポーツを代表するモデルのひとつとして、広い認知を獲得するに違いないでしょう。
2.シードゥエラー4000 イエローロレゾールモデル
そして今回の新作の中で個人的に最も興味深いと感じたのは、シードゥエラー4000のロレゾールモデルです。
プロフェッショナルのための耐高圧ダイバーウォッチとして、趣味のダイビングにも適したサブマリーナー デイトとは別扱いされてきたことが、これまでシードゥエラーにゴールドのバリエーションを加えなかった理由と考えていますが、ロレックス自身がもはやそんなこだわりは流行らない、との決断に達したのではないかと思えてならないのです。
ディープシーという存在を前提として、近い将来シードゥエラーの防水性能を下げてくる可能性すら思わせる変化のように感じます。
3.GMTマスターII ブルー/ブラックセラクロムベゼル ジュビリーブレスレット付き
そして今年登場したもう1つのプロフェッショナルウォッチがGMTマスターII、ブルー/ブラックベゼルのモデルです。
ブルーとブラックのツートンカラーのベゼルは、レッドを呈するセラミックの生産が容易でなかったことから代案として作られた、と想像されても仕方のない感があり、レッド/ブルーのセラクロムベゼルが実現した現在、姿を消してしまうのではないかとファンたちの間でささやかれていたのです。
しかしこうして新世代のムーブメント、Cal.3285と新しいジュビリーブレスレットを与えられて、次世代に生き延びたのです。
これはやはり116710BLNRが登場後約5年間で獲得した高い人気を、ロレックス自身も評価していることの現れなのではないでしょうか。
一方いつものとおりではありますが、さりげなく旧世代となったRef.116710のシリーズが公式サイトから削除されており、技術的にはよりシンプルなはずの、ブラック単色ベゼルのモデル、そしてスチール製のオイスターブレスレット付きのGMTマスターIIが姿を消しました。
これを受けて中古市場では、もともと人気の高かったRef.116710BLNRはもちろん、Ref.116710LNにも熱い視線が注がれるようになっています。
4.デイデイト 36 ニューバリエーション6種
そして1955年の初登場以来、ロレックスの最高機種として君臨するデイデイトにも3種類のカラーのグラデーション文字盤や、ターコイズやピンクマザーオブパールダイヤルにダイヤモンドを並べて描いたインデックスを持つ文字盤が加えられました。
さらにはパヴェダイヤモンドを敷き詰め、レインボーカラーを呈するバケットカットサファイアのインデックスを配した文字盤に、ベゼルやプレジデントブレスにまでダイヤモンドが敷き詰められた、一際華やかで、生まれながらにして希少性を放つハイジュエリーピースも加えられました。
そのどれもが新鮮な華やかさでそれぞれの魅力を放っていますが、中でも象徴的なのが、イエローゴールドにグリーングラデーションの文字盤を与えられたモデルでしょう。
K18イエローゴールドの外装にグリーン文字盤を組み合わせたモデルといえば、すでにデイトナで大きな成功を収めていますが、富の象徴ともいえる黄金とロレックスの象徴であるグリーンの組み合わせは、現在のロレックスの揺らぐことのない自信を示しているかのように思えます。
5.デイトジャスト36 ニューバリエーション4種
1945年以来の長きに渡って、ロレックスが看板機として大切に育ててきたデイトジャスト。そのオリジナルの直系の子孫であるデイトジャスト36には、ついにスチール製のミドルケースとホワイトゴールドのフルーテッドベゼル、またはスチール製のプレーンベゼル、そしてダイヤモンド入りのホワイトゴールド製ベゼルがフィットされたモデルが登場。
ロングパワーリザーブと更なる精度安定性の向上を実現した新キャリバー3235と、より強靭(きょうじん)で現代的な外装をまとった、新世代の本格的な到来を象徴するものといえるでしょう。
6.デイトジャスト 31 ニューバリエーション6種
そして31mm径のレディースのデイトジャストにはイエローゴールド、またはエバーローズゴールドとスチールを組み合わせたロレゾールのモデルが登場。ダイヤモンド入りのベゼルや文字盤を交えた6つのバリエーションが加えられました。
1990年代にボーイズサイズとして男性にも人気を集めていたこのサイズは、いまやフェミニンなスタイルばかりが追及されるようになり、こんなところにも時代の移り変わりを感じざるを得ません。
最新が最良のロレックス神話が終わることはありません
ロングパワーリザーブを持つ新世代のムーブメントへの移行は順調に、これまでどおりのペースで進められており、堅調な印象が強いですが、ファンとしてはどうしても新たなイノベーションを期待してしまいがちです。
これがなかった点において不満を抱くファンも少なくないようですが、あくまでも「必要以上に変えないこと」がロレックスの最大の特徴であり、今年もこうして最新が最良を維持してみせたことを大いに評価すべきでしょう。
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