時計を修理するときに使われる、設備のまとめ

時計を修理する際には、専用の環境や設備がなければ十分に修理できない場合があります。時計を修理するために必要な専用の設備や環境とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか。

専門的な修理が必要になったときに、活躍することとなる設備などについてご紹介していきます。実は時計を修理するためには、人間の手術さながらの本格的な設備や環境が必要なのです。

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本格的に時計を修理する際には、特別な設備と環境が必要

腕時計にはさまざまな種類があり、その修理をする方法もさまざまです。また種類だけではなく、その症状によってもさまざまな修理方法があるため、何が原因なのかということをきちんと把握するための設備や環境というものが、必ず必要になってきます。

素人が原因を特定せずにとりあえず分解をして、取り返しのつかないことになったということはよくあるのですが、それは専用の設備や環境で原因をしっかりと調べて、最適な処置をしていないからということが多いです。
ではその設備や環境とは、具体的にどのようなものがあるのでしょうか?

本格的な修理用の設備や環境

クォーツテスター

時計にはクォーツ時計という種類があります。クォーツ時計は故障している箇所というのが非常に分かりにくいため、テスターというものを使って故障箇所を判別する必要があります。
テスターには安いものから高いものまで、ピンからキリまでありますが、どんなに安いものでも、クォーツ時計が壊れているかどうかということを調べるための、最低限の機能というものが詰め込まれています。

まず必要なのは、通電しているかどうか分かる機能。クォーツ時計にはコイルがあり、そのコイルが断線していれば故障につながっていきます。ですがこのコイルが断線しているかどうかは、目視では非常に分かりにくいため、コイルが導通しているか(電流が流れているか)どうかテスターによって調べる必要があるのです。

また、クォーツ時計は基盤系と駆動系で構成されているため、専用のテストを行わなければなりません。それを行うことができるのも、このクォーツテスターなのです。そもそも電池が切れているという単純なことが、原因かもしれません。
そのためクォーツテスターには、バッテリーチェックの機能もついています。時計がボタン電池の場合でも対応できるように、ボタン電池専用のバッテリーチェックが搭載されていたりと、クォーツ時計を直すために必要な機能が詰め込まれた装置となっています。

防水テスト機

時計を一通り分解して組み立てた後に、必ず行わなければならないのが防水テストです。
裏蓋密封や、ネジがしっかりと締まっているかどうかなどをチェックするために行うテストなのですが、このテストを怠ってしまえば、もし仮にしっかりとネジが締められてなかったり、裏蓋がしっかりついてなかった場合は雨が降ったり、手を洗ったときに水が内部に侵入し、金属がさびてしまうというトラブルを抱えてしまいます。そのため防水テストを行うための機材があるかどうかというのも、非常に重要になります。

時計をすべて分解して組み直すことをオーバーホールというのですが、オーバーホールした後に水が入らないかどうかをチェックするために、防水テスト用の特殊機材のカプセルの中に時計をセットします。そしてカプセルに圧力をかけます。そうすると時計がゆがみを生じるのですがその変化を測定し、防水性の合否判定を出します。

超音波洗浄機

オーバーホールをする際に、ただ分解して組み立てればいいというものではありません。分解した部品を、超音波洗浄機につける必要があるのです。この超音波洗浄機はその名のとおり、超音波で部品についたホコリや汚れなどを根こそぎ洗い落とすというもの。
部品をブラシできれいにするという方法もあるのですが、その方法ではすべての汚れやホコリを落とすことはできません。そのため完全な修理を行うためには、超音波洗浄機にかける必要があるのです。

超音波洗浄機は回転と超音波によって、部品の汚れを隅々まできれいにしてくれます。高額のものになりますと、最後に乾燥までしてくれるものも。
時計を長持ちさせるためには、内部の汚れやホコリは徹底的に除去しなくてはなりません。そのために必要な超音波洗浄機。これを使うことによって、それを実現することができます。

磁気抜き機

時計が壊れる原因はさまざまですが、そのうちの一つに外部から強力な磁力を浴びてしまったため、内部が壊れてしまうということがあります。パソコンやテレビという家電製品やスマートフォン、携帯電話などの通信機器は常に磁気を帯びています。これらが腕時計に影響を与えてしまい、腕時計の精度が落ちてしまうことが多いのです。特に近づけることが多い、腕時計とスマートフォン。スマートフォンを多く使うことによって、腕時計の精度も落ちてしまうことはよくあることです。

このように磁気を帯びてしまった腕時計を治す方法を、磁気抜きといいます
磁気抜きをするためには、専用の機器が必要になります。その名も磁気抜き機。名前はそのままですが効果は抜群、使い方も簡単です。磁気抜き機に腕時計を通していくだけ。それだけで磁気を抜くことができます。
腕時計を方位磁石に近づけて針が振れたのであれば、腕時計に磁気を帯びている可能性が非常に高いです。磁気を帯びていますと、オーバーホールをしても精度が悪いのが直らないということがザラにあるため、まずは磁気を帯びているかどうかのチェックをすべきでしょう。

クリーンルーム

時計の修理は、人体の手術と変わりがないといっても過言ではありません。体についたわずかなホコリや汚れなどが時計の修理中に入ってしまいますと、悪い影響を及ぼしてしまうのです。つまり修理をする人の体についているゴミやホコリを、一気に落としてくれる装置が必要なのです。そのため、本格的な時計の修理をするためには、人間の手術さながらのエアシャワーを完備したクリーンルームを用意している時計修理店もあります。
徹底的に時計を修理するという専門店では、用意されていることも多いクリーンルーム。これを使うことでホコリや汚れが時計の中に入ることを、防ぐことができます。

研磨機

時計のガラス面などが、傷によって見栄えが悪くなってしまっていることは多いです。これらの傷というのは、直すことができないのでしょうか。
傷が浅い場合ですと、コンパウンドなどを使って誰でも傷を直すことはできます。ですが深い傷ですと、コンパウンドでは直らない場合が多いのです。そういう場合に活躍するのが研磨機です。
研磨機を使えば、コンパウンドの効果をさらに上げることができます。少々深い傷でも研磨機を使って、新品同様のガラス面にすることが可能です。
研磨機とともに、バフ板があるとなお良いでしょう。ガラス面などを研磨した後にバフ板にかけますと、つやつやとした新品同様の輝きを取り戻すことができます。

まとめ

時計を本格的に直そうとした場合、専用の設備などが必要になります。自分の手で時計を直すこともできますが、高級な時計ほどその作りは精巧でデリケートなものになるため、小さな汚れやホコリ、携帯電話からの磁気からでも精度を落としてしまう可能性があります。
それらをしっかりと直すためには、充実した設備が必要になるのです。人間の手術さながらの、腕時計修理のための設備や環境。ここまでやるのかと、驚いた人もいるのではないでしょうか。

時計修理をお考えの方は、お気軽にご相談ください