正確に合わせていても、気が付いたらいつの間にか腕時計の時刻ずれてしまっていた、といった経験経験はないでしょうか。状況によっては正しい時間が分からず、苦労してしまうこともあるでしょう。電車に乗り遅れてしまう、スケジュールの予定が狂うなど、時間のずれが与える影響は少なくありません。
では、どうして時計の時刻はずれてしまうのでしょうか。
▼ 時計修理のLINE見積もりはこちら!
時間がずれることは珍しくない
現象の多くは時計の故障の結果として現れるものですが、実は時計に故障がない場合でも同様の現象が発生することがあるのです。
時計の遅れや進みの度合いを「精度」といい、一般に機械式時計であれば日差、クォーツ時計であれば月差・年差で表します。電波時計など定期的に時刻を補正する機能がない限り、正確に動き続ける時計はないため、時計の性能に応じて精度の幅が設けられています。所持している時計の精度がメーカーの許容範囲内である場合には、故障とは判断されません。
たとえばメーカーが月誤差を+-60秒と定めていた場合、時刻が1分ずれていても誤差の範囲内と判断できるでしょう。しかし、1か月で10分、20分と遅れが出てしまった場合、時刻を調整してもすぐずれてしまう場合は、時計の故障が疑われます。
考えられる原因とは
時計の時間がずれてしまう原因は何でしょうか。
どの程度ずれるかにもよりますが、さまざまな原因が考えられます。たとえば磁気、電池の消耗、油切れ、部品の破損・消耗、歯車の不調など、時計によってずれる原因は異なります。
また、クォーツ時計と機械式時計でも違いがあります。そのため、時計の種類を把握し、適切な原因を見つけだすことが必要になります。
電池の消耗による時刻のずれ
クォーツ時計の場合、電池の消耗が原因の1つとして考えられます。
電池は常に消耗していますが、電池の残量が少なくなりますと、時計を動かすのに十分な電力を与えることができません。その結果、徐々に時刻がずれてしまうのです。
電池の消耗が原因の場合、電池交換に出しますと正しい時間を刻めるようになるでしょう。しかし、電池を交換しても改善されないのであれば、他の原因が考えられます。
部品の消耗によるもの
時計の針を進める部品が消耗、あるいは破損している可能性もあります。時計の部品の中には常に磨耗し、経年劣化によって交換が必要なものも含まれます。部品が寿命を迎え、時間がずれる原因になっている可能性もあるのです。
特に何年間も使用している時計は、部品の消耗が原因として考えられるでしょう。該当部品を交換すれば解決されますが、通常はどの部品が原因か分からないため、一度オーバーホールする必要があります。
衝撃などで部品が破損している
内部で部品が破損しているおそれもあります。特に落下や強い衝撃を与えたことがある場合、部品の破損が原因として考えられるでしょう。時計はわずかでも衝撃を与えますと、内部の部品が破損してしまう場合があります。
ケースや風防が破損しているのであればまだ原因として考えやすいのですが、見た目は正常に見えても、内部では部品が破損している可能性がないとはいえません。部品消耗時と同じように、オーバーホールが必要になるでしょう。
破損していなくとも、衝撃で部品がずれてしまっている場合もあります。
部品の油切れ
長年使っていない時計、オーバーホールせず、ずっと使っている時計である場合、部品の油切れが原因になっている可能性もあります。車やバイクと同じように、時計には磨耗を防ぐために油を差している部品もあります。
油が切れると部品がスムーズに動かなくなり、時刻機能に影響が生じてしまいます。ただし、部品が磨耗している可能性もあるため、油を差しても解決しない場合もあります。
磁気による影響
パソコンのような端末やテレビ、電子レンジなど、家電製品の中には強い磁気を発するものがあります。これらが発する磁気が部品に影響を与え、時間をずらす原因になっている場合もあるのです。
俗に「磁気帯び」と呼ばれていますが、磁気を発する機器の近くで時計を使用している場合、磁気帯びが主な原因として考えられます。
時計が磁気を帯びた場合は、磁気抜き作業をしなければいけません。また、磁気を抜くための器具が必要になります。
回路の不良
回路はクォーツ時計にのみ使われており、経年劣化や電池の液漏れによる浸食などで故障が発生します。原則、回路の故障、不具合が原因の場合、新しい回路への交換対応となります。
時計のずれが発覚した時点で対処を
時計の時間がずれることは珍しくありません。しかし、それを発見するには実際の時刻とのずれを確認し、しばらく様子を見る必要があります。
少したっても改善されない、1日で時刻がずれるなどの症状が出た場合、メーカーまたは修理店に相談してみましょう。