腕時計の保管方法と、電池寿命の関係性について

腕時計は精密機械でもありますので、注意して保管しなければさまざまな面で劣化してしまう恐れがあります。
そしてその劣化は電池の寿命とも深い関係性があり、正しく保管しなければ新品の電池に交換しても寿命が短くなってしまう場合があります。
時計の種類によっては特殊な保管方法が必要な場合もありますので、自身の所有している時計に適した保管方法を理解することも大切です。
そんなさまざまな要素が関係する、腕時計の正しい保管方法と電池寿命について、詳しくご紹介いたします。

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一般的な電池の種類と寿命について

電池の寿命は時計のタイプによっても異なってきますが、電池の種類でも変わってきます。
腕時計の電池には、基本的に「酸化銀電池」と「リチウム電池」が使用されます。
多くの腕時計では酸化銀電池が使われますが、リチウム電池の方が容量が大きいので、デジタル時計など電池消耗の激しいタイプの時計にはリチウム電池がよく使用されているのが現状です。

どちらの電池にももちろん寿命はあり、時計の使い方によってその寿命にも差が出てきます。
容量の大きなリチウム電池だとしても、ストップウォッチ機能を多用したりしていると電池寿命は短くなってしまいます。
これらの電池以外にも、充電することで電池交換が不要なソーラー時計もあり、このタイプは定期的にきちんと充電をしてあげていれば、電池自体は半永久的に使用可能な特殊なタイプだといえるでしょう。

買って間もない時計が止まってしまっても、不良品とは限らない

新品の腕時計を購入したにもかかわらず、短期間で電池が切れて時計が止まってしまうといったことがあります。
新品で購入してすぐに止まってしまいますと、故障や不良品の疑いを抱きがちですが、腕時計に関してはそうとも限りません。
その理由は、時計は新品でも電池まで新品とは限らないからです。

もちろん使用済みの電池が使われているわけではありませんが、モニター電池と呼ばれる電池が関係しているのです。
モニター電池とは、時計が工場で生産されたときに動作確認で入れられた電池のことをいいます。
基本的に動作確認で入れた電池は取り外すことはなく、そのまま出荷され店頭で販売されます。
そのため動作確認された時点から電池の消耗が始まっており、購入した時点ではすでにある程度電池は消耗しているのです。
つまり動作確認されてから出荷までの保管期間が長かった場合や、店頭でなかなか売れず在庫として保管されている期間が長かった時計は、電池がかなり消耗されている状態なのです。
そのような状態の時計を購入した場合は、新品の時計だとしても購入後短期間で電池切れとなることは十分に有り得ます。

メーカーにとってはこのようなケースは想定済みですので、モニター電池の寿命期間に関しては保証していません。
しかし多くの場合は販売店が最初の電池交換を保証していますので、すぐに電池切れを起こしても無償で交換してもらえる可能性があります。
購入後短期間で時計が止まってしまっても、慌てずまずは電池交換を試してみましょう。

電池交換したばかりなのに寿命が短い場合

電池交換をしたはずなのに、短期間でまた電池切れになってしまうというケースもあります。
これはほとんどの場合、電池の不良ではなく時計側に原因があると考えられます。

時計は機械なので長年使用していますと、どうしても劣化してしまう部分が出てくるのです。
古い時計の場合は、動力部の油が切れかけていることが考えられます。
油がなくなってきますと動きが鈍くなりますので、普通に動かすだけでも電池の消耗が激しくなってしまうのです。

極端に電池の寿命が短くなったと感じるのであれば、オーバーホールも検討する時期だといえます。
長年使用していますと、小さなゴミが内部にたまっている可能性もありますので、そういったことも含めて一度オーバーホールしてみますと、新品時のような電池寿命に回復する可能性は十分にあります。

特に故障するような扱いをした覚えがないにもかかわらず、電池寿命が短くなったと感じるのであれば、動力部の経年劣化の可能性が高いので時計修理専門店などに相談してみることをお勧めします。

電波ソーラー時計なのに止まってしまう理由

電波ソーラー時計だから、半永久的に使えると思っている方も多いようですが、何もしないで半永久的に使えるというわけではありません。
電波ソーラー時計でも正しく保管・使用をしませんと、時刻が狂ってきたり、表示されなくなったりすることも起こります。

特に故障の原因となるようなことをしていない限り、こういったトラブルは電池の充電切れの可能性が高いと考えられます。
ソーラー時計でも充電が切れますと、電池切れと同じ状態です。
ではなぜ充電切れになるのかといいますと、多くの場合は日の当たらない場所で保管していることが原因となります。
ソーラー時計は、保管場所や定期的な充電にも気を遣わなければならない時計なのです。

ソーラー時計の正しい充電方法

ソーラー電池はその性質上、日光に当てて充電する必要があります。
日光以外にも室内の蛍光灯などでも充電は可能ですが、その充電力は大幅に下がりますので、日光で充電することが最も効率良く充電する方法です。

明るさはlx(ルクス)という単位で示しますが、太陽光の場合真夏の直射日光で約10万lxとなり、曇りの日で約1万lxとなります。
蛍光灯の場合は一般的なオフィスなどで約700lxで、30W蛍光灯から5cmの近距離で約1万lxとなります。
このように数値で見ても、日光に当てて充電することが最も効果的な充電方法であることは明白ですので、天気の良い日の窓際に5~6時間時計を置いておけば、十分な充電ができるでしょう。
ある程度充電できれば時計は動き始めますが、動き始めたからといってすぐに充電をやめてしまうと、またすぐに止まってしまいますので、注意が必要です。

ソーラー時計を着用して外出するときは、服の袖で時計が隠れないようにすることで、充電の減少を最小限にするということも意識してみると良いでしょう。
ソーラー時計は月に一度くらいのペースで、窓際にて5~6時間の充電をしてあげることがお勧めです。

時計の電池を抜いた状態で保管した場合のリスク

ほとんど使うことのない腕時計の保管方法にも、注意が必要となります。
使わないからといって、寿命が切れた電池を時計に入れたまま長期間保管していますと、電池の液漏れの原因となってしまいます。

そこで電池を抜いた状態で保管するという人もいるのですが、この方法も一概に良い方法とはいえないのです。
時計修理店などに依頼すれば電池を抜いてもらうことは可能で、もちろん電池の液漏れを防ぐといった意味では有効な手段ではありますが、長期間動かさない状態で時計を保管しておきますと、内部の油が固まってしまい使いたいと思ったときに、電池を入れても動かなくなってしまう恐れがあるのです。
動いたとしても、油が固くなってしまっているため動力部の動きは鈍くなっており、電池の消耗が激しくなってしまう恐れがあります。

使い始めたときの時計の動きのことを考えますと、あまり使わない時計だとしても電池交換をして動いている状態で保管しておくことも、選択肢となってくるでしょう。
こういったリスクをしっかりと理解した上で、時計の保管方法を考えることが大切です。

まとめ

腕時計は保管方法やその環境によって、電池の寿命にまで影響が出てくる繊細な機械です。
保管方法やメンテナンスにまで気を遣っている人は、多くはいないかもしれませんが、こういった少しのことで時計自体の寿命にも影響が出てくるのも事実です。
大切な時計を少しでも長く使用したいのであれば、自分の時計の特徴を理解し、ふだんから気にかけてあげることが大切になってくるでしょう。

時計修理をお考えの方は、お気軽にご相談ください