旋盤でできる修理~天真の制作

完成した天真

機械式時計は1日に何秒かずれていくことがあります。
この1日の時間のズレを精度といい、精度は良い状態のものでも1日に数秒の誤差は出てきてしまうのです。
ではどうすれば精度を安定させることができるのでしょうか。

要因は様々ありますがその中でも時計の内部パーツのテンプという部品が関係してきます。
時計の心臓部ともいわれるほど重要なパーツで運行速度を制御する役割があります。

テンプと天真

そのテンプの中心にある軸が天真(てんしん)というパーツで回転する部品の軸になる所です。
こちらが一番重要になってくるのです。

この天真が使っていくうちに歪んできたり、削れてどんどん細くなって折れてしまったり。
折れたり歪んだりすると時計が精度を悪くし、動きを止めてしまいます。
落下とかの衝撃で折れてしまうということも…。

そうなるとパーツ交換が必要になるかとは思われますが、メーカーに修理を出した場合、天真を含めた関連部品の全交換対応で高額、もしくはパーツがないものは修理不可と判断される場合もあります。

ではどうしたら良いのでしょうか?
実はそれ以外にも方法があり、旋盤(せんばん)をという機械を使って、天真を制作するやり方もあるんです。

今回は方法の1つ天真制作をテーマに作業の様子を見ていきましょう。

天真の制作

ロレックスのテンプ

こちらはロレックス。
裏蓋を空けてみると見るからに古そうでパーツが入手できない時計です。
それではこの赤丸のテンプを取り出して、天真を見てみましょう。

ロレックスの折れた天真

見えにくいですが、こちら天真が折れています。
これでは使いものにならないので天真を制作しなければいけませんね。

この旋盤(せんばん)をという機械を使って、天真を作っていきます。
旋盤に素材をセットした写真です。ボールペンと見比べてください。

ボールペンと天真のサイズ比較

なんとボールペンの先端より小さいんです!

流石に肉眼では厳しいほど小さなパーツなのでこのように顕微鏡を覗きながら作業します。
顕微鏡で見ているお手元が右の写真です。繊細な作業ですよね。

顕微鏡を覗きながらの修理作業

このようにして金属の棒材から必要な形状になるように削り出しで加工していきます。
最終的に0.01mm付近の細さになる部分もあります。
因みに、日本人女性の髪の毛の太さ平均は約0.08mm!なんと髪の毛よりも細いのです!!

そして…
完成した天真がこちらになります!!

完成した天真

因みにこの完成した天真、何かの上に乗っています…。
その何かとは…

10円玉と天真のサイズ比較

10円玉でした!
天真は10円玉に描かれている平等院鳳凰堂よりも小さいんです!

こんなにも小さなパーツを制作する時計職人さん凄いですよね!?
ALLU WATCH REPAIRでは、今回ご紹介した作業以外にも、もっと緻密な作業が可能です。

もし、ご自身でお持ちの時計で遅れや止まりが出た、針の動きがおかしいなど、少しでも気になることがあればご相談をお受けいたしますので是非お気軽に申し付けください!

こういった修理作業により、様々な時計を復活させていますので、ALLU WATCH REPAIRの時計技師にお任せください。

時計修理をお考えの方は、お気軽にご相談ください