腕時計の磁気抜き方法と磁気帯び対策を紹介

腕時計が磁気帯びしてしまうと自分で磁気抜きするのは難しいため、対処に困っている方もいらっしゃるかと思います。
スマートフォンやパソコンなど、私達の身近に時計の磁気帯びとなる原因は多くあります。磁気帯びを放置してしまうと、腕時計の状態が悪化し精度不良や不動などの不具合につながるため、早急な対処が必要です。この記事では、腕時計の磁気帯びの原因や、磁気抜きを防ぐ方法を解説します。

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時計の「磁気帯び」とは、時計が磁気帯びする原因

時計と磁石
スマートフォンやパソコン、電子レンジやイヤフォンなどの磁気を発している製品に腕時計を近づけると、磁気帯びしてしまいます。これは腕時計のムーブメントの多くが、金属でできているため起こります。金属は、強い磁気が近くにあるとその磁気が移り、磁化してしまう性質を持っています。そのため、磁気を発する製品の近くに腕時計を置くと、内部のパーツが磁化してしまい正常に動作できなくなってしまいます。

  • アナログ式クォーツ時計は磁気の影響を受ける
  • 機械式時計も磁気の影響を受ける
  • デジタル式クォーツ時計は磁気の影響を受けない
  • アンティーク時計は磁気帯びしやすい

アンティーク時計は、とくに磁気帯びしやすいと言われています。現在、腕時計が磁気帯びするということは、多くの人に認識されています。しかし1950年代より前は、磁気帯びに関しての認識がされていなかったため、当時の腕時計には磁気帯び対策が施されていません。1956年に、耐磁性に特化したロレックスの初代ミルガウスが登場したものの、ほとんど需要がなく生産本数が少なかったことは、時計愛好家の間では有名な話です。

現在では、最新の技術を駆使した耐磁性の高い腕時計が販売されています。しかしアンティーク時計は、このような磁気帯びの対策はされていないため、アンティーク時計を使う際は、くれぐれも注意して取り扱うようにしましょう。

磁気帯の症状事例

また、磁気を帯びてしまった時計は下記のような症状が出ることがあります。心当たりのある方は、メーカー窓口・修理店で相談してみましょう。

  • 時刻を合わせてもすぐずれてしまう
  • 電池を新品に交換しても時計が動かない(アナログクォーツの場合)
  • ゼンマイを巻いても時計が遅れてしまう(機械式時計の場合)

基本的に、自然に磁気が抜けることはほとんどありません。帯磁した腕時計を放置すると、帯磁が進むことになり症状が悪化していく原因となります。最悪の場合、内部破損につながることもあります。そのため、なるべく早く磁気抜きを行うようにしましょう。

時計の磁気抜きを行う方法

時計
時計の磁気抜きは、自分で行う方法と専門業者に依頼する方法があります。磁気抜きは専用のツールを購入すれば自分でもできますが、やり方を間違えるとより磁気をためこんでしまうため、慣れない方は業者に依頼することをおすすめします。具体的に、磁気抜きのやり方を見ていきましょう。

時計の磁気抜きを自分でする場合

磁気抜きをする前に「自分の腕時計が磁気帯びをしているのか?」を確認したい方もいらっしゃるかと思います。そんな方におすすめなのが、方位磁針で調べる方法です。磁気帯びした腕時計は、磁石の性質を持っているため、方位磁針を近づけると、何らかの反応を示します。
磁気抜きをする際に必要となるのが、市販の「磁気抜き器」です。別名「消磁器」や「脱磁器」とも呼ばれており、安価なものから業務用のものまでさまざまなタイプがあります。やり方は磁気抜き器によって異なりますが、簡易的なものでは下記のようになります。

➀腕時計を磁気抜き器に近づけてボタンを押す
➁ボタンを押したまま、ゆっくりと腕時計を離していく
➂腕時計が十分離れたら、ボタンから手を離す

これを何度か繰り返すことで、徐々に磁気が抜けていきます。
ただし時計に残った磁気の測定はできないため、方位磁針を近づけるなどして調べる必要があります。また、磁気抜きはやり方を間違えると時計の状態を悪化させてしまうため、くれぐれも注意して行うようにしましょう。

なるべく費用をかけたくない、時計の扱いや修理に慣れているという方以外は、できるだけ専門業者に磁気抜きを依頼するようにしましょう。

業者に磁気抜きを依頼する場合

磁気帯びした時計の磁気抜きは、専門業者への依頼がおすすめです。自分で磁気抜きを行う場合、どの程度磁気が時計に残っているかの判断を個人で行うことは困難です。業者で行う場合、症状が軽い場合は磁気抜きの時間もかからず料金も数千円で済みます。

しかし症状が重い場合は、磁気帯びの状況を把握するためにムーブメントを分解し、一つひとつのパーツの磁力を計測しなければいけません。そのため時間もかかり料金もオーバーホール代金と同じくらいの価格がかかります。自分でも磁気抜きはできますが、失敗すれば磁気抜き器の費用や修理代が更に重なってしまうため、業者に依頼するのが安心と言えるでしょう。

時計の磁気帯びを防止する方法

磁気は目に見えないため、気づかない間に時計が磁気帯びしてしまうことがあります。時計を磁気帯びさせないためには、日常生活で注意するべきポイントを抑えておくことが重要です。ここでは時計の磁気帯びを防止する方法を2つご紹介します。

磁気を発する製品を近づけない

1つ目は、磁気を発する製品に腕時計を近づけないこと。少なくとも5センチ以上は離すようにしましょう。
ただし、製品によって発している磁気の強さは異なります。とくにIH調理器は磁気が強いため、5cmでも磁気帯びしてしまうため気をつけましょう。磁気を発する製品は、スマートフォンやパソコン、モバイルバッテリー、マグネット式の開閉システムを持つ製品など私達の身近に多数あります。

  • ノートパソコンの上に腕時計を置く
  • スマートフォンと一緒に腕時計をポケットに入れる
  • マグネット式留具のついた鞄の内ポケットに腕時計を入れる

こうした何気ない行為も、磁気帯びの原因となります。磁気帯びを防ぐためには、こうした磁気を発する製品を意識するだけでも十分な対策となります。

時計の保管場所に注意する

時計の磁気帯びを防ぐためには、保管場所にも注意が必要です。腕時計の保管場所の近くに磁気を発する製品がないか確認しましょう。腕時計の隣にスマートフォンやモバイルバッテリーを充電していないか、磁気ネックレスと同じ場所に保管していないかをチェックしておきましょう。

また、磁気帯び以外にも時計の状態を良好に保つために、下記に当てはまる場所は避けるべきです。

  • 高温多湿な場所
  • 乾燥剤や脱臭炭のある場所

腕時計は、温度変化に弱いため高温になる場所では内部部品に悪影響を及ぼす可能性があります。

同様に、腕時計は水気が大敵なため、湿度が高い場所は絶対に避けるようにしましょう。湿度がないほうが良いと考え、一緒に乾燥剤や匂い防止のために脱臭炭を入れて保管する方もいらっしゃいますが、これはNGです。このような製品は、時計内部のオイルまで乾燥させてしまいます。オイルが乾くと部品同士が摩耗し、不具合へとつながってしまいます。

腕時計の磁気抜きはALLU WATCH REPAIRへ

腕時計の磁気帯び、磁気抜きについて解説しました。磁気を発する製品に腕時計を近づけると、磁気帯びしてしまうためなるべく近づけないようにしましょう。また、磁気帯びした場合は、自分で直すよりも業者に依頼したほうが安心かつ確実です。

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時計修理技能士1級を取得した技師や、WOSTEP認定時計師やメーカー出身者など経験豊富な時計技師が細部まで丁寧に拝見したうえで、お客様の大切な時計を修理します。磁気抜きも多数実績がありますので、安心してご依頼ください。

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