パソコンやスマートフォン、テレビや電子レンジなど、私たちの身の回りはさまざまな電化製品であふれています。生活必需品となっている製品も少なくありませんが、これらは磁気を発しています。人体にはほぼ影響がありませんが、時計にとっては話が別です。実は少しの磁気でも、時計へ多大な影響を与えることがあります。
磁気が時計に影響する
テレビやスマートフォンなど、磁気を発している製品に時計を近づけると、磁気を帯びてしまう場合があります。そして、微少な磁気であっても時計の動作に支障をきたしてしまう可能性があります。内部の部品が磁気の影響を受け、時計に搭載された他の機能が使えなくなるおそれもあります。
「磁気帯び」とは
このように、時計が磁気を帯びてしまった状態を「磁気帯び」と言います。磁気を発する製品に近づけることが原因ですが、特に機械式時計は影響を受けやすいので注意が必要です。
金属が磁化する
時計はさまざまな部品で構成されていますが、その多くは金属が使われています。金属は磁気の影響を受けますと、磁石のようにくっついてしまう性質を持つのです。
これを磁化と呼びますが、時計の部品が磁化してしまいますと、互いにくっつこうとするため、部品の位置がずれたり、動かなくなったりする可能性があります。特に時計は精密な造りの製品が多いため、少しの磁気が多大な影響を及ぼすのです。
アナログのクォーツ時計への影響
もしアナログのクォーツ時計が磁気を帯びてしまいますと、内部にあるモーターが影響を受けてしまいます。クォーツ時計では、磁石の性質を使ったモーターが取り付けられており、磁気に影響により時間の進み・遅れが生じるほか、止まってしまうおそれがあります。
デジタル式クォーツ時計は影響しない
アナログクォーツ時計は磁気の影響を受けますが、デジタル式の場合は磁気を発する製品に近づけても問題ありません。磁気の影響を受ける部品が無いため、他の時計ほど気にする必要はないと言えます。
機械式時計が受ける磁気の影響とは
機械式時計は磁気の影響を受けます。部品の多くが金属で作られており、磁化してしまうためです。テンプの動作に支障をきたし、時計の進みや遅れの原因となります。後述の磁気抜き作業を検討しましょう。
磁気を発する製品
例えば、以下のような製品が磁気を発しており、時計が影響を受けてしまいます。
- スピーカー
- スマートフォン
- 磁気ネックレスや磁気を使用した健康器具
- パソコンなどのACアダプター
- 電磁調理器
他にもさまざまありますが、時計をこれらの製品の近くに置きますと、磁気を帯びてしまうおそれがあります。
磁気帯の症状事例
また、磁気を帯びてしまった時計は下記のような症状が出ることがあります。心当たりのある方は、メーカー窓口・修理店で相談してみましょう。
- 時刻を合わせてもすぐずれてしまう
- 電池を新品に交換しても時計が動かない(アナログクォーツの場合)
- ゼンマイを巻いても時計が遅れてしまう(機械式時計の場合)
磁気抜き(脱磁)が必要に
もし時計が磁気を帯びてしまったら、磁気抜き作業が必要になります。脱磁と呼ばれており、時計から磁気を抜き取る作業を指します。
脱磁は時計本体を分解し、部品を一つ一つチェックし磁気を抜きます。小さな部品でも磁化している可能性があるため、磁気を抜き取るには非常に細かな作業を行っていきます。磁気は目に見えないため、特に部品の磁気帯びチェックが重要になります。
家庭でも市販の磁気抜き器を使用すれば脱磁できます。しかし、磁気抜き器では、逆に磁気を付加することも可能なためでは手順を間違えますと、逆に磁気を帯びてしまうリスクがあります。このため、メーカー・修理店へ依頼するのが良いでしょう。
磁気は目に見えない
時計を方位磁石に近づけますと、針が大きく振れる場合があります。このような症状が出たら、時計が磁気を帯びていると判断できます。しかし、磁気は目に見えず、様々な電化製品の影響を受けることから、方位磁石を使うなどの手段を取らない限り判別が困難です。
身近なものでは、スマートフォンやスピーカー、果ては磁気を使った健康器具の影響も受けるため、磁気帯びかどうか判断が難しいとも言えます。
他の不具合と比較して、発見が困難な不具合と言えるでしょう。
磁気を発する製品から離す
時計が磁気を帯びてしまうと磁気抜きが必要になります。なるべく磁気を発する製品に近づけないよう、日頃から注意しておくと良いでしょう。
磁気の力は距離によって弱まりますので、磁気を発する製品から離せば影響が少なくなります。耐磁時計は5cm以上(JIS1種以上)、非耐磁の時計は10cm以上離せば影響をほぼ受けないとされていますが、スマートフォンなど身近な機器のそばには時計を置かないように気をつけましょう。
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