骨董価値のある骨董翡翠

希少性が高く、骨董の価値がある翡翠の特徴と真贋対策について

翡翠製品の骨董としての価値を見いだすには、まずは他者と共有できる市場価値をつかむことです。また、翡翠原石としての価値を判断することも大切です。
ただし良い品質と思われるもので格安の掘り出し物があったら、偽る意図をもった模倣品と疑わなくてはいけません。
骨董としての良い品(本物)と価値のない品(偽物)の比較と、見分け方、確実に本物を選ぶ方法についてご紹介します。また購入(選ぶとき)の注意や安全な購入場所、避けた方がよい購入場所についてもご案内します。

本物と偽物の翡翠の価値と、骨董としての価値と特徴

骨董の価値

骨董には2つの意味があります。
1つは、希少価値のある古美術や古道具類のことを指しています。いわゆるアンティーク品といわれるもので、骨董市場で需要があることが物の価値を左右するのが特徴です。
もう1つは、古い物や古い考え方などを卑下する言い表し方で使われます。

骨董の世界では、前述の希少価値を表す骨董を大事にしています。でも本来の意味とは違うかもしれませんが、後述にある「古くて使い物にならない」という考え方も大事なことです。コレクターの中には、市場にニーズがないのに「古くて良いもの」として、かたくなに収集してしまうケースが往々にしてあるものです。

単なるコレクターの趣味に走ってしまった収集品は、自身がすばらしいと思えても市場では骨董としての価値を認めていないこともありますので、一定の価値観を共有できることが骨董の価値を決めるうえで大事になってきます。

骨董として価値があるジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)

翡翠は何万年・何十万年の歳月をかけて生成された鉱物ですから、原石の古さ(年代)や掘り出した年代に骨董としての価値はありません。
原石の価値とは、鮮やかなエメラルドグリーンの翡翠や珍しいとされるロウカンなど、その色合いやサイズによって大きく変動することになります。

一方で翡翠製の骨董とは、加工した年代が古いものが前提となります。
どこまでさかのぼるかは加工された品物によって違いがあり、一概に“この年代”ということはありません。
特に古道具類はそれが使われた時代を反映している品でもありますので、芸術的要素に加えて希少性(例えば戦火で焼失して数が少ない)を考慮することで、価値ある骨董と判断することになります。

骨董として翡翠の価値の決め手は品質

もうひとつの条件は品質です。
翡翠にはジェダイト(ヒスイ輝石/硬玉)とネフライト(軟玉)の2つのタイプがあり、現在ではジェダイトが本翡翠とされていますが、翡翠製品最大の市場をもつ中国製の中には、ネフライト製のものが多く存在しています。

もともと中国国内で採掘されていた翡翠はネフライトでしたので、故意にネフライトを本翡翠(ジェダイト)として用いていたわけではありません。
世界市場になってからジェダイトとネフライトに違いのあることが分かり、結果として昔の中国製品は鉱石としての価値が低いネフライトだったと判定されたわけです。

ですから、翡翠製品の中でもサイズが大きな古道具類については、ジェダイトの真贋が価値を判断するうえで重要なポイントになります。もちろん、骨董としての価値を図る大きな要素でもあります。

ただしネフライトであっても、往時の中国ではすばらしい作品が多く残されていて、芸術的価値が見逃せないほどのものがあります。

また透明度の高い白色のネフライトは「羊脂玉(ようしぎょく)」と呼ばれる最高級品とされていて、本翡翠のジェダイトよりも資産価値が高いとされている特級品となっています。

資産価値のある翡翠を見極めるポイント

翡翠の価値を高める色

世界各国で人気のある宝石「翡翠」ですが、特に人気が高い地域は中国です。
そのため中国の人々の市場購入価格が、世界の翡翠価格を決めているといっても過言ではありません。
もちろん国や地域によって嗜好(しこう)は違いますし、色合いやデザインは個人によって違いますので、骨董市場における価値観は個別に見ていく必要はありますが、大規模な市場の中国は常に考慮する必要があります。

ただ日本と中国では、翡翠の一部について価値観の違いもあります。特に違うのが翡翠の色です。

中国ではロウカンと呼ばれる青竹のような青(緑)を最高色としていますが、中国以外の東南アジアには薄い緑色が人気となっていますし、日本では深い緑色が人気となっています。
またヨーロッパではファッション性の高い黒色や赤色、または紫色なども人気となっていて、民族や地域によって翡翠の価値(人気)に違いが生じてきます。

同時に質も大きな判断材料となります。
もともと翡翠とは無色透明な結晶です。その結晶が集まってひとつの石の塊となるとき、半透明な白色になります。
また透明な結晶部分に不純物が混ざることでさまざまな色がつき、色具合によって価格は大幅に違ってきます。
特に翡翠色呼ばれる深緑色、白色が価値が高いとされる代表的な色となっています。

骨董としての翡翠の価値

翡翠の中で最も人気がある半透明の深緑色のものや、翡翠の原色である半透明な白色のものは、石の中をよく見ますと、内部の傷や透明度が失われて曇っている場合があります。

内部の傷は翡翠の価値を下げてしまいますし、また色にムラがあると同じように価値は低くなり、それらの素材を使った翡翠製の骨董品も評価は低く見られることになります。

それだけ価値を左右する色合いですから、人工的に補正する技法があることも当たり前のことです。
色ムラをなくすために一定の色合いに染色するトリートメントや、内部の傷をなくすために再加熱するエンハンスメントなどを施して、完全品のような翡翠を作り上げてしまうことができます。

特に大きなサイズが必要な古道具類の場合には、この人工的に補正した翡翠が使われていることがありますので注意が必要です。もちろん補正翡翠の価値は最下層になり、翡翠原石から見てみますと、偽物との誹り(そしり)を受けることもあるので注意が必要です。

本物しかないはずなのに、偽物翡翠が待ち伏せる

翡翠に限らず骨董の常といわれる贋作

傷や色を人工的に補正した翡翠の資産価値としては最下層になりますが、サイズや彫刻技法によっては価値があると判断されることもあります。

補正品として明示されていれば問題はなく、きれいな品として使うことはできますが、「骨董の価値」で考えれば、残念ながら資産的価値はないと判断されます。もちろん補正したことを明示せずに、価値ある骨董として市場に流通させれば、悪意があろうとなかろうと無価値の贋作に分類されます。

同じようなケースでは、判定が難しいジェダイト(硬玉)とネフライト(軟玉)の違いが表示されていないものです。時代をさかのぼりますと、日本文化の大半は中国大陸からもたらされたものが多く、それをアレンジしたものが日本文化へとつながっていきます。

例えば仏教はインドから中国を経由し日本へと入ってきましたが、実際に日本に入ってきた経典は漢字でした。つまり中国語に翻訳されたものを経典とし、中にはインドの神様と中国の神様を一緒にして仏像として拝むようになったほどです。

ジェダイトはホンモノ?ネフライトはニセモノ?

当時の中国で貴重とされたネフライト(軟玉)は、日本でも珍重されて宝物として扱われます。また翡翠に見事な細工が施された装身具や道具類は、実用的でありながら特別なときにだけ使用する、まさに逸品だったわけです。

ところが同じ時期のヨーロッパでは「ジェダイトはホンモノ・ネフライトはニセモノ」と鑑定され、ネフライトの価値が低下していきます。
世界基準(グローバルスタンダード)では偽物と認定されたネフライトですが、当時最大の需要国である中国や、その流れをくむ日本国では偽物という認識はありませんでした。

ネフライトを現在の資産価値で見ますと、一部の品を除外して当時のような価値はありません。つまり現在の市場でネフライトをジェダイトと偽る目的で「翡翠」と表示することはできませんし、行えば無価値の贋作扱いに分類されます。

資産価値の高い本物の翡翠と、無価値な偽物を見分けるポイント

正規販売店が安心できる

たくさんある骨董の流通ルートで、一番安心できるのは正規の販売店から購入することです。
多くの人が利用するお店は「店の信用」にかかわるニセモノ販売を嫌います。当然、独自に鑑定して安心できる品物だけを、適切な価格に設定して販売します。

しかしながら、マニアや購入者は「掘り出し物」を見つけたいと、望むことが多いことも事実です。骨董マニアが羨望する当時のデザインや彫刻技法をまねて、しかも補正した翡翠を使っているとプロでも見分けるのが難しいときがあります。

もっともプロの場合には見るだけではなく、専門的知識と専用器具を使って科学的に鉱石鑑定をして、彫刻技術を裏付ける他の証拠として篆書(てんしょ)や雅印なども勘案して判断することになります。

ネットオークションは贋作が潜んでいる

そもそも正規の販売店は本物しか扱いませんので、偽物は個人取引が流通ルートになります。骨董コレクターにとっては、個人宅に眠るお宝が発見できれば、多少は値が張ってでも手元に置きたいと考えて、結果的に偽物が流通し、法外な値段で偽物をつかむことになるのが常道です。

もちろん骨董マニアや情報通であっても、個人宅にお邪魔して購入する機会はありません。そこで個人間で取引されるネットオークションが抜け穴となってしまいます。
商品案内には「真贋は不明」とか「鑑定は受けていません」などと注意書きが付けられていても、本物と思い込んで購入してしまうわけです。

翡翠と思わせる商品名称

翡翠と書かれている「アフリカ翡翠」「オーストラリア翡翠」「インド翡翠」、ジェダイト(本翡翠)を連想させる「コリアンジェイド」「アメリカンジェイド」など、一見すると翡翠を思わせる名前の物があります。
これらは偽名称(フォールスネーム)としてつけられたものですので、翡翠としての価値は期待できないことになります。

これらの名称で販売しているお店は、疑ってかかる必要があります。
翡翠の産出場所のような名称を使っているのですから、何も知識がなければ本翡翠と思って購入してしまうはずです。
例外的に「これは本翡翠ではありません」というような注意書きが掲げてあれば安心ですが、実際には見かけることはありません。

翡翠製品の偽物を見抜く方法は簡単

専門家がじっくり鑑定している正規の販売店に、一目で偽物と分かるようなものが持ち込まれることはなく、真贋を確かめるすべがない個人間の取引で「格安のホンモノ」をつかまされることになるわけです

翡翠製骨董品の偽物を見抜く方法は簡単です。偽物は年代や知的財産(デザイン)を偽るよりも、鉱石を加工して資産価値を高める手口が多くなりますので、鉱石の専門的知識があれば簡単に見分けることができます。

もっとも専門的な知識があっても、ルーペなどの専門的な器具を使わなければ鑑定することはできませんので、自分の代わりに鑑定してくれる正規の販売店で購入するだけで、偽物をつかませられる心配はないのです。
ちなみに本物には「鑑定書」を付けていることが多く、その鑑定書を確認するだけで、翡翠の知識がない人でも容易に真贋を確かめることはできます。

希少性が高い骨董の価値と共通する、翡翠の骨董価値基準

本物の翡翠かを確認すること

翡翠といえば世界的に中国製品が有名です。
細工技術のすばらしさと独創的なデザインが魅力的で、骨董マニアであれば1品だけでも手元に置いておきたいと望むものでしょう。
ただ心配なのは贋作です。中国製の美術品の中では偽物は本物以上に有名で、いかにだまされないでホンモノをつかむか、中国人でも心配なようです。

中国では、一度日本に出て行ったものを再購入するのが一番確実という考え方があるようです。
日本の真贋対策は一目置かれているようで、特に「鑑定書」が付いているものから選ぶことです。そして日本国内の日本の業者から購入することが、その後の価値をも保証してくれます。

ちなみに中国では2007年から、海外への文化財持ち出しが厳しく制限されています。
現在では1911年以前のものは持ち出し禁止ですから、もしそれ以前の中国製の骨董があれば、希少価値の高さからいずれは基準値以上で売却できることになるはずです。

翡翠の骨董価値を知ること

さまざまな色を持つ宝石として有名な翡翠ですが、やはり価値に違いがあります。高価なものほど希少価値が高く、またサイズも限られていることから、大型のサイズの骨董であればとてつもない価格が付くはずです。

ここで大事なことは原石としての価格を知っておくこと、そして加工された製品としての価値を知り、最終的に骨董としての価値を確認することです。

翡翠の場合の骨董の価値は、最初に「鑑定書」が付いていること、2番目が「翡翠原石の価値」を知ること、3番目が「加工技術の価値」を知ること、この3つを勘案して骨董の価値を判断することになります。

骨董の価値は市場の相場にあります。買値(仕入れ値)と売値(仕入に利益を加算)を見極めますと、おのずと骨董の相場が見えてきます。この相場が骨董の「基準価格」となり、それをどれだけ引き上げるかは、新たな買い手や品物の種類によって変わってきます。