富本銭と和同開珎の豆知識|日本最古の古銭はどちら?
日本の貨幣史における二つの重要な古銭、富本銭と和同開珎はそれぞれ異なる時代背景と価値を持ち、収集家や歴史愛好家の間で高い関心を集めています。本記事では、これらの古銭が持つ独特の魅力と歴史的意義を探り、それぞれの古銭の違い、現在の買取相場の市況についても解説します。
富本銭の基礎知識
富本銭は、日本の貨幣史において非常に重要な位置を占める古銭です。7世紀後半、古代日本の大和国飛鳥(現在の奈良県)で製造されたとされる富本銭は、日本最古の公的な銅製の鋳造貨幣として知られています。683年(天武天皇12年)頃に作られたと推定され、和同開珎よりも古いとされています。円形コインの中央に四角い穴がある「円形方孔」の形状をしており、素材である銅よりも高い価値を持つ「名目貨幣」として使われていました。
富本銭の発行背景
富本銭が登場する以前、通貨としては「無文銀銭」と称される私製の銀貨が流通していました。その後、富本銭の生産が始まることで、古代の日本政府が正式に貨幣を製造する体制に移行しています。無文銀銭には偽造の痕跡があり、原料の銀自体の価値が貨幣の値打ちとなっていたと考えられています。これに対し、富本銭はその製造素材である銅の価値を超える「名目上の価値」を持つ貨幣として使用された点が大きな違いです。
富本銭の形状と意味
富本銭の特徴は、直径が約24.4mm、中央の四角い穴は縦に約6mm、横に約6.5mmとわずかに長方形に近い形状をしており、その厚みは約1.5mm、重量は約4.3gから4.6gに及びます。このデザインは、中国の開元通宝に倣ったもので、円形は天界を、中央の方孔は地界を象徴しているとされ、中国の宇宙観を反映しています。また、「富本」という名前は、中国の古典から引用されており、「貨幣は国とその民を豊かにする根本である」という意味が込められています。
富本銭の発見
1999年に飛鳥時代の遺跡である飛鳥池遺跡から富本銭が見つかり、日本貨幣史における重要な発見となりました。この発見により、富本銭が和同開珎よりも古い、683年頃に鋳造された可能性が非常に高いことが示されました。富本銭が鋳造された目的は未だにはっきりしておらず、「呪術やおまじないに使われた」との説がある一方で、実際に流通していた可能性を示唆する説も存在し、その実態は謎に包まれています。
富本銭と和同開珎の違い
ここでは、富本銭と和同開珎の主な違いについて詳しく掘り下げていきます。
日本最古の貨幣:富本銭
富本銭は、日本最古の貨幣としての位置づけを持っています。7世紀後半に古代日本の大和国飛鳥(現在の奈良県)で製造されたとされるこの銅製鋳造貨幣は、683年(天武天皇12年)頃に作られたと推定されています。円形コインの中央に四角い穴が開いた「円形方孔」の形状をしており、素材である銅よりも高い価値を持つ「名目貨幣」として使用されました。しかし、富本銭の流通は非常に限定的だったと考えられており、主に特定の地域や目的でのみ使用されていた可能性が高いです。
日本初の流通を目的とした貨幣:和同開珎
一方、和同開珎は708年に発行され、「日本初の流通を目的とした本格的な貨幣」とされています。和同開珎の発行は、日本の貨幣経済の基礎を築いたとされ、より広範囲にわたる流通が確認されています。この貨幣は、唐の開元通宝をモデルにしており、日本の貨幣制度における中国の影響を示す重要な証拠の一つです。和同開珎の発行により、日本では貨幣による経済活動が本格化し、物々交換が主であった経済から貨幣経済への移行が加速されました。
富本銭と和同開珎 : 主な違いのまとめ
富本銭 | 和同開珎 | |
発行時期 | 683年頃 | 708年 |
流通範囲 | 限定的 | 広範囲 |
歴史的意義 | 日本最古の貨幣 | 日本初の流通を目的とした本格的な貨幣 |
富本銭と和同開珎の違いを理解することは、日本の貨幣史を深く理解するうえで非常に重要です。これらの古銭は、日本の経済システムがどのように発展してきたか、そして外部の文化がどのように日本に影響を与えてきたかを示す貴重な手がかりとなっています。
富本銭の価値と買取相場は?
富本銭は、683年頃に作られたと推測される日本最古の貨幣であり、その存在は日本の貨幣史において非常に重要な位置を占めています。しかし、その希少性から一般市場に出回ることはほとんどなく、具体的な買取価格や販売価格の相場は存在しません。過去には1000万円の金額がついたこともあると報告されていますが、富本銭自体の価値はまだ明らかになっていません
当時の価値
富本銭の存在は、奈良時代の和同開珎が1枚で1日分の労賃に相当し、白米1升2合が買えたとされることから、当時の価値が非常に高かったことが推測されますが、富本銭自体の価値はまだ明らかになっていません。
買取相場
富本銭が一般の古銭買取業者に持ち込まれることはほぼなく、販売価格や買取価格の相場らしい相場はありません。古銭は富本銭に限らず、保存状態や劣化のレベルによっても希少価値が異なってきます。富本銭は希少性が高い故に、全体でどれくらいの数が発行されていたのかも不明確です。そのため万が一出品されたとしても金額の想定が非常に困難です。過去の状況から考えれば仮に一般で査定を行うと1000万円以上になる可能性が高いでしょう。
和同開珎の価値と買取相場は?
和同開珎は、708年に日本で初めて国内に広く流通した貨幣とされ、その価値と買取相場は非常に高いものとなっています。この貨幣は、平城京への遷都を控えた時期に鋳造が始まり、中国の開元通宝を模したものです。和同開珎の買取相場は、種類や保存状態によって大きく異なりますが、一般的には数十万円から数百万円の範囲で取引されています。
当時の価値
和同開珎1枚は78センチ分の布や約2キロのコメと同等の価値があったとされ、「現在の最低賃金をもとに考えると、当時の和同開珎1枚の価値は7,000~8,000円くらいの感覚」と言われています。このことから、和同開珎が当時いかに価値のある貨幣だったかが伺えます。
買取相場
和同開珎の買取相場は、その種類によって大きく異なります。特に、古和同「笹手」の買取価格は500,000円~1,500,000円、古和同「縮字」は350,000円~1,000,000円とされています。これらの価格は、和同開珎が現在でも収集家の間で非常に人気のある古銭であることを示しています。
投資対象としての和同開珎
最近では、和同開珎が投資対象としても注目されています。ネットオークションの普及により、古銭取引に参加しやすくなり、価格が上昇している背景があります。特に、希少性や保存状態によっては、和同開珎の価格は20年ほど前と比べて25%ほど上昇していると言われています。
和同開珎の種類と価値
和同開珎には「古和同開珎」と「新和同開珎」の2種類があり、さらに12種類くらいの手変わりが存在しています。これらの種類によって価値が大きく変わり、特に希少な種類のものは数百万円の買取相場になることもあります。和同開珎の価値を正確に知るためには、古銭買取業者にメール査定を依頼することが推奨されています。
和同開珎の買取は「なんぼや」へ
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