時計の修理に使う工具や道具について

時計を修理するためには、さまざまな工具や道具を駆使しなければなりません。
自ら時計の修理をする人は少ないと思いますが、時計の修理にどのような工具や道具を使うのか、気になるという人は多いと思います。そのような人のために時計の工具や道具について、詳しくご紹介していきます。
それぞれの時計修理工具や道具がどういった時に必要なのかということが分かるでしょう。

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時計を修理する際に必要な道具や工具は、さまざま

修理用の工具

精密ドライバー

時計の修理にとって、絶対に必要なもの。それは精密ドライバーです。腕時計の修理道具といえばこれ。ドライバーがなければ話になりません。
ドライバーの種類はさまざま。裏蓋を外すためのドライバーや、本体とベルトを外すためのドライバーとサイズもさまざまです。
よく使われるのは1ミリ、1.2ミリと1.5ミリ。ドライバーとネジのサイズがきちんと合わなければネジ穴をつぶしてしまい、そのネジが二度と使えないというトラブルを招いてしまいます。そのためネジとドライバーのサイズがぴったりと合っているのか、というのは非常に重要な要素になります。

固定バイス

ベルトを固定するための、固定バイスという工具もあります。金属製のベルトを分解し、組み立てる時にこの固定バイスがなければ、組み立てることはできません。
金属製のベルトは側面に分解用の穴があるため、このバイスで固定しなければ、うまく分解できません。バイス自体は小型ですが、動かないように重量があるものが多いです。

バネ棒はずし

バネ棒はずしという工具は、一見ドライバーのように見えますが、プラスマイナスのドライバーとは違い、よく見ると特殊な先端になっています。
主にベルトと本体をつなげている、バネ棒という部分を外すために存在するもの。バネ棒を外すためには、絶対に欠かせない工具の一つです。金属製バンドの場合はバネ棒がないこともあるため、別の工具を使わなければならない時もあります。

Cリング抜き

Cリング抜きという工具は、主に金属製のベルトを取り外すために必要です。金属製のベルトは、複数のブロックがつなぎ合ってできています。このブロックを外すためにはCリング抜きを使わなければなりません。つまり、金属製のベルト分解するためには、このCリング抜きは絶対に不可欠なのです。金属ベルトをつないでいるピンを抜くために、存在するといっても過言ではないでしょう。
Cリング抜きをしっかりとピンと合わせて、ハンマーで軽く叩く。これによってピンを張って外すことができます。人によってはこれでバネ棒をつく人もいるのですが、使い勝手は悪いようです。

こじ開け

時計の裏ブタを外すためには、こじ開けと呼ばれる裏ブタを開けるための工具が必要です。このこじ開けを使いこなすのには非常にテクニックが必要で、本体と蓋の間を見極めてしっかりと入れ込むという技術が必要になります。
時計修理において最も重要な工具の一つであることから、強度や繊細さを求められます。そのため、高額なものだと数万円以上するものもあります。安物でこじ開けてしまいますと、裏ブタと本体の間が広がってしまい傷のように見えることもあります。

ピンセット

時計を分解すると小さなネジや小さな歯車がたくさんあるため、素手で持っていますと、なくしてしまう可能性もあります。そんな時に役に立つのがピンセットです。時計の中のものを扱うときは、このピンセットを使って扱わなければなりません。
時計の中のピンや歯車は、とにかく小さいものが多いため、ピンセットは必要不可欠な工具だといえるでしょう。

竜頭チャック

竜頭チャックと呼ばれる工具は、後ほどご紹介するシリコングリスを歯車に塗るときなどに使われるもの。歯車の先をこの竜頭チャックに固定すれば、簡単にシリコングリスをつけることができます。つまり、小さいものを挟んで持ちやすくするための道具が、この竜頭チャックなのです。これがなければ、歯車に手の脂がベタベタついて、シリコングリスを塗る時の効果が弱まってしまいます。

修理用の道具

ハンマー

腕時計には専用のハンマーがあります。このハンマーは、ピンを打ち込む時に使われるもの。ピンでベルトを留めているような腕時計には、このハンマーが欠かせません。
片面が金属で片面が硬い樹脂になっている場合が多く、ピンを打ち込む時は金属側を使い、最後のひと叩きには樹脂側を使います。これはベルトに傷をつけないようにするための配慮。金属側で仕上げを叩いてしまえば、ベルトに傷がついてしまう場合があります。

キズミ

キズミと呼ばれる道具は、その名のとおり時計に傷が入っているかどうかを見るルーペのようなものです。時計を修理する際、傷の確認だけではなくその複雑な構造をチェックするために使う場合もあります。
ネジ穴が非常に小さいので、ドライバーとネジ穴を合わせるときなどにも重宝されます。キズミの中には、メガネに直接取り付けられるものもあります。メガネに取り付けるタイプは片腕を使わなくてすむため、両手を使う作業には必要不可欠です。

裏蓋プレス機

裏蓋プレス機はその名のとおり、取り外した蓋をつけるために必要な道具です。この道具は非常に重量があります。金額も高いものが多く、裏蓋を取り付けるのは修理の工程でも非常に重要な要素になるため、精度が求められます。そのため少しお高くなってしまうのが、裏蓋プレス機なのです。
これを使いこなせるようになるのも、熟練の技がいります。初心者が使ってしまうとプレスしすぎて、時計に傷が入ることもあるようです。

チリ吹き

時計は裏蓋によってしっかりと密閉されていますが、本当にわずかな隙間があるため、この隙間の中にゴミやホコリが入ってしまうことがあります。そのため、裏蓋を開けた時に、時計の内部にゴミが溜まっているということはよくあります。そういった時にチリ吹きを使うことによって、それらのゴミやホコリを吹き飛ばすことができるでしょう。
自分の口で吹いてしまうと唾などが入ってしまう可能性があるため、空気を入れる際はチリ吹きを使いましょう。

シリコングリス

時計を分解すると歯車が出てくるのですが、この歯車がうまくかみ合っていないため、不具合を生じているということがあります。それを改善するために必要な道具が、シリコングリスです。
シリコングリスは自転車などにも使われるものですが、時計は精密機械となるため、さらに精度の高いグリスを使わなければなりません。これらのグリスを歯車につけてあげれば、かみ合わなかった歯車もしっかりとかみ合うようになります。

コンパウンド

時計を長く使っていますと、そのガラス部分に傷が入ってしまうときがあります。このキズはもう直せないのか、ずっと残ってしまうのかと思いがちですが、コンパウンドというという磨き粉を使うことによって、ある程度浅い傷であれば見えないようにすることができます。
コンパウンドは種類によって粗さが違ってくるため、プラスチックなのかガラスなのかという点で決めていかなければなりません。深すぎる傷には効果がありませんが、普通に使っていて付くような小傷であればかなりの効果を発揮します。

ベルトポンチ

ベルトポンチは、革のベルトに新たな穴を開けるために使う道具です。もともとあったベルトの穴ではサイズが合わないということは、長く時計を使っているとよくあることでしょう。そんな悩みを解決するために使われるのが、このベルトポンチなのです。
ベルトポンチを使うだけで、きれいな穴を簡単に開けることができます。ある程度大きさが限られているため、もっと大きくしたいという場合は丸ヤスリなどを使って大きくする必要があります。

時計修理をお考えの方は、お気軽にご相談ください